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2024-05-09 | 日記

「素人、作家生活に入る」

 プロの小説家に習いながら、素人の絵美は、作家生活に入った。

それはもちろん、好きなことを好きなように書くほうが楽しい。

小説の定義や、骨格については、これまで考えてこなかった。

細部まで緻密に描く手法は、学んだからといって書くことがますます楽しくなるわけではない。

読み手に理解してもらい、共感してもらうための技術を会得するのだ。

絵美は、大声で怒鳴る人が苦手だ。それは、男の人だけれど。

小さな声で謎かけをしてくる男の人も苦手だ。

「あなたは男ですか?女ですか?」と厭な目つきで聞かれたことがある。

彼の眼には、絵美が男か女か解らないのだろうか。

女には間違いないけれど、何かが男のようなのか。

しかし、絵美が男のようなことをして、何がいけないのか。

男の人は、絵美を責めているのか?揶揄っているのか?

そもそも、男の人と絵美との間には、何の関係があるのか?

ここまでを頭の中で数分掛けて整理すると、男の人には理解できないだろうが、

絵美には、ひとつの答えが出る。

「男の人と関わらないでいられる絵美の生活は、大切なものだ」

絵美だけに大切なもので、男の人からすれば何の役にも立たない生き方。

絵美は現実でお喋りすることが苦手だ。

大声を聞くと、なんと言われているのか聞こえなくなる。

壊れた言葉の音だけが響いてくる。怖ろしいイメージの音。

絵美が話すと、「早口ね」「訛りがあるね」「なんていってるのか全然わからない」

頭を押さえつけられ、叱られている気分がして、顔はまっ赤になり、泣きべそになる。

だから、黙っている。相手に合わせてお喋りすることが苦手だし苦痛だ。

自分の部屋で、本を読んだり、原稿用紙に文字を書き込む作業は好きなのだ。とても時間が掛かるけれど。本を読むことは1時間では終わらない。原稿用紙1枚書くにも30分掛かる。

だからこそ、男の人と関わらないでいられる絵美の生活は、大切なものだ。

女の人はこうあるべきで、これが普通の女。こうすればより完璧。つまり、正常な女の人の範疇に入らない女は異常なのだ。と理想を押し付けられてもどうにもならない。

だから、永遠の沈黙が続く。ますます不機嫌になって、その男の人は、同じ価値観を持つ人々の輪に入り込み、遠くから、絵美を非難するような罵声をとばして、それは男の人の気が済むまで終わることはない。「おまえは女だろう!女のように振る舞え!」

大声を聞くと、なんと言われているのか聞こえなくなる。

言葉が聞こえなくなるから、いつまでも黙っている。

言葉の通い合わない相手とは遠くに距離を置くのだ。

無言で遠ざけなければ。二度と関わらなくて済むように。

だからこそ、男の人と関わらないでいられる絵美の素人作家生活は、大切なものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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