CDCの National Center for Immunization and Respiratory Diseases
の研究論文をご紹介
Killerby ME, Biggs HM, Haynes A, Dahl RM, Mustaquim D, Gerber SI, Watson JT. Human coronavirus circulation in the United States 2014-2017. J Clin Virol. 2018 Apr;101:52-56. doi: 10.1016/j.jcv.2018.01.019. Epub 2018 Jan 31. PMID: 29427907; PMCID: PMC7106380.
いわゆる風邪のウイルス、ヒトコロナウイルスには４種類ある。
Human coronaviruses (HCoVs) -OC43, -229E, -NL63 ,-HKU1
上気道、下気道の呼吸器疾患を引き起こす
免疫が普通な人は重症化しない
世界中に分布
流行の主流になる種は地域と年度による
この論文では、米国の流行状況を調べている。
（手法）新コロでおなじみの
real-time reverse transcription polymerase chain reaction (rRT-PCR) test
リアルタイムRT-PCR
2014年〜2017年にThe National Respiratory and Enteric Virus Surveillance System (NREVSS)によって回収されたデータを解析
全検査数とコロナの陽性率を毎週集計
年齢、性別の統計的有意差を検定
（結果）
117のラボ、42州から回収された854,575件中、ヒトコロナウイルスの検出率は
2.2% : HCoVs-OC43
1.0% : HCoV-NL63
0.8% : HCoV-229E
0.6% : HCoV-HKU1
毎年、１２月〜３月の間にピークが見られた。(Fig.1A)
年によって主流になるヒトコロナウイルスは変化する。(Fig.1B)
感染に性差は認められなかった。
（地域による差）
ピークの高さの違いはあっても、12月から3月の間にピーク（だいたいピークの頂点は1月頃）を迎える点で違いは無い。
（感染者の年齢（中央値））
24歳 : HCoVs -OC43
11歳 : HCoV--NL63
30歳 : HCoV-229E
19歳 : HCoV-HKU1
-OC43, -NL63, HKU1は主に子どものうちにかかる風邪
-229E は大人がかかる風邪 のようだ。
（同時感染していた他のウイルス）
ヒトコロナウイルス陽性1569件のうち1538件（98%）については他のウイルス(parainfluenza viruses 1–4, respiratory syncytial virus (RSV), human metapneumovirus, human adenovirus, rhinovirus/enterovirus, influenza A and influenza B.)も検査した。
そのうちの68.6%には、他のウイルスが検出されなかった。
（同時感染したウイルスをよく見ると、興味深いことが見えてきそうですが・・・
いや、要するにSARS-CoV2だって、患者に同時感染していた他のウイルスを検査したら、何割かの人にはみつかったのじゃないかって・・・
RSVとか、たち悪いんでしょ。よく知らないけど。）
コロナウイルスの流行は冬になると始まる。
風邪であるから、特効薬もワクチンも無い。
しかし、春になると収まる。
それがアメリカ国内で３回確認された。
最も流行るコロナウイルスは年によって異なる。
その原因は不明。
という論文でした。
