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のほほんと気まぐれに。

🎋⭐️ たなばた物語 🎋⭐️

2022-07-07 01:33:00 | 物語

7月7日、七夕の夜。
天の川を隔てて輝く《わし座》の1等星アルタイル(牽牛座)彦星と、
《こと座》の1等星ベガ(織姫座)織姫が、年に一度だけ逢うことを許された夜…

これは中国で生まれ、日本に伝えられた伝説を元に、制作したお話です。

雑文で、読みにくい部分もありますが、ご了承くださいm(_ _)m

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登場人物:織姫・星姫(せいら)  /  彦星・夢彦(ゆめひこ)
              織姫父・天帝(てんてい)  /  月の舟人(つきのふなびと)
              天帝家臣・鵲(かささぎ)

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夜空に輝く天の川のほとりに、美しい天女・星姫が住んでいました。
星姫の父親は、天を支配している天帝。その父親の言いつけを良く守り、星姫は、毎日毎日、機織りに精を出していました。星姫の織る布は、五色に光り輝き、
「星姫様が織る布は、季節の移り変わりと共に、色どりを変える不思議な錦」と、巷で好評でした。

星姫の働きぶりに感心していた父の天帝でしたが、
「年頃の娘なのに、お化粧1つせず、恋をする暇もないのは、不憫だ」と思い、妻と相談して、結婚相手を探すことにしました。
我こそは!と名乗りを上げた者は、天帝の権力を欲する者や、星姫の織る布で、金儲けをしようと企む者ばかり。

星姫「お父様、お母様、星姫は結婚などしなくても、お二人のお側で、機織りが出来ているだけで、十分幸せです」
私欲に目が眩んだ婿候補たちを見て、星姫は、両親の側にいることが、何よりも、自分自身の幸せだと告げたのです。

天帝も、人の父。娘を手放したくないという気持ちもあり、その後数ヶ月間は、婿選びをやめてしまいました。
しかし、やはり、星姫には幸せになって欲しいという気持ちもあり、再び婿選びを始め、天の川の西に住んでいる、夢彦という牛飼いの青年を見付けました。
この夢彦は、とても働き者ということで、天帝も夢彦を気に入り、夢彦と星姫を結婚させることにしました。

星姫「お父様の言いつけならば、星姫は夢彦様の元に嫁ぎます」
こうして、星姫と夢彦の2人は、新しい生活を始めました。

しかし、結婚してからの星姫は、夢彦との暮らしに夢中で、
「機織りなんかしてたら、夢彦様との時間がなくなってしまう」と思ってしまい、
仕事よりも、夢彦との時間を選んだ星姫は、機織りをすっかり辞めてしまいました。

父・天帝も、新婚だからと、初めは大目に見ていました。
しかし、いつまで経っても、そんな有様が続くので、すっかり腹を立ててしまい、2人の所に出向き、星姫に心意を尋ねることにしました。

天帝「星姫、お前は、旗を織ることが天職ではなかったのか?」
星姫「お父様。星姫は、夢彦様と一時たりとも離れたくないのです。だから、機織りなんてしている時間はありません」
天帝「星姫。父は、星姫に幸せになって欲しい。そう出来るのが夢彦だと思い、結婚させた。しかし、仕事もせず遊び続けるなど、心得違いもいい所だ!こんな状態で、いつまでも放って置くわけにはいかない!再び天の川の岸辺に戻って、機織りに精を出しなさい」
星姫「そんな!お父様!夢彦様と離れるなんて…あんまりです!星姫は、夢彦様と離れたくありません!」

夢彦と別れるのは嫌だと、涙ながらに訴える、星姫。

天帝「ならば、こうしよう。星姫が心を入れ替えて、一生懸命仕事をするなら、1年に1度、7月7日の夜に、夢彦と会うことを許してやろう」

星姫は、夢彦と離れて暮らすのが、とても辛くて、涙に暮れるばかりでしたが、父に背くことも出来ず、夢彦に別れを告げると、うな垂れて、天の川の東に帰って行きました。

それ以来、自分の行いを反省した星姫は、年に1度の夢彦との再会を励みに、以前のように機織りに精を出すようになりました。

また、夢彦も、思いは同じ。懸命に働いて、7月7日を待ちました。

こうして、夢彦と星姫は、お互いの仕事に励みながら、指折り数えて、7月7日の夜。

ところが、2人が待ち焦がれた7月7日に雨が降ると、天の川の水かさは増して、星姫は向こう岸に渡る事が出来なくなります。

川下に、上弦の月がかかっていても、つれない月の舟人は、星姫を渡してはくれない。

星姫「お願いします!舟を出して!夢彦様の元に行きたいのです!」
舟人「今夜は、水かさが増してるから、舟は出さない!水が引いたら、また来なっ!」

父・天帝から、夢彦に会う事を許されているのは、7月7日の夜だけ。2人は、天の川の東と西の岸辺に佇み、お互いに切ない思いを交わしながら、川面を眺めて、涙を流すのでした。

