卒業写真のあの人は、やさしい
目をしているが、はたして、これ
だけ、時代が移り変わって、あの
人はまだ優しい目をしていれる
のだろうか。
もしあの人を、今、町で見かけた
ら、やはり、未だに輝いている
のだろうか。あの頃の生き方で。
人込みに流されて変わってゆく
私をあなたは、ときどきしかって
と
歌ったのだが、これだけ、時代が
変わってしまうと、変わらないこと
が良かったのだろうか。
もし、変わっていなかったら、あの
人は、幸せにしているだろうか。
あの頃の生き方に拘るあなたは
幸せだろうか。
あの頃から、どれだけ時代は
変わり続けてきたのだろう。
親が子ども殺し、子が親を殺し
長く連れ添った夫婦が、老いて
殺し合う。
テレビのCMでは、なんと
幸福な家庭ばっかりな
こと。
これって、なんだろう。
オープンリールのテープが
カセットに変わり、CD・MD
へ、今、アイフォンかなんか?
で、聴いている?
レコード店がつぶれわたしな
どは、往生している。
誰もが、猛烈に変わってゆく
時代に、振り落とされない
ようにしている。
変われることが、至上命令
だ。
問題は、変わり方だが。
ネットが始まった頃、
メールのシグネイチャー
に
「ネットに、万巻の書を
読む」なんて、粋がった
時もあったのだが、
今や、ネットの紳士協定
の時代は神話の世界に
なってしまった。
繰り返し、繰り返し、
聴いた卒業写真
年を経るごとに、
胸をよぎるものは
その姿を変えて
変容していく。
もしかして、変わらない
あなたが、変わった私
に、しかってほしいって
ことは、ないのだろうか。