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メトロコマース非正規差別撤廃裁判の最高裁の不当決定への抗議声明

2020年09月06日 12時36分25秒 | 東京メトロ売店

メトロコマース非正規差別撤廃裁判の最高裁の不当決定への抗議声明

全国一般東京東部労組と同メトロコマース支部は9月4日、厚労省で記者会見を行い、以下の最高裁の不当決定に対する抗議声明を発表しました。



メトロコマース非正規差別撤廃裁判の最高裁の不当決定への抗議声明

2020年9月4日
全国一般東京東部労働組合執行委員会
全国一般東京東部労働組合メトロコマース支部

 東京メトロ駅売店の非正規労働者でつくる全国一般東京東部労組メトロコマース支部が正社員との賃金差別をなくすために闘ってきた裁判の上告審で、最高裁第三小法廷(林景一裁判長)が、組合側の上告受理申し立ての大部分を棄却し、非正規労働者への差別を認める極めて不当な決定を行ったことに満身の怒りをもって抗議する。

 最高裁が決定した要点は次の通りである。

 第一に、毎月の基本給と資格手当、年2回の賞与について正社員との差別を東京高裁判決(2019年2月20日)に引き続き容認し確定させた。

 第二に、原告4人のうちの1人は全面的に請求を棄却した東京高裁判決を確定させた。

 第三に、東京高裁判決で正社員と同じ住宅手当、褒賞金、早出残業手当の割増率の支払いを認めていた点については会社側の上告受理申し立てを棄却し確定させた。

 第四に、東京高裁判決で部分的に支払いを認めた原告2人の退職金については組合側・会社側の双方の上告受理申し立てを受理し、最高裁として9月15日に弁論を開き、そのうえで判決を出す。

 以下、この4点の決定についての見解を述べるが、私たちの根本の前提として、同支部の結成から11年半にわたる闘い、そして6年超にわたるこの裁判闘争は、部分的な改良やいくばくかの金銭を獲得することを目的にしたものではなく、非正規労働者へのあらゆる差別の完全撤廃を求める立場で闘ってきた。そうである以上、部分的であっても差別が温存されるような結論は到底容認できない。

 その意味で今回の最高裁の決定は今後言い渡される判決を待つまでもなく不当なものである。司法の最高機関として差別を公然と認めたことに私たちは2000万人の非正規労働者とともに「ふざけるな!」「恥を知れ!」と声を大にして言い続けていく。

 第一の決定は、正社員と同じ駅売店で同じ仕事をしていた原告らに基本給や賞与で差をつける合理的な理由がないにもかかわらず、非正規労働者という理由のみで差別しても構わないという不正義を最高裁が追認したことであり、断固として糾弾するものである。

 正社員のわずか5分の1程度しか賞与が支払われていないことについて、東京高裁は「有為な人材の獲得・定着を図るという会社の主張する人事施策上の目的にも一定の合理性が認められる」と判示した。「有為」(役に立つ)かどうかを基準としたうえで、一方的に非正規労働者は有為ではないと決めつけた差別をどうして許すことができようか!

 第二の決定は、当該原告は旧労働契約法20条が施行された時にはすでに「定年再雇用」だったことを理由に一切の主張を切り捨てたということである。定年再雇用であっても正社員と同じ駅売店で同じ仕事をしていたことを完全に無視している。

 また、旧労契法20条が施行される前であっても、民法の「公序良俗」違反を使って非正規労働者への賃金差別を一定是正してきた司法の歴史からの大きな後退である。

 第三の決定で、住宅手当などの支払い判決を確定させたことは当然のことである。この決定に基づき、会社は、原告や組合員のみにとどまらず、これまで雇用してきたすべての非正規労働者に対し、正社員との間で差別してきた事実を謝罪し、過去の賃金差額を全面的に支払うとともに、ただちに社内制度を改正し、正社員との差別撤廃を実現するよう要求する。

 これらの手当を正社員からもなくしたり、基本給に一括したりするなど、本末転倒の「下に合わせた均等」に会社が動くのであれば、それは紛れもない脱法行為であり断じて許されない。

 第四の決定として上告が唯一受理された退職金の帰趨(きすう)が今後の判決にかかっている。私たちは差別の全面撤廃という目標に向けて一歩でも前進させる闘いと位置付けて、この裁判を最後まで全力を尽くす決意である。

 東京高裁判決は退職金について何ら理由を示すこともなく正社員の4分の1の支払いしか認めなかった。これ自体が差別そのものである。正社員と同じ額の退職金を認めるよう9月15日に開かれる最高裁の弁論で訴えていく。

 この間の新型コロナウイルス禍で、休業手当が支払われず生活苦に陥ったり、解雇・雇い止めで仕事を失ったり、派遣先の寮からも出て行かざるをえなかったりするなど非正規労働者に犠牲が集中している。正社員はテレワークで「避難」させているのに非正規労働者には出社を命じている会社もある。非正規労働者は命すら軽んじられているのだ。

 非正規労働者は自分たちと違った劣った存在だから低い処遇で我慢すべきだという裁判官らの思想は、米国で黒人を酷使・虐待・隔離してきた者たちの思想と何ら変わるところがない。しかし、いま世界中で「黒人の命を守れ!」(ブラック・ライブズ・マター)の運動が沸き起こり、差別者たちの銅像が民衆の手によって次々と引き倒されている。

 人間性を破壊する差別を居直り容認する資本家と裁判官らの「虚像」は正義を求める労働者民衆の力で引き倒されるのが歴史の必然である。抑圧と差別がある限り非正規労働者は必ず闘いに立ち上がる。

 すべての非正規労働者は労働組合で団結し、あらゆる差別の全面撤廃に向けてともに立ち上がろう!

以 上

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