“今まで残ったのは あの時本気で 全国制覇を信じた 奴だけだぜ”
湘北高校バスケットボール部・木暮公延(井上雄彦「スラムダンク」より)
「あー、お、れ、も大道具作んないとだよね」
「あー、四階んとこの、さく?を、作んないと。」
リュウキ、ダイキが、仲良く連続してバックれようとしている。
「あー、でもあんたらの、あの階段下に行くとこのアクションちゃんとやらんと」
そうだそうだ、マコ、頑張れ。ガンバレ、演出!
しかし、リュウキはなおも口を開く。
「でも、早く帰ら・・・」と、リュウキのセリフを遮るようにダイキがフォローする。
「 早く作らないと。」
こいつら、連携プレー半端ないな。
「あ、岡田(モモカ)に指示聞かないといけないことあった」
とリュウキが言えば、ダイキはすかさず、
「今なら間に合う」
「そうそう」
息合いすぎやろ。
と、そこへ柴田圭吾(シバタケイゴ)が現れる。
少しニヤニヤしている。
こいつは演劇でいうと制作。会社で言うと総務部長。高校のクラスで言うと文化委員。
文化祭で演劇が出来るのは全学年合わせてわずか八クラスで、やる事を決定するくじを引いたのはコイツだから、うちのクラスが演劇が出来るようになった立役者ではある。
リュウキ・ダイキの大道具コンビにガツンと言ってくれるかなあ。
「お前らどこで作業すんの?前みたいによそのクラスのとこ使って怒られんなよ」
そうそう。帰らさずにしっかり大道具を作らせろよ。
「大丈夫!」
ダイキは満面の笑顔だ。
リュウキは渋い顔をしてケイゴに近づく。そして、身振りで「帰らないといけない」と言う。
確かにリュウキには三人の妹がいて、中学生と双子の小学生だから、母子家庭でバイトとか妹たちの面倒とかいろいろ大事な用事があるみたいだけど。
「あー、でもお前ら練習しないと」
ケイゴが文化委員らしく釘をさす。
そうだよな。確かに家庭サービスは大事だけど、高校生にはそれよりも大事な青春がある。
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