というわけでどんどんツールが安くなって参入障壁が劇的に下がっている映像制作。僕らが違いが出せるのはプロ用ツールがもたらすクオリティの差、、ではなく「自分自身の能力」になってきている、と肝に銘じておこうと改めて気が引き締まると同時に、いまいったいいくらくらいで映像制作始められるだろうか、まとめてみるのもおもしろいと思った。いや、始めるだけならほとんど無料に近いんだが、、、
参考までに僕が5年前に考えていたこと。「パソコンとソフトで50万から100万用意しろ」と書いている。ヴァカですか、オレ。
映像業界で最小限のリスクで「独立・起業」する6段階STEP
さて2015年。いくらくらいで映像制作ソフトが揃うか計算してみよう。
編集ソフト:タダ~3万円
■Lightworks
フリーソフトで最も有名なのがLightworks。プロ版はハリウッドの著名な映画でも使われているメジャーソフト。機能限定のフリー版でも結構なことができる。問題は出力がWEB用720Pまでに制限されていることで、それもまあWEBで見るくらいなら全然OKかもしれない。
ちなみにプロ版は438ドル。
■各編集ソフトの廉価版
※追記(2015.2.14)
Vegasのセールまだやってました!この調子でずーーっとやってそう(笑。ご興味ある方はソースネクストのサイトへ。
昨年、僕が使っているSony Vegasの1つ前のバージョンが5000円で売ってたこともあった。あとはAdobe Premiere Elementsであれば、パソコンにタダでついてくることもあるのでそれを使ってのちにCCを始めるというのも手かもしれない。もしくはVegasの廉価版、Movie Studioもお勧め。
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Sony Movie Studio Platinum 13【国内正規品】
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そもそもVegasはエフェクトとかタイトル機能が弱いのでこれで十分かもしれない。Vegas/Movie Studioの特徴は波形を見ながら繰り返し編集点を探る編集ができること。音に合わせて編集するミュージックビデオなどの制作にお勧め。ただし、ワリと特徴のある編集ソフトなので、他のソフトに移行するときに苦労するかもしれない。
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■FCPX
MacならばFCPX=3万円。こちらのエントリをご参考をば。
100億円のハリウッド映画が3万円の編集ソフトで編集される時代
■どのソフトを覚えると得か
編集ソフトはどれもそれほど難易度が高くないのでどれを使えば将来得とかはそれほどないと思う。日本でメジャーなのは、ちょい前まではFCP7を使われているスタジオさんが多かったが最近はPremiereなのかなあ。僕が行くスタジオさんはSmokeが多いけど。。ハリウッドでいうと以前紹介したShotOnWhatというサイトのEditing Systemsの項目を見ればどの映画でどの編集ソフトが使われているかが分かる。
ちなみにフィンチャー監督のGone Girlはハリウッド映画史上初めてPremiereで全編編集されたことでも話題となった。
“Gone Girl” marks yet another milestone for Adobe Premiere Pro CC
3DCGソフト:タダ
これはもう有名なBlenderで始めよう。タダですタダ。僕は使ったことがないので語れることはないのだが、昔エントリを書いたこちらをご覧いただければプロの現場でどのように使われているか、状況が分かるはず。
ミニマムなスタッフと機材で最高の結果~ロシアのCMメイキング
音ソフト:タダ~2万円
まだダウンロードできないがとりあえずPro Tools | Firstで始めれば「つぶしがきく」という点でもいいはず。ほとんどのスタジオさんではPro Toolsを導入されているので、使えるようになっていれば履歴書に書きやすい。
また僕はSonyのSoundForgeというソフトウエアを使ってるが、こちらの廉価版があるのでお勧め。ただしSoundForgeは破壊編集ソフトでPro Toolsとは用途が違うことにご注意。
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Sony Sound Forge Audio Studio 10【国内正規品】
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破壊系波形編集ソフトの決定版、、、の廉価版。僕も最初はSoundForge XPという廉価版で作業していた。複雑なことをやらないのであればこれで十分かもしれない。僕はインタビューのレベルの調整であったり、ピークをカットしたり、ノイズを取り除いたり、あとはSEを作ったりなどの作業をSoundForgeでしている。MIXはVegasでしている。
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MacだとLogic一択でしょう。2万円。ただ映像制作のワークフローにどうやってLogicを入れられるかはよく分からない。一応映像にスコアをつけられるって書いてあるので、MIX作業もこれでできるのかな。よく分からない。
カラーグレーディングソフト:タダ
この分野は最も有名なプロフェッショナルソフトがタダという恐ろしい事態に。もう皆さんDaVinci Resolve、DLしてますよね?もちろんタダなのは機能限定版なので本格的に始めるには10万超のプライスがつくがとりあえずタダ版でも問題ないはず。
今、映像業界ではこの「色グレーディング」に対する意識が物凄く高まっているので、ちゃんと「色の創造」ができる人はものすごく需要高いと思う。参考までに最近超話題になったコレ。
Color Reel - The House On Pine Street via Vimeo
VFX/コンポジットソフト:タダ
僕はAfter Effectsを勧めるが、今は月5000円のCC参加が強制なので、今後の発展を願ってFusion7の機能限定版で始めればタダである。しかも今ならFusion7を使っている人はほとんどいないので、今始めれば第一人者になれる可能性がある。
ツールは無料~映像制作は誰でもできる時代へ=BMD Fusion 7
また、スタジオさんもAdobe CCを大量導入すると膨大なコストがかかるので今後Fusion7タダ版で仕事されるところも増えてくるはず。なのでFusion7を覚えても損ではないのではないか。
映像制作はレッドオーシャンか?
