デ某の「ひょっこりポンポン山」

腎がんのメモリー(術後10年クリアーし"卒がん")、海外旅行記、 吾輩も猫である、人生の棚卸しなど。

若きウェルテルの悩み Ⅱ

2016-12-06 10:59:43 | かんわきゅうだい


 腎がんの手術から5年余。手術した当時、製薬でがん研究をしていた愚息は「お父さんは幸運やと思う。これから分子標的薬の時代が始まる」「再発転移しても副作用は減り効果は高い」と。しかし現実は容易なものではないことがわかってきました。

 がんの再発転移と闘っている人は、文字通り「命懸け」で治療を受け凹みながら勇気をふりしぼっています。副作用に苦しみながら希望を失わずもっと良い明日へと今日を生きています。そんな時・・・そんな時ですけど、わが青春のコイバナを記します。


                         

 青春を象徴する小説・音楽・・・
 ゲーテ「若きウェテルの悩み」がそれほど!?読まれていないのは想定外でした。まあ国民的ヒット曲でも実は知らない人の方が多いそうですからね。各々の青春の時代に各々の青春を象徴したのは、いったいどんな小説・音楽・映画だったのでしょう。

 想定外の仕打ち
 赤い夕陽が校舎を染めて楡の木陰にはずむ声・・・。高校時代、2~3年生は舟木一夫の歌がよく似合う旧校舎、1年生はそこから3km離れた鉄筋4階建の新校舎で高校生活が始まり、隔離された新入生に想定外の仕打ちが待っていました。

 自主退学を
 担任の生物教員「サ〇ちゃん」。校則で髪型はフリーの筈ですが、『俺のクラスは全員丸刈りになってもらう』。私は反抗して髪を切らなかったところ、母親が学校に呼び出され『担任の指示に逆らうなら自主的に退学して貰います』と告げられました。
 
 気の晴れる想いも
 母親を攻められては丸刈りにするほかありません。しかし丸刈りも節を曲げたこともどちらもキマリ悪くしばらく凹みました。しかしある時、思いがけない女子から『丸刈り、よく似合ってるしカッコいい』と言われ、気の晴れるところなきにしも非ず。

 アイドルをさがせ
 この頃、シルヴィ・ヴァルタン「アイドルをさがせ」、ジリオラ・チンクエッティ「夢見る想い」がヒット、「夢見る想い」はイタリア語で歌っていました(今でも歌えます)。歌謡曲は舟木一夫「高原のお嬢さん」、西郷輝彦「あぁ青春の胸の血は」など。



 風向きが変わって
 6月に入ると生徒会が「丸刈り強制」を問題視し、新聞部は1~2面ぶち抜きで「担任の横暴」を特集しました。風が吹いている!と感じ一斉に髪を伸ばし始めました。結果・・・夏休みが終わるとみんな長髪に戻って登校し、サ〇ちゃんも咎めませんでした。

 あの時代の高校生の恋
 そういう時代でした。そういう空気がやがてこの世代を大学闘争に駆り立てる一つの下地ではあったかもしれません。しかし男女の恋に関しては今よりはるかに遅れていました。町を手をつないで歩いた他のクラスの二人は全校は勿論、町を沸騰させました。

 切なく悶々と・・・
 あっ、私ではありません。私にそんな勇気はありません。そもそもわが秘めたる恋はとてもそこまで・・・。日記には綴ってもラブレターはよう出しません。如何に彼女に、如何にひそかに、如何にこの気持ちを伝えられるか・・・切なく悶々と考える日々でした。

                         

 オトナの世界に一歩
 夏休みは文化祭で上演するESSの英語劇「ハムレット」の稽古に没頭しました。同窓会館に男女みんなで泊りこんだことも、その年に新規採用された美しい英語教員の熱心な指導を受けたことも、オトナの世界に一歩近づいたようなめくるめく体験でした。

 視線があって・・・
 「ハムレット」は結構!話題になりました。レアチーズとの派手なチャンバラ、否、決闘シーンも好評でした(余談ながらそのレアチーズ役がいま郷里の副市長です)。舞台からそれとなく客席を眺め、彼女!の視線をみとめたことも心を満たしました。

       
 「ハムレット」の一場面 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/078da643559ddb91dea90d023f535583
 
 体育祭のフィナーレ
 文化祭が終わると体育祭。そのフィナーレはグランドの真ん中でマスコットを燃やし、その周りで肩を組んで校歌を歌ったりフォークダンスをしたり・・・。適当に輪に入ったりしません。必ず彼女と組む番!がまわってくる位置を選んで輪に入りました。

