夜はおしまい / 島本理生

2022年06月10日 | さ行の作家
   

夜のまっただなか
サテライトの女たち
雪ト逃ゲル
静寂

女たちの4編の物語集

読んでいるとこういう物語だとは、、、と、すごく辛くなってしまいました。

そうれはそうなのです。辛くないはずがない
この物語たちはある意味、告白なのですから。あるいは、懺悔。

主人公たちは、4編に登場する金井神父に告解するのですが、この物語自体が告解なのです。
なので、神父どころか、宗教になにもかかわりのない、ただただ無防備な読み手は辛くなるのは当たり前です。

思うのは、作者は辛くなかったのか?ということです。
辛くても、生きる、生きてほしい、生きていけ…そういう祈り、、、でしょうか。

ラスト、登場人物の女性は、パートナーとして女性を選びます。
子供の父親である夫でも恋人の男性でもなく、新たに出会った女性。
女性が女性を相手に選ぶ、それを認められる世の中になってきたことが、この辛い物語のちいさな光明のように思えたりしました。

読み終えて、女たちの告解は聞き終わりました。
なので、次に私が知りたい、聞きたいのは男たちの告解です。

傷を負った女たちの告解だけでは不公平。
辛い女たちの物語を描いたら、男たちの物語も描くべきでしょう。

現実世界でも戦争が始まって、ウクライナの人たちや大統領の言葉は聞くことができます。
私がいちばん聞きたいのはプーチン大統領の言葉。
嘘いつわりのない告解。
みんな、そうなのでは?


本文より

「いえ、ただ一瞬でも、その奥を見つめてはいけないものがあります。たとえ偶然にも目が合えば、その瞬間に、悪魔はもう相手の内に入り込んでいる。悪魔といえば恐ろしいものに聞こえるでしょうが、それは人間の自由意志が姿を変えたものでもあります。もしかしたら本来は神よりも悪魔のほうがずっと人に近いのかもしれません。だからこそ、かならず逃げるのです。・・・・・・」






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