《以下引用》
「昨年12月27日に起きたパキスタンのブット元首相の暗殺事件で、警察当局は19日、アフガニスタンとの国境に近い北西辺境州デライスマイルカーンで逮捕された少年が、犯行グループに関与していたことを自白したと発表した。事件の逮捕者が発表されたのは、今回が初めて。(中略)捜査関係筋が匿名を条件に語ったところによると、少年は暗殺事件が起きたラワルピンディに、5人の犯行グループが派遣されたことを供述した。(中略)ただ、暗殺首謀者と名指しされ、アルカイダやタリバーンとのつながりが指摘されている反政府武装組織のメスード司令官の関係者は、「政府のプロパガンダ」だとして報道内容を否定した」(1月20日『AP通信』)《引用ここまで》
ブット暗殺が起きた翌12月28日、パキスタン内務省は暗殺に国際テロ組織アルカイダが関与していたとして、当局が傍受したという会話記録を文書で公表した。会話された場所はまさに記事にあるデライスマイルカーンで、イスラム武装勢力を率いるメスード司令官と過激派の少年だったというのだ。
司令官「おめでとう、我々の仲間だろ?」
男「イクラムラーとビラル」
司令官「それはおめでとう、大変な努力だ。彼女を殺すとはな。とても勇敢な少年たちだ」
勿論100%信じるわけにはいかないが、政府発表があった翌日には、司令官とされた南ワジリスタンの武装組織リーダーのメスードは、AFP通信に直接電話をかけ、「我々は女は殺さない、政府の陰謀だ」と述べた、という記事が出た。テロ組織に詳しい記者の発言によると、本来ならば出されるはずの声明文も出ていないところから、アルカイダを始め、過激派テロリストではないのではないか、という風聞が広まっていた。
何日か前にも当欄で書いたが、ギャラップ・パキスタンの世論調査結果でも、暗殺事件はアルカイダなど過激派テロ組織がやった、と信じている国民は17%に留まった。
そんな状況にある中で、警察当局の突然の発表にはにわかに信じがたいものがある。そうであれば、早々と犯人逮捕に至ったことはいいことではある。しかし、何が何でも過激派がしたことにしなければならない、という勢力が考えついたことである、としたら、これは恐ろしい謀略である。
パキスタン内務省の報道官は「逮捕に関する情報はない」と報道そのものを否定、メスード司令官も「これは政府のでっち上げだ」とあらためて否定したという。
ともあれ捜査は、イギリスのスコットランドヤードがパキスタンの捜査当局と協力する形で進められていて、結果は来月18日に延期された選挙投票日前までには発表されることになっている。真実は暴かれるのだろうか?
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