前日に雪が舞ったあくる日
高島市今津町弘川にある座禅草群生地を
訪ねてみました。
ここは国内南限の座禅草群生地になるのだそうですね。
竹林の遊歩道を少し歩けば
響庭野の湿地帯に座禅草の群生が見られます。
ああ、雪の間からたくさんの座禅草が息づいています。
座禅草は水芭蕉と同じサトイモ科の多年草で
色のほかは姿かたちも群生する場所もよく似ています。
僧侶が祠で座禅を組む姿に似ていることから
その名前が付いたことはよく知られていますね。
私の両親のふるさとにもそんなところがありました。
五月連休に帰省した折のお墓参りのついでに
もう少し北よりの山に 山菜を採りに母と二人で行ったことがありました。
車を停めて山裾をくるりと回って
わらびやゼンマイなどが採れると母の言う場所につくと
すぐそばに国道が見えそのトンネルの前で
若者がふたり座って通行状況の調査をしていました。
話の内容も聞き取れるほどの距離です。
母は膝を悪くしていたけれど 山に来ると不思議にサッサと歩くのです。
「コンクリートはだめだけど土は歩けるのよ」 と母の言い分です。(笑)
寒い山村では雪解けとともに春はいっせいにやってくるのですね。
山に分け入って出来るだけゼンマイを狙って
それなりに採れると私は来た道を
母は山を迂回するように別の道へと下りたのです。
「おい 確かふたりで来ていなかったか?」
「ああ確かにそうだ。おばあさんの方はどうしたんだろ」
「なんか気になるな、おかしいぞ」
トンネルの前の若者ふたりがそんな話をしているのが聞こえました。
ありゃ 変な誤解を受けてる・・・汗
あとで合流した母に言うとコロコロと可笑しそうに笑って
「あなたが姥捨てに来たんじゃないかと心配してくれたのね」 と
ずっと思い出しては愉快そうに笑っていました。
その時に湿地帯に生えていたのが座禅草です。
私がその名前と姿を初めて知った時でしたね。
愉快な思い出が残るその場所は今も秘密です。
以前はメジャーでなかったこの場所も
地元の人たちのアナウンス努力もあってか
最近は他府県からも大勢来られるようです。
ここの運営管理は全て地元の人たちのボランティアです。
写真家の先生がご年配の皆さんを引き連れて
撮影会に来られる姿もよく見かけます。
2月下旬にはザゼンソウ祭も行われるそうですね。
静かな竹林の道を帰る時
サワサワと風に揺れる笹音が心地よい日でしたよ。