初恋の彼女の写真は、
今でも写真アルバムにも悠のこころのアルバムにもしっかり貼り付けてある。
お互い21歳の夏にハッピーエンド・・彼女は翌年の早春に結婚・・・
友が言うほど失恋の痛みは感じなかった。
なぜなら、悠のこころ内には彼女はアイドルを超えてた。
夢想に出てくるエンゼルか誰もが崇高する女神的ぞんざい・・・
こころの中にも彼女を傷めることは許せなかった。
いつかは悠より白馬に乗った王子様に迎えられる・・と願ってた。
ところが世の中、偶然ということが起こるもので・・
結婚してから一年半・・真夏を越した街角でばったり出会った。
乳飲み子を背負った彼女はひまわりではなかった。
旦那さんの女性問題で里帰りしてることを知った。
こんこんとうす涙を浮かべながら話す彼女の近況・・
悠は聞いてあげれることしか出来ない学生の立場を悔やんだ。
そして今までにない彼女へのいとおしさを・・・
と、同時に相手にとめどもない憤慨、嫉妬を覚えた。
この怒りと反省、悔やみは3ヶ月も続いたろうか・・
おそらく青春時代最大級の後悔だったかも・・・
時は過ぎ、やがて悠も生涯の相手が見つかった頃・・
彼女はすぐにもとのさやにおさまったことを知った。
数年に何回か風の便りに聞こえる彼女の近況は
近所でも評判の明るく美しい奥様・・
しあわせな家庭で暮らしてるそうだ・・
それだけで悠のこころはなごんでくる・・・
ちなみに聞こえてくる風の便りは
彼女の近くから嫁いでくれた妻からである。