今、沖縄では日米合同統合演習「キーン・ソード23」が行われています。米軍が訓練区域外で訓練を行うとか、与那国島に米軍が上陸するなど、米軍の動きも激しいですが、自衛隊も中城湾港に民間チャーター船を使って「本土」から70台以上の自衛隊車両と200名以上の自衛官を上陸させる、与那国島に16式機動戦闘車を運んで訓練を行うなど、島々が戦場になることを想定した展開訓練が行われているのです。「台湾有事」をあおり、住民を犠牲にする戦争準備の訓練そのものも許せませんが、民間の港湾や空港を軍隊が我が物顔で使用することも問題です。
国はこういったことを推し進めようとしています。Yahoo!ニュースの琉球新報(11月12日)より
【東京】南西諸島の民間空港や港湾を自衛隊が利用できるようにするとした政府の考え方について、浜田靖一防衛相は11日、「あくまでも地域の理解を求める。理解してもらえるよう積極的に説明を重ねることが重要だ」と語り、自治体の同意を得る環境づくりに取り組む考えを示した。
一方、沖縄県内では日米共同統合演習への抗議集会が開かれるなど、自衛隊の民間施設利用に反発が強まっている。県も宮古島市の下地島空港について民間機以外の使用を認めないとする「屋良覚書」の確認事項は今後も尊重されるべきだという立場をとっている。これに対し浜田氏は「防衛上、多様な空港・港湾からの運用が重要で、日頃から訓練を重ねる必要がある。先島諸島には国民保護も含め、部隊運用上の有用性の高い空港・港湾がある」と使用の必要性を強調した。(明真南斗)
「屋良覚書」は、3000m級の滑走路を持つ下地島空港を軍事利用させないためのものです。しかし、米軍や自衛隊は宮古島の隣にある下地島空港の使用を狙っています。
ここに今年12月11日(日)宮古島の航空自衛隊基地(レーダー基地)開設50年を記念して、ブルーインパルスの展示飛行が計画されています。そして「観光振興」をも口実にして、下地島空港を軍事使用することが目論まれています。少し前ですが、琉球新報10月25日記事です。
空自ブルーインパルスの下地島空港利用「検討を」 宮古島市が沖縄県に要望 「屋良覚書」抵触の恐れ
航空自衛隊が12月11日に宮古島市で予定する曲芸飛行隊「ブルーインパルス」の展示飛行を巡り、同市は20日、宮古空港や下地島空港の利用検討を県に要望した。座喜味一幸市長は24日、取材に「多数の来島者が見込まれ、コロナ禍で落ち込んだ市内経済活性策の一つとして検討してほしいと申し入れた」とした。市などによると、飛行計画詳細は未定だが発着は那覇空港とされている。市内空港を利用するとアクロバット飛行が可能という。市内両空港はいずれも県管理で利用可否は県の判断となる。下地島空港については1971年に日本政府と琉球政府の間に民間機以外の使用を認めないとする「屋良覚書」が交わされている。 同計画を巡り、これまでに宮古青年会議所と宮古島商工会議所、宮古島観光協会、伊良部商工会青年部からなる宮古青年4団体連絡協議会が市や県などに「経済と観光振興につながる」として空港利用を要請している。(以下略)
そのことについて、市民団体は市に抗議声明を発しました。琉球新報11月14日の記事です。
ブルーインパルス飛行は「民間空港の軍事利用に先べん」市民団体が宮古島市長へ抗議声明 沖縄
【宮古島】航空自衛隊ブルーインパルス飛行で宮古島市が市内民間空港利用検討を沖縄県に要請した件を巡り、飛行や空港利用に反対する複数の市民グループは10月28日、座喜味一幸市長への抗議声明を発表した。「空港の軍事利用に先べんをつけるような行為は行うべきでない」と批判した。
ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会と宮古島平和ネットワークは同日、市内で会見し抗議文を読み上げた。要請文では空港使用について「市民の中で反対・賛成がある中、利用を求める要請を行うのは公平性に欠け、強く抗議する」とした。
会見で平和ネットワークの下地朝夫さん(平和運動センター宮古島共同代表)は座喜味市長が「自衛隊を『容認』していることは承知している」とした上で、「今回の飛行がきっかけとなって自衛隊や米軍の空港使用が拡大するのは目に見えている。戦争につながるようなことはやってはならない」と訴えた。
(佐野真慈)
下地島の軍事利用を許してはなりません!
「同飛行場が、琉球政府が設置し管理する飛行場となる予定であったことから、その使用方法は管理者である琉球政府が決定すべきものであり、運輸省としては、同飛行場を民間航空訓練及び民間航空以外の目的に使用させることを琉球政府に命令する法令上の根拠を有しないとの趣旨を示したものである。」
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b183006.htm
屋良覚書は、行政契約である、
と解する余地、大。
契約内容の変更には、当事者同士の合意が不可欠。
(答弁書は、屋良覚書の一方当事者が沖縄県の前身組織である、と認めている。)
(そもそも離島は、兵糧攻めに弱い(特に飲み水)。なので、宮古島の自衛隊の大きな駐屯地を置いても……日本にとっての「弁慶の泣き所」を作るだけ。)