 放心状態に・・・
 ライバルもかなりいますから、若干の諍いを経て良い位置をキープしました。にもかかわらず、なぜ?だったのか今もわかりませんが、番!がまわってきませんでした。もうすっかり落ち込み家に帰っても放心状態・・・。たかがフォークダンスですけどねぇ。

                         

 同人誌「吾妹」
 2年生の夏頃でしたか・・・「吾妹(わぎも)」という同人誌が校内に出まわりました。「私の妹」ではなく「わが愛しきひと」の意です。私が勝手にライバル視していた男子数人が始めたもので、詩・小説・エッセイなどが綴られたガリ版刷りの冊子でした。

 同人誌「器」創刊
 激しく動揺し、むらむらと怒りにも似た対抗心が沸き起こりました。急遽、数人に呼びかけ同人誌を創刊しました。タイトルはデューイの道具主義にちなみ「器」とし、姑息にも題字は祖父に、表紙絵はアマチュア画家の叔父に「港」の風景を依頼しました。
 
 淡く静かにたれこめて
 そこで初めて自分の想いを詩に託しました。ヴェルレーヌ風(上田敏の邦訳風?)に『淡く静かにたれこめて』という一行で始まる詩でした。しかしガリ刷の創刊号は残っていませんし、その一行しか憶えていません。淡く静かな、否、切ない青春でした。

                         
 
 キリがなくなりそうなので今回はこのへんで・・・。「肝腎なコイバナが内野内科医!」と? そりゃ半世紀も前の田舎の純情な高校生のプラトニックな恋心ですから、ドラマチックなコイバナを期待されてもねぇ。でも次はそこのところも考えないと・・・。

 昨日、テニスコートやレストランなどもある広大な敷地に建つS彫刻美術館で開かれた女性4人によるジャズコンサートにでかけました。聴きながら、高校の文化祭で喝采を浴びたエレキバンドの「パイプライン」「キエンセラ」を思い出していました。

  
 
   【左】彫刻美術館の庭(冒頭の写真も) 【右】ジャズコンサートの案内

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8 コメント

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プラトニックが当たり前 (pukariko)
2016-12-06 12:34:30
こんにちは。
拝読しながら私もあの頃に戻っていました。
プラトニックが当たり前で、
好きな人をただ見ているだけで幸せでした(#´ο`#)
今のコみたいに一足飛びに発展するなんてこと、ありえなかった。
たまにそういうのがいると、カンペキ不良のレッテル貼られましたし。

無茶苦茶な教師、いましたね~。
竹刀でバシバシ机をたたきながら授業する教師、
暑い夏はステテコいっちょうで授業する教師・・・アハハ。
そういうヤツは同窓会にも呼ばれない(爆)

しかしデ某さん、ロマンチストですね~詩作ですか~。
返信する
Unknown (Anne)
2016-12-06 21:49:47
何だか読んでいるだけで自分のあの当時を思い出してきます。
コメントで書き出したら止まらないくらい(笑)
私の時にも今なら問題になるような先生がいました。
「ドライバー教育」と称してドライバーで肩なんかをコツッと!
数学と体育の先生でしたけれど、数学が好きだったので私は嫌じゃなかったけれど。。。

そして詩を書くとはさすがですねえ!
私はせいぜい日記位。詩は書いたかもしれないかも・・・程度には書いてみたりしたことはあったかもですが!
返信する
Re:pukarikoさん (デ某)
2016-12-07 00:27:29
pukarikoさん
コメントありがとうございました

> 私もあの頃に戻っていました。
> プラトニックが当たり前で、好きな人をただ見ているだけで幸せでした

当時も「プラトニック・ラブ」という言葉は使われました
でも それさえなにか密やかで妖しい雰囲気・・・(笑)
アヤシイ二人が「ぼくたちプラトニックだから」って言うのを聞くと 
え~~っ!ってフリーズしてましたからねぇ。
プラトニックというより ラブトニックぶっかけられた感じ・・・

> 一足飛びに発展するなんてこと、ありえなかった。
> たまにそういうのがいると、カンペキ不良のレッテル貼られましたし。
「不良」という言葉もいつからか死語化してしまいましたね
不純!最低!の代名詞だったのに
「今ちょっと不良してる」は・・・びみょ~にかっこ良くなるも、やがて消失。
「ラブってる」と言われると こちらは完璧に引いてしまいます。

