水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

甘辛(あまから)ユーモア短編集 (25)規制

2021年06月15日 00時00分00秒 | #小説

 社会に一歩出れば、さまざな規制が私達を取り巻いている。それには甘(あま)い規制から辛(から)い規制まで多岐(たき)に渡って存在する。『黄信号だから、まあいいかっ…』程度に見逃してもらえるものから、『20Kmオーバーですねっ! 免許証を見せて下さいっ!』などと言われる辛めの規制まで、いろいろとある。規制がもっとも甘いものの一つにポイ捨てゴミがあるが、まあ、逮捕に至らないのが通例となっている。^^
 とある国の首脳夫妻が来日したというので、移動の道路、交通網は規制が厳しくなっている。そんな中、要人警護の任につくとあるSP同士の無線の会話である。
「ええっ!! 予定の通路が変わったって!? そんなこと、ひと言も聞いてないぞっ!」
『そんなことおっしゃっても仕方ないじゃないですかっ! さっき、連絡が入ったんですからっ!』
「ということは、君も知らなかった・・ってことか?」
『はい、全然っ! まさか、イノシシ100頭が辺りの道路に出没するなんて、誰も考えてやしませんでしたから…』
「そんな事情か…。ははは…イノシシに人の規制は通用せんわなっ!」
『まあ、そういうことになりますかね…』
「なるなるっ! 大なりだっ、はっはっはっはっ…」
『ははははは…』
 二人は無線で大笑いした。
 甘い規制も辛い規制も人類だけに通用するもので、他の動植物には通用せず、その限りではないということになる。^^


                   完


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