探し物はなんですか?

 

「ねえねえ　木のおわんはどこかしら　」

「ねえねえ　カーディガンはどこに入れたかしら」

ねえねえ....と　この１ヶ月ほどは　ずっと母は探し物をしています。

母の荷物の荷造りは私がした為に　どこに何が入っているのか分からなくて。。。

一応　ダンボールやケースには　衣類だとか本だとか表示はしていても

積み重ねていると　やはりあれこれ探すようになるのですね。

その延長線上だろうと思っていたら　毎日　なにかしらを探しています。

「どうしたの?」

「うん　さっき読んでいた新聞　どこに置いたかしらね」

そんなことから始まって　めがねがない、今朝の血圧　いくらだっけ、鍵がないのよぉ　等等

ついさっきのことなのに　あれっ　と言うようなことが増えたようなのです。

「ねえねえ　あなたの携帯番号と　家の電話番号を書いたメモが見つからないのよ」

どれどれと　バッグの中を探ってみると.....

「ほら　バッグを昨日のとは変えたでしょ　こっちに入ってたよ」　なんてことも。

長い間一人で暮らしていて　緊張感があったのが　同居したらどこか安心したのか

気持ちが緩んできたのかな....と　本人は　忘れっぽくなったり　探し物が多いことに

少しばかり　ショックを受けているようです。

今日も　ごそごそと探しています。

「探し物はなんですか? 」

「んとね～あれっ??? 」

「どうしたの」

「何探していたのか　忘れちゃった....」

ちょっとしたいたずらを見つかった子供のように　母はお茶目な表情。

「あはは　それじゃ　なかなか見つからないねぇ。元いた場所に戻ると思い出すかもよ」

 

　　　　　　　　　　お母さん　心配要らないよ...

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そばにいるよ...

 

　　　　母と散歩。　遅れてきた彼岸花が　鮮やかに黄金色の田を縁取っていました。