水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

甘辛(あまから)ユーモア短編集 (34)どぉ~しようもない

2021年06月24日 00時00分00秒 | #小説

 上手(うま)く諸事が進行していた矢先に突然、どぉ~しようもないことになってしまったことが皆さんにはないだろうか?^^ 私は、甘(あま)過ぎたそういう過去があるから、こうして書いている訳である。^^ さて、そうなれば、そのあとを如何(いか)に辛(から)く終息するか? にコトはかかってくる。上手く終息できなければ、コトは潰(つい)える。恋慕(れんぼ)する異性に失恋した場合とかはこの限りでなく、どぉ~しようもない。^^
 とある絵画教室である。室内には数人の生徒がいて、皿の上に置かれた同じ果物をそれぞれ描いている。指導する女性の塾教師が、時折り、生徒達の絵を覗(のぞ)き見て、アドバイスを与えている。
「穴耳(あなみみ)さん、このミカン、少し大きくないですかっ?」
 女性の塾教師は辛く指摘した。
「… ああ、このミカンですか。私、ミカンが好きですからなぁ~、ははは…」
「好き嫌いは絵に関係ないと思いますよっ!」
「すみません…」
「ほほほ…謝(あやま)るほどのことじゃありませんよ…」
 そう言いながら塾教師が別の生徒の方へ遠ざかると、穴耳は指摘されたキャンパス上のミカンを塗り潰(つぶ)した。いや、穴耳は塗り潰したつもりだった。ところがである。穴耳が塗り潰したのはミカンの隣りに描かれたバナナだった。
「ああ~~~っ!!」
 穴耳の声が教室内に大きく谺(こだま)した。
「どうしましたっ!」
 女性の塾教師が慌てて近づいた。
「先生、これ…」
 穴耳はキャンバス上の塗り潰したバナナを指さした。
「ワッ!! やってしまわれましたねっ! これはどぉ~しようもないです。もう一度、デッサンから始めて下さい」
「はい…」
 穴耳はショボく返した。
 このように、甘い状態を辛く処理しようとして、どぉ~しようもないことになる場合もあるから、皆さん、注意しましょう。^^


                   完


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