漂白剤みたいな雨よりましだ
異常な猛暑に見舞われたフランスの上空に、不気味な雲が現れる。それは南米に壊滅的な被害をもたらした酸性雨を降らせる危険な雲で、人間や動物のみならず車や建造物までも溶かしてしまう恐ろしいものだった。
北部の地方都市に住む中年男性ミシャルと元妻エリースは、寄宿学校に預けていた娘セルマをどうにか救出したものの、酸性雨はあらゆるものを焼き尽くすように溶かし、大勢の命を奪っていく。フランス全土が大混乱に陥るなか、一家は安全な避難場所を求めてあてどなく歩き続ける。
しかし彼らの行く手にはすさまじい群衆パニックと、高濃度酸性雨のさらなる恐怖が待ち受けていた。(「作品資料」より)
人々を死に至らしめる酸性雨から逃れようとする家族の姿を描いたサバイバル・スリラー。
地球温暖化の影響で南米に酸性雨が降り、甚大な被害をもたらしていたが、それがパリにも降り始める。
警官への暴力で行動制限を受けているミシャルは、元妻、エリースからの連絡で娘のセルマを救いにいく。
酸性雨は人や動物のみならず、家屋や車まで焼き尽くそうとする。
そんな中、ミシャルはエリースとセルマと共に酸性雨から逃れようと奮闘する。
パニック・サバイバルの様相を呈しており、カオス状態となる人々の姿が映し出され、やがてその混乱状況が悲劇を生む。
ミシャルは、エリースの兄が話す避難所に向かわず、恋人であるカリンがいるアントワープへ向かおうとする。
避難しようとするミシャルとセルマの間には、どうも意思疎通が取れていないような雰囲気。
父親に反発するセルマであるが、危険な状況になると助けを求める。
果たしてこんな状況での安全な場所というのはどこだろうか。
一応避難所となっている場所への到達が話の終わりなんだろうか。
降ってくる雨のみならず、水道水、川の水、更に水たまりまで危険な状況下でのサバイバル劇。
緊迫感と共に個人のエゴを映し出し、興味深い作品だった。
ラストは必ずしもハッピー・エンドではなかったな。
/5
監督:ジュスト・フィリッポ
出演:ギヨーム・カネ、レティシア・ドッシュ、ペイシェンス・ミュンヘンバッハ、マリー・ユンク、スリアン・ブラヒム、マルタン・ベルセ、クレマン・ブレッソン
於:TOHOシネマズ シャンテ
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