建築設備実務の知識とセンスを養う!(全日本土木建築情報センター提供)

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建設業法施行規則等の一部改正~平成22年4月1日以降に建設業者が提出する財務諸表が改正されました ~

2010年03月25日 | 建築・建築設備最新情報
建設業法施行規則などを一部改めて、建設会社が建設業許可部局に提出する財務諸表は、原則として工事進行基準にする旨が2月3日に国土交通省より発表されました。

工事の完成時に一括して売上げ高として計上する「工事完成基準」に対して、「工事進行基準」は工事の進捗状況に沿って売上高を少しずつ(相当額)を計上していくという考え方です。

これは、企業会計基準や会社計算規則などの改正に対応したもので、4月1日から実施されます。

これまで、工事完成基準を採用していた会社が、工事進行基準にシフトしたときには、従来の売上に工事進捗相当部分が加算されるので、売上高が膨らむことになります。

【参考】

建設業法施行規則等の改正について
~ 平成22年4月1日以降に建設業者が提出する財務諸表が改正されました ~



1.主な改正内容
(1)建設業法施行規則の一部改正

[1] 貸借対照表 (別記様式第15号) の見直し

○「リース取引に関する会計基準」の改正により、実質的に割賦販売と同一視できるリース取引は、貸借対照表上で売買同様の処理を行うとされた。
→同会計基準の改正を踏まえ、貸借対照表の勘定科目として「リース資産」等を追加するとともに、所要の記載要領を追加。


[2] 注記表 (別記様式第17号の2) の見直し

○「会社計算規則」の改正により、金融商品、賃貸不動産については時価評価に関する注記を行うこととされた。
→同規則の改正を踏まえ、注記表に金融商品等の時価評価に関する注記の記載欄を追加するとともに、所要の記載要領を追加。


[3] 用語の整理 (別記様式第15号、第16号、第18号、第19号)

○一般の会計慣行に合わせて、用語を形式的に整理。例 受取利息配当金 → 受取利息及び配当金) 

(2)関連告示の一部改正

○「工事契約に関する会計基準」の策定により、売上げ等の計上の原則が工事完成基準(工事完成時に売上等を計上)から工事進行基準(工事の進捗に応じて売上等を計上)に変更された。
→同会計基準の策定を踏まえ、「完成工事高」(=売上)の勘定科目の定義を変更。

2.スケジュール

  公布 : 平成22年2月3日
  施行 : 平成22年4月1日
        (注記表は、平成21年4月1日より前に開始した事業年度に関しては、
         従前の様式を使用することが可能)

【消防庁】消防法をわかりやすいものに!

2010年03月24日 | 建築・建築設備最新情報
総務省消防庁より、今後の火災予防行政のあり方について総合的な検討を行うため、「予防行政のあり方に関する検討会」において、「基本問題に関する検討部会」を設置し、検討作業を開始することが発表されました。

問題が生じる度にその教訓から再発防止策が講じられ、消防法が複雑化してしまったものを簡明なものに是正を図るものとして期待したいところです。


1.検討の方向性

○火災被害の中心:かつてはデパート、ホテル等の大規模事業所
近年は雑居ビル等の小規模事業所・福祉施設、一般住宅→火災予防行政の枠組もこれに対応して洗い直し、実効性を向上

○現行の規制は、建物の用途・規模に着目しつつ、ハード面(設備の設置:消火器、スプリンクラー等の品目ごと)、ソフト面(防火体制の整備等)について、それぞれ要件を定め、並列的に義務付け。
さらに、過去の大火災ごとに新たな制度を積み重ね、複雑化。
→施設ごとに求められる防火性能を軸に規制体系を再構築し、簡明化

2.想定される検討課題

【火災予防の実効性向上】
○火災予防に係る国民の責務
○火災危険性評価の導入
○消防法令の順守・違反状況に関する公表制度の整備
○複合ビル等の防火管理・責任体制の明確化
(建物全体+テナント単位)

【火災予防に係る規制の合理化】
○規制体系(用途・規模の区分等)の再編・簡明化
※特に、最小規模の事業所、
巨大・高層の再開発物件に関し、要検証
○「規格による規制」から「防火性能を満たす多様な
手法の容認」へ
○消防用機器等に関する公的認証制度のあり方

3.検討スケジュール

本年3月から検討作業を開始

年内に基本的方向をとりまとめ

平成23年の通常国会での法律改正を想定

【用語説明】リフォーム瑕疵保険

2010年03月23日 | 建築設備

○リフォーム工事に欠陥が見つかった場合の修理費用をまかなうための保険が利用できる。工事業者が倒産した場合でも保険金を受け取れる。
○保険は、国土交通大臣から指定された住宅専門の保険会社(保険法人)が、建築士による現場検査を行った上で引き受ける。
○加入手続きは工事業者が行うので、保険を希望の場合は、契約前に工事業者に確認してください。

