木の下で話しましょう

ソトコトとは、木の下で話しましょう、というアフリカ語源の福祉用語です。

間違えられて

2019-01-11 | Weblog


多忙だった年末年始もやっと終了したのでご無沙汰気味の78歳の友人に電話をしてみた。

去年の秋頃、近所にある徳★会病院で無料健診を受診したとか、そこで医師と共にレントゲン画像を眺めながら衝撃の結果を下された。

「あなたは食道がんで年末まで持たないでしょう」

「・・・・・」(絶句)

当然、彼女は自分の耳を疑った”はっ!?自覚症状もなく至って健康なはずなのに”

再度の説明も同じで処方箋もなく治療法も指示されずさよならと放り出された。ここまでの話で私のハートは怒りに震えたが次へと話を進めた。

独居の彼女は、死ぬのなら・・・終活をしなくっちゃ、まずは大量の洋服を少しずつゴミの日に廃棄処分した。しかし、死病なのにこんなに元気でいられるはずがない、おかしいわ。。。


腑に落ちない彼女は自費で近くの市民病院で健診を受けた。

結果は、無傷の健康体だった。

「これってどう思う?」

「近頃、流行りの無能力医者ってことだわ」

検査結果をどう読み解くのか、余命を当確出来るかが、医者の最低条件なのに、なかなか居なくてこの条件を満たせばネットに登場して個人情報を曝しまくられ最高医であるとのお墨付きを貰う。

「この話をするとみんなが訴訟したら?と言ってくれるけど、どうせ勝訴の見込みはないし無駄なだけでしょう?」

「そうね、この国の習慣やら法律が改善されない限り医療訴訟は原告が勝訴することはないしあなたに不要で莫大な金銭があるわけじゃなく無視してそこいらじゅうに語り尽くし拡散するぐらいが憂さばらしになるわ、それに万が一勝訴して金銭を受理しても食うだけあれば良い年齢で面倒くさくて余計な気を遣うだけ時間の無駄やし

「ほんまに、信じられない時代になったもんやね」

「そだね~、頭の悪いのが金の力で医者になるから、患者は、たまらんわ」



次に、自力歩行の検査入院二週間で「殺されるから退院する」との本人の希望により在宅になったのだがほぼ寝たきり状態になった男性利用者(71歳)の例を書くことにする。

悪いことに退院してから話すことさえままならず、白目を剥いたまま視覚障害になり閉じようとすれば筋力低下で自力では不可能だ。暖房のせいかもと様子をみていた高熱もなかなか下がらない。

すわっ!!救急車を!!

検査入院していた北★病院へ連絡したが素早く拒否された・・・むっ?!・・なぜ?・・

やはり・・・の感想とため息が漏れる、急遽、近所の病院に運ばれると、すぐに「肺炎」と診断されそのまま入院した。

この分だと彼の命さえ危ぶまれる。退院出来ても在宅介護は、到底、無理だろう。


最後に、町医者の場合。

定期通院で婆様(79歳)がレントゲン撮影をした。

画像を診ながら医者が「肺に白い影があるから大きい病院へ予約をしましょう」

認知症の婆様は、呑気に「嗚呼、そ~ですか~」と呆けた顔で聞き流す。

予約した病院でのCTスキャンの結果は、前述と同様で何も異常はありません、との返答だった。

町医者に診断結果の封書を持ち帰ると「ほう・・・なにもなくて良かったね」

意外そうな顔をして問題の画像を再確認し始めた。

よくよく以前の画像を眺めたら左の乳首だったわ」と素直に非を詫びたので全員で笑い飛ばしてチャラにした。

血液検査の結果、どこにも異常がなかったので「先生、それならばもう調剤は不要ですね」と言ったら顔色を変えて「いやいや、服薬したから良くなったわけで止めれば悪化するよ」と慌てふためき、いつものようにスーパー袋に満杯の薬を処方された。それを婆車の荷物袋に入れよいしょこらしょと婆様が歯のない口から洩れる吐息を立てながらふんふんと押して歩く。

 


藪の密林をさ迷ったような感覚の悩ましい一日を終えた帰路で剣先のように鋭い三日月が凍てついた川面に頼りなく浮かび、その上を水鳥が静かに直線を描きながら波紋を広げつつ瞬く間に月光を消し去ってしまった。 

 



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