ロボメカ2011のメモ
公開シンポジウム「東日本大震災へのロボット研究者の取り組み」
田所先生:レスキューロボットは災害前から消防等に配備しておかないと役にたたない.災害が起こってからこのロボットを使ってくださいと言っても,「訓練された隊員をヘリから一人降ろしてそのロボットを乗せる価値があるか?」という話になる.
松野先生:要救助者がいる可能性が高ければ消防の判断でロボットを投入できるが,低いと所有者の許可が必要になる.このため今回の震災ではあまり投入できなかった.
--これも田所先生の話と同じで災害前に配備しておけば状況が変わってくるのだろう.
水中ロボットによる捜索について.ダイバーが10m以上潜るときは減圧が必要になり,また体力も消耗するため作業時間が短くなる.深い水深での捜索が可能なロボットがあれば有益だ.
田中孝之先生(北大):復旧現場で使用中の「パッシブ筋力補助スーツ」について.アクチュエータを使わずにゴム材で筋力を補助する.後背部にゴム材があり,腰をかがめたときに腰にかかる力を分散することで楽になる(2A1-E07).
1A1-G08超磁歪材料を用いた発電システムの試作
圧電素子は変形で発電するが,超磁歪材料は磁界が変化する.磁界の変化を周囲のコイルで電気に変換する.センサに使うことがあるかもしれないのでメモしておく.
1A1-I02流動体を用いた受動変形柔軟ハンドによる接触圧評価
イチゴのように傷つきやすく形がいびつなものをつかむなら,これまでの柔軟指よりももっと柔らかく,対象に合わせて変形するものが良いだろうということでグリセリンと水を入れた袋を使ってみたという研究.対象物が限定されているならそれに最適化したものを作るのは当然ですな.
1A1-I06ワイヤ型空気圧ゴム人工筋肉内蔵型ロボットハンドの開発
空気圧アクチュエータをワイヤとして使うのではなく,ワイヤのように細いという意味.勘違いしていた.
1A1-J08全方向包み込み式なじみグリッパ機構
1A1-J09全方向包み込み式グリッパ機構による複数物体の連続把持動作
重たいものをつかんで固定するときにHot-Ice現象を利用している.水や液体の合金を固めるよりかはずっと速いと思うけど,もっと速くならないものかね.
1A2-B09オンチップビオトープ
珪藻をつかんで刺激する装置.つかむ力の精度は100μNくらい.これまであまり見てこなかった分野なので細かさに感心した.
1A2-H09中空マイクロカプセルによる光硬化樹脂の軽量化
磁性体を入れただけの光硬化樹脂は重たくて重力と反対方向に動かしにくい.中空のマイクロカプセルを適量混ぜることで比重を水と同じにし,どの方向にも動かしやすくした.デモでは水中に入れた螺旋状の樹脂を外から磁石で操ることで自由に動かしていた.
1A2-H17空気旋回流のアレイ構造を用いた非接触吸引デバイス
シリコンウエハーの移動などで使われる吸引デバイス.旋回流をノズルから噴き出すとその中心部分には吸引力が発生する.従来技術ではシリコンウエハーを持ち上げることはできるがウエハーが揺れてしまい良くない.ノズルを小さくたくさん配置し,噴き出した空気の逃げ道を作ることで安定した吸引を実現した.つい最近まで吸引研究をしていた者としてはこんな吸引方法もあるのかと感心した.異分野の研究を見るのはためになるなぁ.
1P1-F08 1μmが測定できる微小変位可視化シールの開発
モアレを使うこの方法は電気的なセンサがいらないので場所によっては便利なんだよなぁ.なおこの研究では画像処理することで1μmを実現している.
2A2-I09内径センサ内蔵型ゴム人工筋の開発
フォトリフレクターをチューブ内に入れて内径変化から伸縮を推定する.
2P2-H06 ESD手術のための吸着式鉗子の開発
患部を保持するのにべローズ型の吸引管が有効という報告.実験では内径8mmと太いから安定して接触させるにはべローズ型が有効だっただけではなかろうか?もっと細くなると角度の影響は小さくなるような気がする.