リフォーム瑕疵保険を取り扱う保険法人(平成22 年3 月19日現在)
・(株)日本住宅保証検査機構 03-3635-3655

【国交省】【消費者支援】来月から 住宅トラブル防止 リフォーム欠陥に保険

2010年03月23日 | 建築・建築設備最新情報
住宅リフォームに関する消費者支援策について、国交省が発表しました。
一層の消費者保護強化策が講じられることによって、リフォーム需要が増大していくことに期待したいと思います。

昨今、住宅リフォームに関して、ずさんな工事や過大な工事費用の請求等による消費者トラブルが後を絶ちません。
その中で、3月8日から窓の断熱改修等の「エコリフォーム」等を対象にして、様々な商品やサービスと交換できるポイントを発行する、「住宅エコポイント制度」の申請受付が始まりました。

このような状況を踏まえ、日本弁護士連合会の協力を得て、住宅リフォームによる消費者被害の防止を図るための新たな取り組みを開始になったとのことです。

1.リフォーム瑕疵保険

消費者が安心してリフォーム工事を行えるよう、建築士による検査と保証がセットになった、住宅瑕疵担保履行法に基づくリフォーム瑕疵保険を整備するとともに、保険に加入している工事業者のリストを公開し、消費者が工事業者を選択する際の参考とする。

 

2.リフォーム見積相談制度(4月1日から)

(財)住宅リフォーム・紛争処理支援センターにおいて、工事業者から提示された見積に関する無料相談を受け付ける。



3.弁護士等による無料の専門家相談制度(4月1日から)

消費者の求めに応じて、全国各地の弁護士会で弁護士や建築士が無料で対面の相談を受け付ける。


「平成21 年度 公共工事の施工体制に関する全国一斉点検結果について」が国交省より公表されました

2010年03月21日 | 建築・建築設備最新情報
公共工事を適切に実施するためには、請負者による適正な施工体制の確保が重要であることから、国土交通省では平成14 年度から、稼働中の国土交通省直轄工事を対象に「施工体制に関する全国一斉点検(以下、“一斉点検”という。)」を年1回実施しております。
8 回目となる今回も、平成21 年10 月から12 月にかけて一斉点検を実施し、その結果を取りまとめられました。
施工業者様においては、検査項目は常に意識しておく必要がある事項ですので、是非ご一瞥いただきたいと思います。
※結果の詳細については、国土交通省HPをご確認下さい。

○ 全体で853 件の工事(稼働中工事10,203 件の約8%)を点検。このうち低入札価格調査制
度調査対象工事(以下、「低入札工事」という。)は112 件(稼働中工事168 件の約67%)、それに準じて重点的な監督業務を実施する工事は204 件(稼働中工事839 件の約24%)。

○ 点検を実施した結果、明らかな建設業法違反で許可部局への通知が必要な工事が『(Ⅰ)基本点検項目』で3 件(3 工事)(約0.4%)、『(Ⅲ)下請業者への点検項目』で2 件(1 工事)(約0.3%)あった。

○ 点検を実施した工事のうち約3 割(228 件、約27%)の工事で、書類の不備など軽微な改善事項が見られた。

○ 点検結果は全般的に毎年改善されており(H20:325 件、約29%)、“建設業法”や“公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(以下、「適正化法」という。)”に関する理解の浸透が着実に進んでいることが伺え、特に建設業許可票の掲示(改善すべき事項
がある工事の割合は、H14:75.6%→H21:1.1%)や施工体系図の掲示(同H14:18.6%→
H21:1.8%)などで顕著である。

○ 平成20年度からの経年調査で重点点検項目とした“明確な工事内容での契約(同
H20:14.8%→H21:15.1%)”は微増傾向にあるため、今後も特に着目していく必要がある。
同じく重点点検項目とした“施工体制台帳の備え付け(同H20:2.8%→H21:2.0%)”及び
“請負代金の適切な支払い方法(同H20:2.6%→H21:2.2%)”はわずかに改善している。

○ 施工体制確認型総合評価方式(以下、「施工体制確認型」という。)(改善すべき事項がある工事の割合は、H20:28.8%→H21:26.9%)はわずかに改善していることが確認された。

○ また、施工体制確認型とその他の入札方式を採用した工事に比べて「改善すべき事項のあった工事の割合」が同程度の比率となっており、施工体制確認型の有無に関わらず、適切な施工体制を確保することが浸透していることが伺える。

○ 国土交通省では、適正な施工体制の一層の確保を図るため、本点検結果を踏まえつつ、引き続き通常の監督及び検査業務を通じて対策を講じていく。

予定価格の事後公表が急増。積算能力のブラッシュアップを!

