長野まゆみさんの「時の旅人」を読み終わりました。
これは、大きな事件をきっかけに時代を超えてしまう少年(魂魄、またはシロウズ)のお話です。
時の旅人は三つのお話で構成されています。
最初は「リュウグウノツカイ」。
関東大震災をきっかけに、現代へタイムスリップしてきてしまう少年のお話。
「十二階」と呼ばれる建物から池に落ちてしまった少年。 そして気がつくと病院にいた。
少年は病院を抜け出し、自分を助けてくれた少年と町を歩くことによって、自分が未来に来たことを知る。 自分が時を越えてきた日に震災があったことも。
少年は、自分を待っていてくれているはずの叔母を思い、帰ろうとする。
震災の日から来た少年と現代の少年のギャップの表現がなかなか面白かったです。
たとえば、「十二階」と「アキバ」。
「アキバ」はきっと、皆さんご存知の「秋葉原」です。 物語では、「アキバ」の「インターネット・カフェ」で震災の新聞記事を検索して読んでいます。
「十二階」とは、かつて浅草にあり震災で倒れてしまった建物で現代にはありません。
此れにより、震災当時の少年と現代の少年のギャップを表現しています。
次は「タマテバコ」です。
昭和三十年代から、昭和天皇の御成婚当時にタイムスリップしてしまう少年のお話です。
此処では「シロウズ(白珍)」が初めて登場します。
シロウズとは、現し世では姿を持たず、時を「越える」ことが出来る存在。
現世では、人の体を器として居る事が出来るようです。
お話は、少年が初老の男性と出会うところから始まります。
その男性は重そうな荷物を持っていました。 少年はそれを持ってあげようとします。
ところがその荷物は全く重くなく。 男性曰く、これは「シロウズ」であると言います。
少年が家に戻ると、祖母が自分に客が来ていると言われ、しかも中で待ってもらっているらしい。
訝しみながら会ってみると全く知らない少年であった。
少年は、自分はシロウズであるものを探している。 それがこの家にあるといいます。
このとき、お祖母さんは出かけてしまいます。
少年がどこへ行くのかと訊ねても「野暮なことを聞くものじゃない」と教えてもらえませんでした。
探し物をしている少年は、お祖母さんの裁縫入れにある貝の小物入れに探しているものがあるというのですが、少年は、「それはお祖母さんの物なので、許可を得ないと開けることは出来ない」といいます。
しかし、お祖母さんは出掛けてしまっています。
この後二人は花見に出かけることになるのですが、花見の席で出会うお姉さんが・・・。
という感じ。
このお話のポイントは、「家」から「花見」に「出かける」ところなのですが。
移動するたびに時代が昔へ移り変わるなか、SLが走るのを見て「SLの復活運行があるのを知っていればカメラを持ってくるんだった」と言うようなシーンがギャップとして表現されていますね。
長野さんが鉄道のことを書くなんて珍しい気がします。 なかなか面白いです。
そして少年のお祖母さん。
この人が、長野さんの作品に出てくる女性にしては珍しく、素敵な方です。
お祖母さんの作ったちらし寿司とお吸い物がおいしそうで、食べたくなってしまいました。
最後は「トコシエノタビ」です。
実は此れは未来のお話。 月面着陸が話題のようです。 しかしそれはアポロ11号のお話ではありません。
この世界では、「アポロ11号」は映画の中のお話ということになっています。
この世界にきたのは、前のお話で探し物をしていたシロウズの少年です。
ある少年が臨海学校(?)で江ノ島に来たところから始まります。
実は。 このお話はあまり印象に残っていません。 なんでだろう?