> 無茶苦茶な教師、いましたね~。
> そういうヤツは同窓会にも呼ばれない
昔も今も いつの時代も います
同窓会に呼ばれないくらいならまだマシ、警察に呼ばれるひとも・・・

> デ某さん、ロマンチストですね~詩作ですか~。
当時、一つの表現方法としてフツーにありました。
ホンモノのロマンチストたちは図書館でとか木陰で静かに瞑想していました
返信する
Re:Anneさん (デ某)
2016-12-07 00:50:43
Anneさん
いつもコメントありがとうございます

> 読んでいるだけで自分のあの当時を思い出してきます。
> コメントで書き出したら止まらないくらい(笑)
人生の中で あの三年間は たぶんその何倍も長い時間かもしれません
余りに濃縮・冷凍された時間ですから 解凍したら何倍にもなります。

> 私の時にも今なら問題になるような先生がいました。
当時も大いに問題でしたけど、外部には巧みに隠蔽されていました
それは本質的には昔も今も同じかもしれません。

> 「ドライバー教育」と称してドライバーで肩なんかをコツッと!
ちょっと笑えるかも

> 数学と体育の先生でした・・・数学が好きだったので私は嫌じゃなかった
ちょっと複雑...(笑)
私の場合、若くて美しい先生に肩を叩かれて説教されると...もっと!

> 詩を書くとはさすがですねえ! 私はせいぜい日記位。
当時、「詩」は或る種のブーム、それほどキザでもロマンチックでもなく...
結構!文語調だったり、賢いヤツは漢詩にして煙にまいていました

> 詩は書いたかもしれないかも・・・程度には書いてみたりしたことはあったかも・・・

実は前夜、或る戯曲賞の選考の場で
「かも...みたいな...だったりして」が連発される戯曲が話題に...。
甲論乙駁がなかなか面白かったです(笑)
返信する
懐かしいあの時代 (沙羅)
2016-12-07 15:33:25
実は4日に大阪の高校なのに関東に在住の人の東京同窓会に日帰りで参加していました。
すごく楽しいので新幹線に乗ってでもなんです。
そこで50年振りに発見されたという学校生活を撮った8ミリカメラの映像をDVDに直したのを見せてもらいました。
今はもうない校舎・文化祭の劇・そしてフォークダンスもね!
デ某さんの文章に高校時代がよみがえります・・同じだって。
私自身は恋も片思いばっかり、ほとんど目立った活動もせずでしたが。。

その同窓会で聞きました・・ある人が先生にいじめられて留年することになったと・・知らなかった、そんなことがあったなんて。
返信する
Re:沙羅さん (デ某)
2016-12-07 16:27:37
沙羅さん
コメントありがとうございました

> 大阪の高校なのに関東に在住の人の東京同窓会に日帰りで参加していました。
> すごく楽しいので新幹線に乗ってでもなんです。
リタイア後は東京に行くことが殆どなくなりました
いちばん最近!は今年の一月、それも日帰りでした。
でも 都市の品格のようなものを感じ...年甲斐もなく?わくわくしました(笑)
それにしても同窓会で...とは、よほどウマ?のあうお友達なのでしょうね。

> 50年振りに...学校生活を撮った8ミリ映像をDVDに直したのを見せてもらいました
当時、動画と言えば8mm、それも手巻きでした...言わばお宝映像ですね

> 今はもうない校舎・文化祭の劇・そしてフォークダンスもね!
> デ某さんの文章に高校時代がよみがえります...同じだって。
木造の校舎、木製の机と椅子って 特別な感慨がわいてまいります
いま あの時代の文化祭、体育祭が音付き!の映像で甦るとすれば
それだけで同窓会は超!満員になるかもしれません(笑)
8mm・・・音がないのが悔しかったことでしょう。
でもみなさんの思い出を語る言葉が十分リアルに映像を補ったことと思います。

> 私自身は恋も片思いばっかり、ほとんど目立った活動もせずでしたが。
み~んな!そうでしょうね
それだけにカップルは輝いていましたけど...

> その同窓会で聞きました...ある人が先生にいじめられて留年することになったと
私も入学後すぐハンドボール部を指導する体育教師に執こく誘われました
ハンドボールで校名を高めることに執念を燃やしている教師で
「その体格で入部しないのは不道徳だ」という無茶を言われました。
断ると、ヤクザのように「おぼえてろよ」と

表に出なかった様々ことがあるでしょうね、きっと!
勿論、思わず頬のゆるむような秘密の暴露もありますけどね
返信する
Unknown (ガムザッティ)
2016-12-07 20:53:01
デ某さん、こんばんは。

北風さんのお家と、陽だまりで見つかったガムザッティで~す。
(まるで北風と太陽!)

