徒然草紙

読書が大好きな行政書士の思索の日々

小説フランス革命1

2017-03-21 17:34:58 | 読書
 佐藤賢一氏の「小説フランス革命」を読んでいます。フランス革命といいますと、世界史において四民平等の社会を実現したエポックメーキングな出来事として知られています。のみならず、基本的人権の確立という点で、かなり美化されて伝えられていることがあるのではないか、とも思います。私自身のフランス革命に対する見方がそうなので。それとも、このような見方をしているのは私だけかもしれません。
 
 「小説フランス革命」を読みますと、フランス革命が必ずしも四民平等社会を目指して行われたものではないことがわかります。ありていに言えば、新興ブルジョワジーが自分たちの利益のために圧迫された庶民の怒りを利用して社会変革を企てたものがフランス革命の発端、ということができるのですね。バスチーユの陥落も旧体制への圧力の一つであって、そのことによって自分たちが利益を得ることができるようになれば、それ以上の社会秩序の破壊は望まなかったのです。
 
 バスチーユ陥落後、新たに組織された議会において主流となったのが、これら新興ブルジョワジーでした。これに対してあくまでも純粋に「革命」を推し進めようとしたのが、ロベスピエール、ダントン、マラといった左派。両者の利害をうまく調整してフランスの改革を図ったのがミラボー。小説では「革命のライオン」と書かれていますが、彼こそが、どのようにして革命の火を点け、どのように終わらせるかといったフランス革命の青写真を持っていたのです。もしも、彼が革命の初期にあのようにあっけなく死んでしまわなければ、以後のフランス革命の歴史は変わっていたかもしれません。彼の死後、革命はその様相を徐々に変えていきます。まず、ルイ16世が国外脱出に失敗します。このことが革命の前途にどのような影響を及ぼすこととなるのか。残念ながら、私が読んでいるのはここまでです。続きはまた書きたいと思います。