あとはパソコンとカメラと録音機材と、3発くらい照明があれば準備完了。それぞれ5~6万円くらいとすると、ざっと20万くらいで業務用映像制作フルセットが揃う計算。最近は特機も安いし。。
もちろん以上は安く始めるための試算であるので、実際にはやっぱりフォトショはいるしイラレもいるし、結局はAdobe CC入ったりプラグイン買ったり映像素材買ったりなんだりで、そんな格安で済むというわけではない。とはいえ、「安く始められる」のは間違いない。
さあ、この現状をチャンスと見るかレッドオーシャンと見るか。
ちょっとだけ余計なことを書くと、僕が思う「他との差別化」で最も重要なのはセンスとかクオリティとかじゃなくて「信頼性」だと思う。毎度毎度、ロケに行くたびに「ちゃんとミスなく撮れるか」僕はドキドキしてますよ。現場へ向かう車を運転しながら「忘れ物はないか」ぶつぶつ言ってること、僕と一緒に撮影に行ってくださった方々は良く知ってるはず。「信頼性」を勝ち取るのが一番大変。
※追記(2015.8.2)
こちらの記事は新春版でしたが最近また状況が変わってきているので少し追記。
カラーグレーディングソフトとして紹介したBMDのDAVINCE RESOLVEですがつい最近バージョン12が出て、編集機能が物凄く強化された。なのでいまや総合映像編集ソフトとして生まれ変われつつある。しかも機能限定が徐々になくなり以前はできなかった4K/UHDも無料版で取り扱えるようになっている。
まだベータ版なので業務に使うのは自己責任だが、今後大きな流れを起こしそうなヨカンがしている。
DaVinci Resolve 12
色もむちゃくちゃ、整音しなくても、撮った素材をまんまDVDでOKとか…ホントありえん。。。。
早く納品が求められている仕事には「色」「整音」「変な編集」など無視して早く納品する、しっかり作り込んでほしい仕事にはそれに対応する、、、ことができる人に仕事が集まるんじゃないかなーーと。
僕も撮って出しの仕事は「確実性」「早さ」だけを追求してます。その代わり撮るときに色はバラバラにならないようにとか音はまんま使えるとか、そういうことに気を配ります。
もちろん、ポストプロダクションにがっちり時間が使えるものには細部にこだわります。
そういう使い分けができる人になりたいなーーと。
ただそれでお金を取るにあたって、(結構高額)そのクオリティでは申し訳ないと言う思いが有り、どうしても色とか音とかちゃんとしなきゃと言う気負いで、(先方にも言ってはいるんですが)時間をかけてしまいます。。。。
一つの講義が2~3時間でそれが13セッション有って、パワーポイント挿入だとしたら(音声もミキサーの人が居ないので整音しなきゃなので)1ヶ月は欲しいかったんですが、やっぱり掛かり過ぎなんですかね?(因に蛍光灯と白熱灯のミックス光です。。。。)
その仕事は辛そうですねえ。2~3時間というだけで萎えそう。。
僕も数か月に一回セミナー撮影の仕事をしてますが、セミナーで使われるマイクの音量がバラバラだったり、そもそもしゃべる人の音量が違ったり、現場でのリアルタイムの作業が大変だったりします。。
僕のその仕事はワンマンですが、(結構高額)であれば、やっぱ現場に人を入れる、というのが最適解ではないでしょうか。。音声さんとVEさんの2名を雇えば、ポストプロダクションはほぼノータッチで撮って出しができるのかなーーという、ぱっとお話を聞いた印象が。。
結局、ソフトがタダになってもカメラが安くなっても、人件費が一番高いですからね~~~
予算があるという意味ではないんですね!じゃあやっぱ音声さんとVEさんを入れるのは難しいのかなあ。。。
