泣きそうなまま歩き出した私の後ろから、車が一台。
目の前に停まる。
さっきのおじさんの車ではない。
でも、知らない車だ。
どうしよう。
すると、1人のおじいさんが降りてきた。
「どうしたんだ、こんなところで」
品の良いおじいさん。
私は、行きたい場所があって歩いていたこと、知らない人に連れて行ってあげると言われて車に乗ったら、ここに連れてこられたことを話した。
「わかった。その場所なら私も知ってるから。送っていくから乗りなさい」
私、また乗りました。
知らない人の車に乗ってはいけないと、学びましたよね?
身をもって学びましたよね?
でも、私はこのおじいさんを信じたんです。直感です。
車の中、詳しい話をしながら連れてこられた道を戻る。
あんまり覚えていないけれど、とても優しくて心配してくれていた。
おじいさんも、その修道院に行った事がある…だっけかな?そんな事を聞いた。
しばらくして、目的地に着いた。
「ありがとうございました!」
ペコリとお礼を伝える私。
「私が言うのもなんだけど、もう知らない人の車に乗っちゃダメだよ」
的な事を言われたように思う。
ほんとです。ごめんなさい。
そしてほんとにほんとにその節は
ありがとうございました。
修道院への道を少し歩く。
ススキが、日差しを浴びて透けていた。
私は予約もなしに修道院を訪ねて、おばあさんにお話の場を設けてもらった。
つづく。
文章にすると、長い!