“さあ、諸君、授業を始めよう。あと15分はある!”
考古学者・ユーリースコット
(浦沢 直樹 勝鹿 北星 長崎 尚志「マスターキートン」より)
ここは野外劇場だ。たった今、舞台監督と演出の大きな戦いがあり、爆弾が落とされた気がする。
けれど、ここには、この場所自体には、平和でのほほんとした空気が流れ、鳥の鳴き声までが聞こえてくる。
リュウキ・ダイキのキキコンビは、自分たちの芝居がイケていないにも関わらず、スマホを見せ合いっこして楽しげで、演出マコに睨まれているのにも気づかない。
まあ演出なのに、通し稽古を止めちゃったマコが、自業自得っちゃ自業自得だけど。
裏通りに面していて、校舎からも切り離されているこの場所に、我々だけが取り残されたようにも思える。
けど、まだまだ稽古は続けられる。
舞台監督がいなくとも・・・。ほんとか?
いや、まだまだ・・・。
その空気を読んでか読まずかアカリが、ポーンっと言い放つ。
「あのー、小道具つくらないといけないのがいっぱい。」
お前も帰りたいのか、そうなのか。
「これさー、シガレットを結局やっぱり買っちゃだめなの」
ダイキがタバコを吸いたそうに言う。
お前、出席停止になって上演できんくなるやろ。
「そうそう、買っちゃだめなん」
ってリュウキも、お願いだからアホなことは言わないで。
イズミ先生が役柄よろしく注意してくれる。
「それは、火はやっぱり危ないっていうのと」
「あと、生指(生活指導部)からNG」
ってマコが付け加える。
グッジョブ。
キキコンビは同時に
「えー」
「ええー」とキレイな二重奏。
お前ら何を考えとんじゃ!
「ってことで、私はタバコを作ったりとかいろいろやんないといけないんで・・・」
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