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Poseidon SE7ENリブリーザーに日本国内規格の医療用酸素ボンベをつなぐ

2021-04-24 08:21:48 | equipment

国内有名金属加工メーカーに製作を依頼していた変換継手が届きました。

必要な仕様をメーカーのホームページから問い合わせたら、その日のうちに電話が来て何点か相談、確認し、3日後には見積書、注文して3週間で納品されました。ほんの小数ロットでも丁寧に対応してくれて、モノづくり日本の底力に助けられました。

片側はW22-14、右ネジメス、反対側はDIN477 No.13規格のステンレス製です。これを使うと、日本国内で広く流通している医療用酸素ボンベに、海外で広く使われているDIN規格のダイビング用レギュレーター・ファーストステージを取り付けることが出来ます。一見したところ両側のネジは径もピッチも似ているので、ガスの流れに沿ってボンベ側からレギュレーター側へ向かう矢印をレーザーマーカーで刻印してもらいました。ボンベ側には、市販のW22サイズの高圧ガス用パッキンを入れます。

私が使用したいPoseidonのSE7ENリブリーザーのレギュレーター・ファーストステージも、口金はDIN規格です。この変換継手を介して接続すると、こんな風になります。W22-14規格の形状のボンベの口金には、モンキーレンチを使ってしっかりと締め付ける必要があります。一方でDIN規格のレギュレーターの取り付けには、写真では黄緑色のハンドル部分を手でねじ込むだけで十分です。

SE7ENリブリーザーに医療用の内容量3.4Lの酸素ボンベを取り付けた写真です。左側の希釈ガス(圧縮空気)には、ダイビング用の一般的なヨークバルブ仕様の3LアルミタンクにヨークーDIN変換アダプターを介してファーストステージを接続しています。

リア・カバーを外すと、こんな感じ。
酸素と希釈ガス(圧縮空気)の2本のタンクバルブ、2個のファースト・ステージと、リブリーザーの心臓部となるEモジュールとの間に、何本ものガスの配管と圧力センサーの配線が混み入っています。

一式を背負ったところは、こんな感じ。左右のタンクの長さが異なるのはご愛敬。水中に潜ってしまえば、何も問題になりません。

 


 

 そもそもなぜこんな面倒をかけて医療用酸素ボンベを転用するか?
そこには日本国内での酸素シリンダーの準備に様々なハードルがありました。

(1)海外メーカー製のシリンダーが事実上使用できない

 SE7ENリブリーザーには、直径11cm、全長50~55cm程度のシリンダーが丁度良くフィットし、このサイズのシリンダーは欧米では広く普及していて容易に入手可能です。しかしながら、これらのシリンダーは日本国内では事実上使用できません。日本では高圧ガスの安全に関わる法規で、高圧ガス保安協会で認証を受けた容器とバルブ以外は使用できず、認証済みを示す刻印がないシリンダーには充填所でも充填してくれません。しかも海外メーカー製品にはこの保安協会による認証の道が事実上閉ざされているためです。

(2)国内流通の酸素ボンベの口金形状がレギュレーターのファーストステージと合わない

 日本国内でも医療用および工業用に携帯用の小型の酸素ボンベは広く使われていて、多くの製品が安価で容易に入手可能です。その中で代表的な製品が、この記事でも紹介している内容量3.4L、スチール製の携帯用酸素ボンベで、新品で2万円以下で販売されています。ところが、日本国内での酸素ボンベの口金の形状がW22-14という規格で、一見すると欧米で使われているダイビング用タンクのDIN規格の口金と似ているのですが、互換性はなく変換継手も市販品は見当たりません。

 唯一、日本アクアラング社は日本国内で内容量4Lのスチール製の小型タンクをダイビング用に販売していますが、このタンクは直径14cm、全長40cmほどのずんぐりとした形状で、SE7ENリブリーザーに組み込もうとすると不適合ではないものの、全体の横幅が広くなりすぎてバランスが良くありません。なにより一社一製品の独占市場で、海外製品と比較すると大変割高です。百歩譲って国内外の価格差は度外視したとしても、課題が残ります。このタンクにはダイビング用にヨーク式バルブ(オプションでDINバルブも選択可能)が取り付けられて販売されていますが、国内の酸素ガス販売会社に充填を依頼しようとしても、対応する口金形状の充填設備がほとんどありません。

 


 

 自分のSE7ENリブリーザーは、今までは伊豆大島の現地サービスで酸素充填済みのDIN規格の3Lアルミ製シリンダーをレンタルして使用していましたが、この変換継手を用意できたことで、今後は他所のサービスでも使用する道が広がることでしょう。ただし、飛行機、船舶、鉄道とも公共交通機関では高圧ガス容器の持ち込みは禁止されているため、充填済みの酸素ボンベを持って行くことは出来ません。代わりに、空の酸素ボンベを現地のダイビングサービスに送って現地で酸素ガスを充填してもらうか、現地の酸素ガス販売会社から携帯用酸素ボンベをレンタルすることになるでしょう。

 今回ご紹介した変換継手は余分に製作しましたので、ご希望の方にはお分けします。ご希望の方は、この記事にコメントでお知らせください。コメントは公開しませんので、ご連絡先等を記載いただいても大丈夫です。



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