のびのびのぶログ

水彩画や好きな音楽について語ります。なんでも伸び伸びと書いていきます。でも忙しくて更新が延び延びになるかも。

明日を託して

2015年06月11日 05時50分50秒 | 水彩画
「森の営み」
 とある休日の午後。私は、森を歩いていた。渓流へ向かう径は静まり返り、かすかに小鳥の囀りと風の音を残して緩やかにくねっていた。しばらく行くと、薄暗い森の中で一隅の陽だまりが目に飛び込んできた。よく見ると周りには、去年出たばかりの若芽が太陽の光を懸命に集めようとしている。その中でも元気にすくすく育っている若木が私には眩しく感じられた。光さすほうへ伸びようとする若木に、私は健気さと明日へ向かうたくましさと、希望を感じた。そして、この若木が若人のように思えた。彼の傍らには、老木が横たわっていた。私が想像するに、この老木は天寿を全うしているようには感じられなかった。老木には何か重大な事件が起きていたに違いない。老木の根本は折れ、その根がかつてしっかり大地をつかんでいた証として、大地の痕跡が残っていた。いまだに岩石やら赤土を離そうとはしていなかった。薄暗い森の中で、ある重大な出来事で倒れてしまった体。その体にはひと筋の光が射し込んでいた。光に輝く老木の体は美しかった。自ら倒れることによって、それゆえに差し込んだ光。その光によって芽を出したばかりに若木は、すくすく育ってゆく。これが森の営み。その光景に私は心を動かされた。

「明日を託して」 
 震災からの復興には長い年月がかかることでだろう。ふくしまの未来は私たち一人ひとりにかかっている。その中で明日を担う子どもたちに私は希望を見る。教育(光)を通して子どもたちに未来を託す今の心境を、自らが倒れてもそこに光を呼び込み、若木が育っていくという森の中の生命の営みに見出し、一枚の絵に表現した。

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