あまり深く読み込まずに、一気に流して読んでたのかも。
面白かったのは、シロウズがある生き物に助けを求めるところ。
「ああ、シロウズも完璧ではないのか。 生意気そうに見えてなかなか愛らしいやつじゃないか」と思った気がする。
今回の作品は、最近の傾向とは違い、いわゆるああいった展開が少なかった気がしました。 なかなか面白かったです。
たまにはこういうのも無いとね。
これは、大きな事件をきっかけに時代を超えてしまう少年(魂魄、またはシロウズ)のお話です。
時の旅人は三つのお話で構成されています。
最初は「リュウグウノツカイ」。
関東大震災をきっかけに、現代へタイムスリップしてきてしまう少年のお話。
「十二階」と呼ばれる建物から池に落ちてしまった少年。 そして気がつくと病院にいた。
少年は病院を抜け出し、自分を助けてくれた少年と町を歩くことによって、自分が未来に来たことを知る。 自分が時を越えてきた日に震災があったことも。
少年は、自分を待っていてくれているはずの叔母を思い、帰ろうとする。
震災の日から来た少年と現代の少年のギャップの表現がなかなか面白かったです。
たとえば、「十二階」と「アキバ」。
「アキバ」はきっと、皆さんご存知の「秋葉原」です。 物語では、「アキバ」の「インターネット・カフェ」で震災の新聞記事を検索して読んでいます。
「十二階」とは、かつて浅草にあり震災で倒れてしまった建物で現代にはありません。
此れにより、震災当時の少年と現代の少年のギャップを表現しています。
次は「タマテバコ」です。
昭和三十年代から、昭和天皇の御成婚当時にタイムスリップしてしまう少年のお話です。
此処では「シロウズ(白珍)」が初めて登場します。
シロウズとは、現し世では姿を持たず、時を「越える」ことが出来る存在。
現世では、人の体を器として居る事が出来るようです。
お話は、少年が初老の男性と出会うところから始まります。
その男性は重そうな荷物を持っていました。 少年はそれを持ってあげようとします。
ところがその荷物は全く重くなく。 男性曰く、これは「シロウズ」であると言います。
少年が家に戻ると、祖母が自分に客が来ていると言われ、しかも中で待ってもらっているらしい。
訝しみながら会ってみると全く知らない少年であった。
少年は、自分はシロウズであるものを探している。 それがこの家にあるといいます。
このとき、お祖母さんは出かけてしまいます。
少年がどこへ行くのかと訊ねても「野暮なことを聞くものじゃない」と教えてもらえませんでした。
探し物をしている少年は、お祖母さんの裁縫入れにある貝の小物入れに探しているものがあるというのですが、少年は、「それはお祖母さんの物なので、許可を得ないと開けることは出来ない」といいます。
しかし、お祖母さんは出掛けてしまっています。
この後二人は花見に出かけることになるのですが、花見の席で出会うお姉さんが・・・。
という感じ。
このお話のポイントは、「家」から「花見」に「出かける」ところなのですが。
移動するたびに時代が昔へ移り変わるなか、SLが走るのを見て「SLの復活運行があるのを知っていればカメラを持ってくるんだった」と言うようなシーンがギャップとして表現されていますね。
長野さんが鉄道のことを書くなんて珍しい気がします。 なかなか面白いです。
そして少年のお祖母さん。
この人が、長野さんの作品に出てくる女性にしては珍しく、素敵な方です。
お祖母さんの作ったちらし寿司とお吸い物がおいしそうで、食べたくなってしまいました。
最後は「トコシエノタビ」です。
実は此れは未来のお話。 月面着陸が話題のようです。 しかしそれはアポロ11号のお話ではありません。
この世界では、「アポロ11号」は映画の中のお話ということになっています。
この世界にきたのは、前のお話で探し物をしていたシロウズの少年です。
ある少年が臨海学校(?)で江ノ島に来たところから始まります。
実は。 このお話はあまり印象に残っていません。 なんでだろう?
あまり深く読み込まずに、一気に流して読んでたのかも。
面白かったのは、シロウズがある生き物に助けを求めるところ。
「ああ、シロウズも完璧ではないのか。 生意気そうに見えてなかなか愛らしいやつじゃないか」と思った気がする。
今回の作品は、最近の傾向とは違い、いわゆるああいった展開が少なかった気がしました。 なかなか面白かったです。
たまにはこういうのも無いとね。
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