アメリカ映画ばかりではやはりバランスを欠くかと思え、日本映画も挙げようかと考えましたが、良いアイデアが浮かびませんでした。
フランスは権威ある映画祭とその「賞」を誇る映画大国で、アメリカとは一味違った「深み」ある作品を生んでいます。
正直に言うと私はフランス映画ビギナーなのですが、この「皆さま、ごきげんよう」は続けて2回観て、その味わい深さに感銘を受けました。
この物語は「シュールレアリスム」(ファンタジーと現実の融合)を追求しており、それは「過去と現在の融合」に通じております。
場面は過去と現在を行ったり来たりして、その経(つな)がりからストーリーを紡ぎ出しており、一回観ただけでは把握するコトが出来ない物語です。(不思議な印象を残す)
「過去」は宗教戦争とフランス革命の時代を描いており、その子孫たち(同じ役者)が「現在」で活躍するのですが、こうした暗黒の歴史に対する理解が、やはり必要となるので補足いたします。
まずは宗教戦争からで、これは16世紀後半から17世紀にかけて戦われ、「中世暗黒時代」として有名です。
これはもちろん映画にも成っており、「王妃マルゴ」がその代表作です。
フランス革命については「ベルサイユの薔薇」を読めば充分かと思え、これは男性にはハードルの高いマンガかも知れませんが、そこはぜひ乗り越えるべきかとも思います。
このウィキ-ページは詳細ですが判りにくく、やはり映画がベストかと思え「グレースと公爵」が中立的で善いと思います。
こうした過去の悪しきカルマを引き継いだ子孫たちは、現在でも様々な苦しみに直面します。
物語のテーマはそのカルマを乗り越え浄化して行くコトで、「皆さま、ごきげんよう」というタイトル通りの爽やかな「現在」に至ります。
こうしたコンセプトの映画は日本にも在りそうですが、(「千と千尋」が近い)それを実写でリアルに演じる「シュールレアリスム」の技法で、フランス映画は世界のトップを走っていると思います。
最後に話を「現在」の戦争に振りますと、これは明らかに「過去」の悪しきカルマから来ており、それは「ウクライナ飢饉」( ホロドモール - Wikipedia)による民族対立や、「鋼鉄はいかに鍛えられたか」(映画化されてる)に代表される共産主義の無理な理想が「ゴチャ混ぜ」になっている観があります。
こうしたカルマをスッキリ浄化できる映画がロシア圏で作れたならば、悪しき過去の再現の様な戦争は二度と起こらないだろうと思います。