Re-Set by yoshioka ko

■矛盾

 ブッシュ大統領は21日の記者会見で、「アメリカ軍は仕事を終えるまではイラクを去らない」と強調した。『ロサンゼルス・タイムズ』紙の記事は、「仕事とはなんぞや?」と疑問を呈し、もはや大量破壊兵器を見つけるなどという根本的な理由は説得力を失い、今では中東の民主化促進という壮大な戦略と、石油を守ることにあるらしい、と述べる。

 だが、石油など資源がどれほど大事であっても、イラク国内の内戦が激化したままでは〈仕事〉にも大きく影響せずにはおかない。今ブッシュ大統領が考えるべきは、〈仕事〉はいつまでに終わるのか、言い換えれば、いったいいつまでいまのイラク関与を正当化し続けるのか、ということにある。

 戦略なき関与は犠牲を殖やすだけである。今月25日現在で、イラクにおけるアメリカ兵の犠牲者は2621人を数える。開戦以来、平均して一日に2人の死者がが出ている勘定だ。

 民主化に戦死者は似合わない。にもかかわらずイラクで死者が増え続けるのは、民主化とはほど遠いことが行われているからに違いない。

《以下引用》
 「グアンタナモ米軍基地(キューバ)に拘束されていたドイツ生まれのトルコ国籍の男性が24日、4年8カ月ぶりに釈放されドイツの自宅に戻った。メルケル独首相がブッシュ米大統領に数回にわたって釈放を求めていた。男性はドイツ北部ブレーメン生まれの元造船工、ムラート・クルナズさん(24)。24日にドイツ国内の米軍基地で釈放された。弁護士によれば「虐待」も受けたという。(中略)クルナズさんはイスラム教に興味を持ち、米同時多発テロ直後の01年10月、パキスタンを訪問中に拘束され、グアンタナモ基地に送られた。テロとは関係がないことが判明してもそのまま拘束され続けていた(8月26日『毎日新聞』)《引用ここまで》

 グアンタナモ基地のことについては実際にこの目でもしっかりと見てきたし、当欄でも何回か触れた。中東の民主化、といいながら、足下では民主主義からははるか離れた「虐待」も茶飯事だ。

 容疑も明らかにされず、無期限に収容されている者たちの釈放は当然だとしても、遅きに逸した感がある。そう思っていたところ、最近アメリカ軍は《イラク村》なるものを作って、イスラムの日常・習慣・礼儀といったことを知るための訓練を毎日しているのだ、という。《村》に住むのは兵士のほか、本物のもスリムたちで、ここでは、殺し合うのではなく、いかにして学んだかが評価される。

 とはいっても、やはり軍の目的は勝利すること。しかし、まったく中東のことも知らずにいるよりはまだまし、というものか。

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