そのお話を伺うにつけ、私も行ってみたくなった。
機会があったらご一緒させてくださいとお願いして
いたのだが、ついに「中ノ俣でお祭りがあるから来ますか?」
と声をかけていただいた。
中ノ俣は新潟県上越市にある村。
上越新幹線で越後湯沢に出て、ほくほく線に乗り換える。
直江津で降りると、今夜泊まる「くわどり湯ったり村」
という公共温泉兼宿泊施設の人が出迎えてくれた。
宿の車で走ること30分。
到着すると、すでに中ノ俣に来て農家に泊まっておられる
佐藤さんが、車で迎えに来て下さってた。
「昨日まで雨だったんだけどねえ、今日はいい天気で良かった」
バンクーバーに着いたときもそう言われたなあ。
私は晴れ女かもしれない。
佐藤さんの車で、おそろしく曲がりくねった山道を
20分余りも上ったり下りたり。
中ノ俣は四方を山に囲まれた、谷底の村だった。
「もう何年も通ってるけどねえ、村の人達の老いようが
年々凄まじくなって……。だって、歩けない婆ちゃんが
這いずって、ゼンマイを揉んだり干したりしてるんだよ」
と、佐藤さん。
冬になると3メートルくらいも雪が積もるというから
人間には過酷な環境だ。
でも自然は最高。
ちょうど桜が咲いて、山菜があちこちに出ていた。
都会から来た者にとっては目のさめるような景色だ。
かたくりの群生

わさびの花

ぜんまいを干す人

山の木は、積雪のせいでみな、こんなふうに曲がっている。

サンショウウオの卵。白い卵(鶏の卵くらいの大きさ)を
透明なゼリー状の膜が覆っている。
もう少しするとモリアオガエルの卵もみられるとか。

先日降った雪が残る山道を、ゆっくり歩く佐藤さん

佐藤さんが泊まっている石川さんちは、この木橋の向こう。

奥さんの手作りだという籠に、やはり奥さんが
育てた花が飾られている。

お祭りだから、町へ出ている人も人も帰ってくる。
よもぎ餅、ぜんまい、わらび、こちらの常食だという
味噌汁は、具が野菜と鯖の缶詰。これがおいしい!

獲れたての根曲がり筍を、いろりで焼いて食べる。
今年は寒いせいか、出るのがちょっと遅いそうだ。

この団扇は昭和30年代くらいのものだろうか。
戦闘機や兵隊さんが描かれたものもあったが、それは
おそらく戦中のものだろう。セロテープできれいに
補修してあった。

「あ、根曲がり筍、めっけ!」と喜んではいけない。
毒草のマムシ草だ。山菜は気をつけないとね。

作業員簿集の張り紙。高齢者がきつい棚田をやってるのが現状。
誰も世話ができなくなって、放置された田んぼや畑も多い。

この村にも防犯カメラが。