いやあ、世の中いろんな仕事ありますからねーー
一番苦労するのが音ですね、突然叫んだりしますから、音が割れて(苦笑)通訳が入るのでその音のバランスも取れない状態で、もうあたふたで、2カメでスィッチングしながらなのでとても音まで手が回らずでした、、、
しかもそのセミナーが3ヶ月で4回とかと言うスケジュールで(一回が2セッションで13時から22時までとかで4日間と言うハードスケジュール。。。)
極めつけはギャラはDVDの売り上げと言う…orz
わーーーそれは辛そうですね~~~ギャラは売上!!モチベーションになるっちゃなりますが、まあ映像の良しあしではなくセミナーの中身でしょうしねえ。。
音に関しては僕がよくやるのが、モノラル入力で1chはマニュアル、2chはオートにしておく、、です。基本1chを使いつつ2chとポストでミックスする。そうすると突発的な叫びも割れないし、小さい音はゲイン上げてくれるし。
いやあその点はホントVegasお勧めしますよ!Winに乗り換えていただかないとですが(笑
ほんと愚痴なんです、、、聞いて下さってありがとうございます。
売り上げと言うか販売が今の所あまり出来てないらしく(っていうか売ってないみたいで)収入が殆ど入ってこなかったので生活が困窮して来てついつい…(ぐすん…)
でも、購入した方から「今まで見たDVD(販売されてた)の中で一番奇麗で感動したよw」って言ってもらえたのが何よりの励ましでしたw
WinはFUSIONの動き次第で考えますw
いつもありがたく拝見させていただいています。
当たり前なのでしょうが、3RD EYEさんが信頼性をもっとも重視していることに反省させられました。
ちょうどセンス・クオリティに目がいってる時期だったので、まだまだ甘いと。
特に、忘れ物ブツブツは、さっそく真似させていただきます(笑
これからも記事を楽しみにしていますので、どうぞ宜しくお願いします。
ダメですダメです(笑 僕なんか録音で教えられることなんてありません(笑 録音の専門家に聞いてください!
インタビューの録音と、ライヴのラインアウトの録音くらいしかできません。。。
>> 生活が困窮して来て
うわーー売れるか売れないかって、絵がきれいでもやっぱり中身ですからねーーーー その点、僕もよく悩みますが、商品の宣伝ビデオ作ってて商品が売れたときはやっぱり商品力のおかげだと思います。。売れなかったらビデオのせいだと責任を感じることは感じますが、、、
広告のせいなのか商品のせいなのか、、、難しいところではあります。。
そんなたいそうな気持ちで書いたのではないのです、、、orz(笑
ただ思うのはセンスを特化していくと「そのセンスが必要な時に呼ばれる」んですね。。そのセンスが必要ないときは呼ばれない。。
センスなんて人それぞれでイイも悪いもないですから、それより確かな技術力と信頼性と、「この人に頼んだら間違いない」と思われることといいますか、、、
もちろん最低限のクオリティというかカッコイイ絵を撮るとか、凄いグラフィックを作るとか、そういうのはあるほうがいいに決まってますが、「任せて安心」までたどり着く方がワリとしんどい。。
もう十年以上やってますが陰でいつも失敗しないかドキドキしてます(笑
カメラマンで居続ける難しさが
永遠のテーマです(^_^;)
最近ほんとにそう思います。僕も映像業界にしがみついていくためには何をしていけばいいのかなあ、と思います。
絶対ミスしない信頼性とスケジュール管理と、謙虚さと感謝の心と。。。。
最近忘れがちなんで心に刻んでます。
それらがクリアされた上でのクオリティがあれば食っていけるんだなーと痛感していて、、、10年たって心新たに、、、