つまがリズム

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サリドマイド 復活した「悪魔の薬」を読んでメモ(3)

2024年04月19日 | 読書感想
2024年4月19日㈮

サリドマイド 復活した「悪魔の薬」(3)
 栢森 良二(かやもり りょうじ)著
 2021年6月14日 第1版第1刷発行
を、読んでメモ

(6)グリュネンタール社によるサリドマイドの回収が決定した後の各国の状況

①アメリカ
既にカナダでメレル社がサリドマイドを販売していて、1960年9月に米国に申請した。
これを審査するのは、フランシス・ケルシーというFDA入社したての新米の女性だった。
当時の米国の審査方法では、試薬として市場に出して60日以内に安全性に問題がなければ
自動的に新薬として認可をうけることができた。
だが、末梢神経炎の副作用があることから、ケルシーは追加データを求めた。メレル社は
ケルシーの頭越しに上司に苦情を申し立てたが、上司はケルシーに特に指示をしなかった。
ケルシーが申請を慎重に検討した結果、米国でのサリドマイド被害はなかった。

②日本では回収が遅れて被害が広まった
 1961年11月27日、ドイツではサリドマイドの販売中止と回収を開始した。
 11月30日、スウェーデンを除く北欧
 12月2日、英国
 12月18日、スウェーデン
 1962年9月13日、日本
ドイツで回収を始めた後、欧州諸国は遅い国でも21日で回収を始めた。
日本は295日後に回収を始め、実際の回収作業が完了したのは1963年半ばから末頃と考えられるので
ドイツでの回収より2年半近く遅れてしまった。
日本のサリドマイド児の多くは、レンツらがサリドマイドの催奇性を指摘した後に、この薬を服用した妊婦から生まれている。
なぜ、日本ではこのように遅れてしまったのだろうか。
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 レンツ警告に始まる西独、北欧諸国、英連邦での薬剤回収にもかかわらず、我が国においては、薬を回収させる
特別な措置は講じられていなかった。厚労省から西独に派遣された調査官による、「レンツの報告は科学的根拠が乏しい」
との一言で片づけられてしまった。
 このような日本の厚労省官僚と政府がとった態度を合理的に説明するには、
「裁判による結論がない限りサリドマイドが実際に胎児奇形の原因であるとは実証できない」ということになる。

③豪州
 シドニーにあるクラウン街婦人病院の青年医師ウイリアム・マクブライドは1961年5月4日、
生まれて初めて海豹肢症の新生児をみた。それか3週間以内に同じような新生児をみた。このような例は今までなかった。
詳細にしらべていくと、二人の母親はサリドマイドを服用していることがわかった。さらに、また奇形児が生まれ
サリドマイドの服用がみられた。
1961年5月、同病院はサリドマイドの調査を実施した。
このような早い時期での取り組みがあって、豪州ではサリドマイドの被害は少なかった。





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