消えないで、あと少し。

　秋にはここが閉鎖されてしまうというので、
ブログの引っ越しという作業をやらなければならない。
　簡単にできます、というようなことが書いてあるが、
私に限り、絶対そんなわけにはいかない。
　そもそもこのブログだって人に開設してもらったのだ。
　毎日、パソコンやスマホを使っているのに、ひとたびコトが
起きるとにっちもさっちもいかない。茫然自失、おろおろして
誰かに助けを求めてきた。
　ある人が呆れて言った。何年使っていようと、原理を
わかっていないからだ、と。

 　そのとおりだ。わかろうともしなかった。
　なんで飛行機は空を飛ぶのか、なんでスイッチを
入れたら電気がつくのか。なんで私の左足首は、
奴隷の足枷みたいにいつまでも締め付けられているのか。

　なんにもわからないどころか、脳内からいろんな記憶が
日々消えつつある。
　ただの個人的な日常雑記に過ぎないブログではあるが、
１５年間続けてきた。私にとっては唯一、過去への扉。
いずれ私と共に消えてしまうものだが、まだもう少し
持っていたい。

　せめて自分でできる何かを、と思い、せっせとワードに
コピーしている。なんだかやたらと病院通いしてるけど、
いまだに生きて、数年前から二拠点を行ったり来たりして、
よくまあそんなことができたもんだ、そろそろ限界かも
……と溜息ついたり呆れたり考え込んだりしながら。

　ジャガイモを掘った。無骨なハートがひとつ、転がり出た。


　今年も村の田んぼで蛍を見ることができた。