デ某さんの青春、ESS(って今の人使いますかね)でハムレット!

フォークダンスで彼女と踊る前に曲が終わってしまう!

典型的な、青春ですね。
村下孝蔵さんの「初恋」のようです。

ダヴィンチフェチで全摘を拒否ったと誤解されているみたいなので解きにまいりました。(^^;)

そんな余裕なんてないですよ~。
左腎臓に部分切除が難しいがんが見つかって、右腎臓が水腎症でほんの少ししか機能していないからって、ある日突然、がんと人工透析の二重宣告を受けてしまったのです。

おバカな私は、がんと闘うより透析の方がショックでどうにかならないかと病院巡りをして、透析回避を目標に治療してくださる先生にようやく会えたのです。

薬で小さくして部分切除に持っていきましょうということで。

丁度、イビニボの治験の申し込みすれすれの時期でした。
私は陽だまりさんと同じ、イビニボを受ける気マンマンでしたが、スーテントとの比較で、どちらになるか全くわからないし選べない。で、スーテントが来ちゃったのです。

副作用はとても苦しかったです。
2月~7月末まで飲んで、1cm位小さくなってくれました。
位置的には未だ、太い血管に掛っていて難しい手術だったようですが、8月に何とか部分切除に成功して透析回避もできました。

その後、陽だまりさんが同じ治験だったことを知りお付き合いさせて頂いています

ホントは、ブログに出来る位病院巡りも辛かったんですけど。

ダビンチにこだわってスーテント飲んだわけではないのです。

長々とスミマセン。腎がんブログ持っていないとこうなってしまう典型的な例ですね。
ご静聴ありがとうございました。

シルヴィ・ヴァルタンさん、CMで有名な曲なら知ってます。
デ某さんの選曲は、まだ私が生まれていなかったりします。

とりあえず誤解を解かないとと、なぜかデ某さんのブログで自分の病歴を説明することになってしまい申し訳ありません。

では、また。
返信する
Re:ガムザッティさん (デ某)
2016-12-08 01:07:15
ガムザッティさん
コメントありがとうございます

> 北風さんのお家と陽だまりで見つかったガムザッティで~す(まるで北風と太陽)
陽だまりのキャロルさん・・・でもいらっしゃいます
なんか 影を追っていたら とつぜん!リアルに肩をたたかれた感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=zlLfApbFREA

> デ某さんの青春、ESS(って今の人使いますかね)でハムレット!
> フォークダンスで彼女と踊る前に曲が終わってしまう!
えっ?! ESSってもうないのですか?
ESSで進駐軍の基地を訪ね英会話の練習したり...なんて言うと 旧~っ!て?
旧いことは旧いですが、1970年代まで進駐軍が管理したレーダー基地です。

> 典型的な、青春ですね。
> 村下孝蔵さんの「初恋」のようです。
私の世代で「初恋」と言えば舟木一夫さんなんですよねぇ
https://www.youtube.com/watch?v=-2Bq97MOYgU

> ダヴィンチフェチで全摘を拒否ったと誤解されているみたいなので解きに...
おそれいります
腎がんは『まずは手術』『転移して分子標的薬』が定番?と思っていました。
たぶん前例も稀なのでは?
フェチ!と言えば ガムザッティさんは「はにゅ~ゆずるフェチ」でも...。
わが姉(69歳.独身)も「はにゅ~ゆずるフェチ」にござります。

> 副作用はとても苦しかったです。
> 難しい手術だったようですが...部分切除に成功して透析回避もできました。
> ホントは、ブログに出来る位 病院巡りも辛かったんです
私は「医師に言われるがまま」に観念してしまうところがありますから
ガムザッティさんの勇気あるこだわりに心から敬意を表します

> 長々とスミマセン。腎がんブログ持っていないとこうなってしまう典型的な例...
別荘を建てられ 「腎がん」の看板も掲げてくださいまし

> デ某さんの選曲は、まだ私が生まれていなかったりします。
ちょ ちょっとだけ 凹むコメントなり

> デ某さんブログで自分の病歴を説明することになってしまい申し訳ありません
丁寧にご説明くださりありがとうございました
「腎がんのことが少ない」と ブログ村の村長さんに睨まれていますので、
ガムザッティさんのコメントで 村長さんに一矢報いた かも...(笑)
返信する

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