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ミラーニューロン

 ミラーニューロンはイタリア・パルマ大学のジャコモ・リゾラッティさんらによって、1996年に発見されました。それは霊長類などの高等動物の脳内で、自ら行動するときと、他の個体が行動するのを見ている状態の、両方で活性化する神経細胞(ニューロン)のことです。そのニューロンは、人が、たとえば指でナッツをつかむなどといった特定の行為をするときだけでなく、他の人がまったく同じ行動をするのを見るときにも、活性化するのです。他の個体の行動を見て、まるで自身が同じ行動をとっているかのように“鏡”のような反応をすることからそう名付けられ*01ました。
 
ミラーニューロンの存在は、他者の行為の観察と自分の行動の遂行とを、実質的に結びつけます。つまり、感覚を持つという他者の行為の観察と自分も同様の感覚を持つという行為の遂行とを結びつけるニューロンが存在した*02のです。
 
認知脳科学の嶋田総太郎さんは、ミラーニューロンを次のように定義*02します。
 
①自己が運動をしたときに活動し,②かつ他者が同じ運動をするのを見たときにも活動する。
 
このようなミラーニューロンが存在するという事実は、他者身体の視覚的入力は自己の運動プログラムを駆動あるいは参照することが可能であることを示している、と嶋田さんは指摘します。また共感に関連する脳活動も他者身体の視覚人力が自己の体性感覚野ないし感情に関する領野を活性化させる、というのです。脳内の身体表象は「私の」身体だけに閉じているのではありません。他者身体の視覚入力は自己の内的感覚を呼び起こすことができるのです。わたしたちの身体は,視覚を媒介として他者へと開かれていることをミラーニューロンの発見は示した、と嶋田さんは説明*02します。


So quel che fai. 脳の働きとミラーニューロン 柔軟なカバー Il cervello che agisce ei neuroni specchio2005.10.01 Giacomo Rizzolatti Corrado Sinigaglia

*01:ミラーニューロン Wikipedia
*02:
自己身体はどのように脳内で表現されているのか?/嶋田総太郎/ミラーニューロンと〈心の理論〉/子安増生・大平英樹編/新曜社 2011.07.15

 

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