yuzuの記

優しい風に誘われて

黄昏はことに寂しと言う妻の・・・

2018-09-10 08:35:00 | つれづれ

 

 

☆ 黄昏はことに寂しと言う妻の

         指の白さや伏して3年 ☆

 

私がまだ大阪で勤務していた頃

ご夫婦で働いておられたご主人の方が詠まれた歌です。

奥さんは太っ腹な鷹揚な方で

私たちも可愛がってもらったものです。

奥さんは細菌、ご主人は生理検査に携わっておられました。

ある時奥さんが体の不調を訴えられて

検査したところ膵臓に重篤な所見が見つかりました。

病理担当があんな症例は見たことないほど深刻だと

表情を暗くしていたものです。

膵臓の腫瘍は発見された時には遅いとよく言われます。

それほど見つかりにくいのですね。

当然私たちの検査でも多くの項目に異常値が出ました。

主治医はよくもってあと1年でしょう とご夫婦に告げたと言います。

余命を告げられる気持ちっていったい・・・

それでも最新医療も模索して いろんな所に出かけて治療を施して

頑張って頑張って 3年後に亡くなりました。

先の歌はお葬式でご主人が披露されたものです。

いちど聞いたら忘れられない歌でした。

 

通院時 部屋に顔を見せてくれることもあって

ずいぶんとスリムになった体を皆からいじられても

「わはは ちょうどいいでしょ」 と笑い飛ばしていました。

人は覚悟が定まると強くなるように見えます。

計り知れない悲しみが隠されていることも 私たちは皆承知しながら

ごくごく普通に世間話をしていました。

 

今になって突きつけられた余命と

どう向き合っておられたのかと その思いに対峙すると

「あとどれ位と分かっているのもいいかも知れない。逆算して過ごす努力が出来るからね。

宿題を置いたままだと心残りでしょ」 と

そんな事も言われたのを思い出します。

まだ50代初めでした。

 

秋の黄昏時

赤く染まった空をふたりで縁側に座って

見ていた時の歌だと話されたご主人は

「もう 痛い痛いという声が休まるのだと思うと どこかでホッとしています」 と

奥さんが自分で選んだという遺影に 微笑みかけておられたのが印象的でした。

 

                                             ☆ 写真は高島市の夕景


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4 コメント

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yuzuさんへ (のびた)
2018-09-10 10:50:30
哀しい話ですが 素敵な夫婦愛も秘められていますね
まだ50代 余命宣告をされた後の生き方 想像すらできません
ポジティブに生きられた方とは思います
私の年齢になると いつあの世に行ってもおかしくないものですが いざ あと 何年とか何か月と宣告されたら 穏やかかに過ごせるか自信はありません
せめて 今を大切に 今を幸せと感謝に感じながら生きて行きたいです
返信する
私もそう思います ^-^ (yuzu)
2018-09-10 18:08:51
のびたさん こんばんは~ ^-^

見ていただいてありがとうございます。
ほんとにそうですね。私もそう思います。

生れた以上死は必ず誰にも訪れます。
それも様々な形で・・・無事に生涯したくても
病や震災、理不尽な出来事 様々ですね。
自分の整理をきちんとつけて 形見分けから遺影まで
準備されて それは見事な終わり方でした。
多分 私たちにはうかがえない壮絶な葛藤があったでしょうが
最後はご夫婦の時間を大事にされていました。
どう生きるか どう逝くか とても考えさせられる場面でした。

私もある時から出来るうちに出来ることはしよう
行けるうちに行きたい所へは行こう と思うようになりました。
まず 1日1日をありがとう と過ごせたらいいなと思っています。
コメント ありがとうございました。m(__)m

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余命宣告を告げられて… (pikao)
2018-09-12 23:06:00
こんばんは^^
残酷ですねぇ 余命宣告は・・・
相当な覚悟を決めないと受け入れられないですネ
愛する人を失う恐怖に打ち勝つには精一杯の事をするしかないのでしょう
夕暮れ時のこの色はそれを物語ってますね
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自分なら・・・ (yuzu)
2018-09-13 20:13:32
pikaoさん こんばんは~ ^-^

そうですね、私も考えましたが
自分ならどうだろう・・・と
多分 初めは固まって そのうちジタバタするんだろうなって
今は 告知はするのが普通になってきましたね。
いざ向き合うとしたら 
やはり 強くいたいと願ってしまいます。
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