中国古来から伝わる漢方の陰陽五行説には、「心」「肺」「脾」「肝」「腎」についての陰陽バランスが説かれています。
「心」は循環器系、「肺」は呼吸器系、「脾」はリンパ系、「肝」は消化·代謝系、「腎」は内分泌系と水系を司っており、この五つを一体として捉える医学が中国では発達しました。
しかしここでは肝腎の「脳」と「腸」は抜けており、この2つは現代でもまだまだブラックボックスなので、古代では到底理解の域を超えていたハズで、知ったかぶりをしなかったぶん賢かったと言えます。
ここでもう少し、古来の陰陽五行説を現代的な解釈も交えて解説してみます。
「循環器系」は動脈と静脈に陰陽分けでき、酸素と栄養を全身の細胞に届ける重要な系です。
「呼吸器系」は呼気と吸気に陰陽分けされ、呼気を長くするコトで副交感神経を優位にするコトが出来ます。
「リンパ系」は老廃物を処理すると共に細菌などの異物と戦う免疫系も担い、脾臓と胸腺が一体となってリンパ管を体中に張り巡らせています。
「消化·代謝系」は肝臓で作られる消化酵素と代謝酵素に依っており、この2種類の酵素はハッキリと陰陽のバランスを取っています。
「内分泌系と水系」を担う腎臓は、臓器間コミュニケーションの要としてその重要性が認知されて来ました。
腎臓はまた生体水のリサイクルも行っており、これは全身のミネラル-バランスを調節する非常に重要な役割です。
次に「新·陰陽五行説」について述べますと、前回すでに「脳」の神経系における交感·副交感神経の陰陽バランスが、近年格段に理解の進んで来た免疫系の陰陽バランスと直結しており、それが更に全細胞のエネルギー代謝系(ATP生産)の陰陽とも繋がっているコトを紹介しました。
今回は四番目の行として、古代医学が考察し得なかった「腸」の共生系を挙げます。
この人体における「共生微生物学」はまだまだ歩み出したばかりですが、「マイクロバイオーム」という今1番「旬」な学問分野として新たな研究成果が次々と得られています。
その中で私が特に面白いと思うのは、人の腸内にも牛と同じくメタン古細菌(アーキア)が共生し、それが明らかに人や牛のタンパク源と成っているコトです。
牛は草だけで500キロもの巨体を維持しますが、それと同じ様に森美智代さんの様な「超少食者」は青汁だけでフクヨカな健康体を維持しています。
ここまで徹底した糖質オフを実践していれば、生体エネルギー代謝で解糖系が働く余地はなくなり、全てミトコンドリア代謝となってガンは生きられないでしょう。
これを陰陽として表すならば、共生微生物は母体から養って貰っていると共に、母体を養って健康に大きく貢献してくれています。
最後に五行目として、セントラルドグマの遺伝子系を挙げようと思います。
これの陰陽は、DNAの材料である核酸を肝臓で作るデノボ合成と、食べ物の核酸を再利用するサルベージ合成とがバランスするコトが挙げられます。
ガンはデノボ合成の核酸しか使えないので、全部サルベージ合成で賄えればガンは自然消滅します。
より大きく遺伝子系の陰陽を捉えるならば、それはやはりDNAと酵素の「鶏と卵の関係」でしょう。
この「どっちが先か?」の議論は、近年ようやく「RNAが両者に分化した」というコトで決着がついた様です。
更に今までジャンクだと思われて来た長大なDNAも、実は遺伝子をコードしているコトが解って来ました。
それはこの「眠れる遺伝子」を発現させる酵素が見つかったからで、この発見は遺伝子系のブレークスルーとして、医療の現場にも益々大きなインパクトを与えて行くでしょう。