2010年03月20日 | 建築設備

入札前に公表していた予定価格を、入札後の公表に変更する動きが地方自治体の間で急速に広がっている。
09年7月末までに、24都道府県7政令都市が実施している。

地方自治体にとっては、事前公表することで、自治体職員から予定価格を聞き出そうとする不正な圧力を排除し、職員と建設会社などとの癒着を防ぐという目的もあり、不正防止と透明性確保などの観点から、多くの自治体が事前公表を採用してきた。

予定価格が事前にわかるので、積算能力のない会社が入札に参加したり、最低制限価格ぎりぎりの低価格入札を誘発したりするといった批判も高まり、国土交通省と総務省は2008年3月と同年9月、自治体に事前公表をやめるように通知したほか、経済対策の緊急的な要請などの機会毎に事前公表の取り止めを求めてきた。

今後は、都道府県、市町村レベルで、予定価格の事後公表が増えてくるのは確実であり、受注するには、今まで以上の“積算能力のブラッシュアップ”が求められます。


本当の「チカラ」がないと勝ち残れない。この苦境をチャンスに変える!

2010年03月19日 | 建築・建築設備最新情報
ある関東地方の市の工事において、公共下水道工事発注で材料の単価を100倍で積算したミスが発生し、担当課長など職員が懲戒処分になったニュースは記憶に新しい。

報道によれば、ミスは、汚水管を敷設する工事について、設計者の主査がマンホールの材料単価2万6800円を誤って100倍の268万円としてパソコンに入力。設計金額が約863万円も過大に積算され、入札を行った、ということらしい。

ケアレス・ミスと言えばそれまでで、よくある話といえば、よくある話でもあります。

人間がやることだから、ミスをするのは当たり前であるが、それを最後まで発見できずに入札にまで至ってしまうのは、組織の問題であったり、再鑑態勢の欠落であったり、上司とのコミュニケーション不足の問題かもしれません。

あと気になるのは、「パソコンに入力」というところです。

パソコン、積算ソフト、EXCELなどは、計算負担を解消してくれる非常に有難いツールではありますが、それらのツールには計算工程を「順をおって」進めていくプロセスがまったくないので、今回のようにマンホール単価の異常値に気づかぬまま、もっともらしい積算総額をはじき出せてしまうところがリスクポイントであるわけです。


積算とは計算を積み上げていくわけであるから、積み上げ対象の各々の計算金額が正しくなければ正しい結果を導き出せないのは言うまでもありません。

積算業務の省力化、事務軽減のために、パソコン・ソフト類を使うのはもちろん構わないのですが、原始的な(手)計算の方法をきちんと理解していないと、検算もできないわけで、ここで積算実務者の基本に忠実な力量、「チカラ」が求められるところであると思います。
その「チカラ」があれば、今回の積算ミスは絶対に防げたのではないでしょうか。

当センターの積算の本は、計算の1ステップ、1ステップを、「丁寧に」解説しておりますから、実際の皆さまの業務でも、きちんと再現することができます。
「丁寧に」の意味するところは、わからない人が当然わからないであろうところを先回りしてくわしく説明しているという意味で、手元に置いておけば、いろいろ役立つ御守りのような本に仕上げてあるつもりです。

是非、ここをクリックして、当センターのHPを覗いてみてください。






【国交省】【総合評価落札方式】直轄工事、入札制度を見直し。10年度執行から

2010年03月07日 | 建築・建築設備最新情報
国土交通省は、3月5日、2010年度の予算執行から、国の直轄工事の入札契約制度を改めると発表しました。

改正するのは価格以外に技術力などを加味して事業者を決める「総合評価落札方式」。
点数や具体的な評価を参加企業に通知するとのことです。

全国8つの地方整備局に窓口を設け、評価内容についての質問も受けるなど、事業者の選定過程を透明にすることで、民間企業に技術力の向上を促すのがねらいのようです。

「総合評価落札制度」においては、入札価格だけでなく、企業の技術力や経営基盤の安定性も吟味するほか、施工計画が周辺環境に配慮しているかも点検されます。

新しい制度では、周辺環境への配慮などで、どのような行為が加点対象として評価され、どのような行為が加点対象として評価されなかったかを分かりやすく説明する、とも報じられており、「戦略的な技術競争」をしていくことになりそうです。

各社は、自分の会社の技術面での競争優位性を正しく認識し、適切な配置予定技術者を選定したり、現地調査を徹底的に行うなど、従来以上に手間暇かけて、そのうえで発注者の企図に沿った技術提案をしていくことが、今回報道されている「総合評価落札方式」という制度下では肝要となります。

現在、建設業を取り巻く環境は非常に厳しい中ですが、この制度は、価格だけの勝負ではない点に注目しておく必要があると思います。

上で「戦略的な技術競争」という言葉を使いました。
正しいことを正しくやる、ということだけではダメで、正しいことを正しくやれることを正しく理解してもらい、評価してもらえるような技術力・ノウハウと工夫が必要なわけです。

しかしながら、あまり特効薬はなく、設計、施工、積算の実務を幅広い知識や経験をベースとして、それらをうまく組み合わせたり、応用したりして、より良く、より高く評価される技術提案を行なうことに尽きるわけで、従来以上に、そのベースを強化する継続的な努力をしていかなければならないのだと思います。

弊社の書籍は、幸いにも、設計、施工、積算の三大業務を幅広く、かつ相当くわしく取り上げている実務書ばかりです。

このような時代にこそ、永年にわたり安定的に改訂を重ねてきた弊社書籍をフルにご活用いただきたいと思います。