この歌では「shellac」と「vinly」という文学的な言葉が用いられており、「shellac」は「解決が成され得ない」と云う意味で、「vinly」は「心のトゲ」と云った意味です。
1945年は言うまでもなく「世界大戦」が終結した年で、それは人類初の「原爆投下」によりました。
コステロの「45」は、戦後9年目に産まれた自分の立ち位置から歌われ、歴史の汚点にどう向き合うかが歌われております。
こうした知的な歌を好む層がアメリカには一定数おり、あなたがもし「I like Elvis Costello」と向こうで言えば、一定のアドマイア(尊敬)が得られるコトを請け合います。
コステロは「King of America」(アルバム名)とも称され、その創作意欲の高さと作品の数でトップを走っているアーティストでもあります。
私はまだ東京の図書館で借りれた10本程しか聴けていませんが、それを320分のMDカセットに編集したので、それなりに聴き込んではおります。
その中でも一押しのアルバムは、円熟の域に達している「All This Useless Beauty」(この全ての役立たずな美しさ)で、「45」がファーストナンバーの「スマイル」も強いエネルギーを持つ名盤です。
コステロは色んなアーティストとのコラボ作品で特色を発揮しており、クラシックのグループと共演した「ジュリエット レター」や、キューバ系のグループと協作した「Secret, Profane & Suger Cane」(神秘と世俗と砂糖黍)も味わい深い作品です。
コラボと言えば、アメリカ屈指のギタリスト、マーク-リボー(「キューバとの絆」がいい)との協作も光っており、コステロが好きな歌のカバー集「Kojac Variety」と、「Mighty like a rose」(バラの様に偉大)のギターは特に聴き応えがあります。
社会派の歌ではランディ-ニューマンとジャクソン-ブラウンも有名で、特に若い頃のブラウンには有名なヒッピーソング(反戦歌)が多くあり、ジョージ-ハリスンの様な幻想性もあって好きなアーティストです。
しかしアート性と知性の高さでは、やはりコステロの才能が抜きん出ていると思い、この分野では彼こそが「妙なる命」のタイトルに相応しいと思います。