僕の細道

【となりの山劇】第48話

<専門用語続出オーディオ昔話 の巻、その1>

 突然だが『エアチェック』という言葉を知っているだろうか。エアと言ってもナイキの話ではない。このキーワードを知っているという貴方はきっと40歳前後のオジサマでしょう。(失礼!)
 次のキーワードは『オープンリール』。リールと言っても魚を釣る道具でもフライフィッシングでもありません。

 この2つのキーワードは、ワシらのセーシュン時代のトレンドなのでありました。

 つまりですな、『エアチェック』と言えば『FMレコパル!』。『オープンリール』と言えば『テクニクスの10号リール!』。
 とまあこんな具合になるわけです。前置きが長くなりましたが、以前に最近のCDラジカセの悪口をさんざんほざいた続編として、古き良きオーディオの話でもしようかなと思い立ったのです。

 時代は今からかれこれ20年程前、FMから流れる音楽をオープンリールデッキで録音し、カセットテープに編集し直すという事がその頃の学生達にとってはカッコいい事で、流行でもあった。

 特にあの10号リールってやつがゆっくりと回るメカニカルな姿を見ているだけで何かしらうっとりとしていた。ワシもそうかもしれんが、その頃の男達はみな多少機械フェチみたいな部分があったのだろうと思う。
 編集した音楽を聞くよりもその録音をするという『行為』がたまらなく好きだったのだ。

 そおいうワシらの日課は、レコパルが出るとまず番組表を隅から隅までチェックし、これだ!という番組に印をつける事から始まる。
 その目星をつけた番組が夜なら良いのだが、昼間の場合だってある。その頃高校生だったワシらはさすがに学校を休む訳にもいかないの。だから、タイマーで留守録のセットをしておくのである。

 タイマー録音といっても、今のラジカセのように内蔵されてはいない。仕方ないので留守録専用のタイマーを購入するのである。

 これにも流行がある。古くは時計のツメを前に倒し、15分単位でしかセット出来ないアナログ式のタイマーが主流だったが、ワシは生意気にも当時最新式のテクニクスのデジタル式で1週間分まとめてセットできる多機能タイマーを持っておった。

次号に続く


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