徒然草紙

読書が大好きな行政書士の思索の日々

創作落語「天国からの手紙」

2017-03-09 12:07:02 | 相続・遺言
 昨日、私が所属する東京都行政書士会大田支部で相続をテーマにした研修会を行いました。そのなかで当会所属の行政書士生島清身氏による創作落語「天国からの手紙」を聞きました。生島氏は上方落語協会より「天神亭きよ美」の高座名をいただいている落語家という異色の経歴の持ち主です。「天国からの手紙」は相続遺言をテーマにした生島氏オリジナルの創作落語です。生島氏はこの落語を中心にした相続に関する講演をこれまでに150回以上されており、その活動は朝日、読売、産経などの新聞やNHKの「首都圏ネットワーク」でも紹介されるなど社会的にも注目を集めています。
 
 「天国からの手紙」は、3人の子供たちを残してなくなった母親が、天国に行く前に、子供たちが相続財産について争っている姿を見て、遺言状の大切さについて気づく、というもの。例えば、家族以外にお世話になった人に財産の一部を残したいと思ったときには遺言状が有効であることや、遺言状の内容について遺された家族が争わないようにするために、遺言状とは別に手紙を書き残しておくといったことが落語のなかに織り込まれているわけです。
 
 相続遺言についての入門編として、とてもわかりやすい作品だなという印象を持ちました。特に印象的だったのが手紙の利用です。遺された家族に自分の思いを伝える手段としては、遺言状のなかに付言事項という欄を設けて、そこに記載するということが一般的に行われています。遺言状に記載されたからといって法的な効力はまったくないのですが、遺言の内容について家族の心情に訴える効果を期待して記載されます。これを遺言状という形式ではなく、家族に宛てた手紙として残すということに非常に興味を覚えたのです。この方法が有効かどうかはわかりません。しかし、形式ばらない手紙というツールを利用することで、自分の思いを家族に伝える心情的な効果はより大きなものになるのではないか。そんなことを考えた研修会でした。