翌年も、その翌年も、7月7日は、雨。お互いを思いながら逢えずに、天の川の両岸に佇む2人。

そんな状態が数年も続き、夢彦に逢えない事に耐えかねた星姫は、ついに、水かさの増した天の川を泳いで渡ろうと決心し、天の川に入りました。しかし、水かさの増した天の川の流れは激しく、瞬く間に星姫は、激流にのまれてしまいました。

その様子を見ていた鵲が、慌てて天の川に飛び込み、星姫を助けました。

鵲「こんな、激流の川に入ったら、死んでしまうぞ!」
星姫「それでも、星姫は、向こう岸に居る夢彦様に逢いに行きたいのです」
鵲「死んでしまったら、逢いたくても、逢えなくなる。日を改めて、舟人に舟を出して貰えばいい」
星姫「今夜じゃないと、ダメなんです!夢彦様と逢う事を許されているのは、7月7日の夜だけ。だから、今夜じゃないと、ダメなんです。別れたあの日からずっと、夢彦様とは逢えていない。舟を出してもらえないなら、泳いで渡るしかないんです。たとえ、死のうとも、星姫は夢彦様の元に行きます!」

涙ながらに、夢彦への想いを訴える星姫を見兼ねて、鵲は、声高に「ピー」っと鳴き声をあげました。すると、何処からともなく、鵲の群れが飛んできて、話し合い、天の川で翼と翼を広げて橋となりました。

鵲「さぁ、僕達の上を渡ってお行き。激流の天の川を泳いで渡るよりは、安全さ」
星姫「鵲さん、ありがとう!やっと、夢彦様に逢える」

星姫は、「ありがとう」を繰り返しながら、鵲達が作ってくれた橋を渡り、数年ぶりに、夢彦の元に行きました。

今年も、ムリなのか。そう思っていた夢彦は、目の前に姿を現した星姫に驚き、どうやって来たのか尋ねました。
星姫は、全て正直に話、夢彦を天の川のほとりに連れて行きました。その時、鵲の群は、天の川から飛び立つ所でした。

星姫「鵲さん。本当に、ありがとう!夢彦様に逢えたわ!」
夢彦「鵲さん。星姫を助けてくれて、ありがとう!協力してくれて、ありがとう!」

2人は飛び立った鵲の群に向かって叫びました。すると「ピー」っと声をあげながら、鵲の群は、天の川の上空を旋回し、

鵲「お2人さん、良かったな!僕達も嬉しいよ!お嬢さん、今度から、7月7日が雨なら、僕達を呼んでくれ。また、橋になるから。だから、無茶だけはしないでおくれよ!」
星姫「分かったわ!鵲さん、ありがとう!」

星姫の言葉を聞き終えて、再び「ピー」っと声をあげ、鵲の群は、飛んで行きました。

夢彦「星姫。鵲さんの言う通りだ。死んでしまったら、もう2度と逢えない。だから、離れ離れでも、生きていてくれ」
星姫「夢彦様。分かりました。夢彦様。星姫は夢彦様の為に、どんな事があっても、耐えて生きていきます」

2人は見つめ合い、そして、熱い口づけを交わし、しっかりと抱きしめ合いました。


「ピー」
鵲の声を聞き、窓を開けた、天帝。

鵲「天帝様。お嬢さんを無事に向こう岸に渡して来ました」
天帝「鵲、ありがとう」
鵲「でも、僕達が天帝様の家臣だと伝えなくて、本当に良かったのですか?」
天帝「あぁ、良いんだ。想い合う二人を、離れ離れにしてしまったのは、この私だ。私の力添えだと分かれば、星姫は素直に鵲の言う事を聞かないだろう」
鵲「そうですか。天帝様がそうおっしゃるのならば、僕達は何も言いません」
天帝「手間をかけたな、鵲。帰ったら、ゆっくり休んでくれ」

再び、夜空に「ピー」っという声が響いて、鵲の群は、自分達の住処に帰っていきました。

天帝「星姫。夢彦。せめて、今夜だけは、新婚の頃のように、はしゃいで過ごしておくれ」



                 ーENDー


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