灯台見回り船は、船と船乗りの命を人知れず守ってくれている「華やかさのない船」だからこそ、引退後はかわいがってやりたいです。 街の詩:老朽船の旅立ち 「最後まで華やかさのない船でした」。小樽海上保安部の田中利夫・主任航行援助管理官(48)は20年の務めを終えた「第一ずいこう」を見やると、左舷の文字「海上保安庁」を白いペンキで消した。 全長9・9メートル、4・9トンの小型船のささやかな引退セレモニー。小樽港の3基の灯台を点検するのが主な役目だった。老朽化と灯台の性能アップで3月31日で引退した。 尾形克弘・航行援助管理官(44)は船体に日本酒をかけ、労をねぎらった。海上訓練などがあると、「ずいこう」で警備に出動した。訓練水域に侵入しそうになった高速水上バイクを全速力で追跡したこともある。「あの時は無理をさせたな」。この船で仕事をした職員はそれぞれの感慨に浸った。 引退の日、午前に予定されていたセレモニーは悪天候でいったん中止になった。「旅立ちを祝ってやりたい」。みんなの思いが天に通じたのか、午後になると、空はうそのように晴れ上がった。 船は競売にかけられ、買い手が現れなければスクラップになる。【和田浩幸】 毎日新聞 2006年4月13日 北海道夕刊
石川県七尾海上保安部で活躍していた姉妹船です。 2004/03/31付北國新聞夕刊 ◎20年間おつかれさま 七尾海上保安部 灯台見回り船の解役式 七尾海上保安部の灯台見回り船「第七かいこう」(全長9メートル、2・7トン)の解役式は31日、七尾市矢田新町の係留地で行われ、同海保係官が20年にわたって灯台見回りに活躍した同船に別れを告げた。 「第七かいこう」は1984(昭和59)年に就航、七尾湾の灯台や灯浮標の点検補修のために使われてきた。1911(明治44)年から始まった七尾湾の灯台見回り業務で、動力船としては4隻目となる。 式では小松富士夫部長ら約10人が見守る中、灯台課の係官が庁旗を降ろした。同海保は4月から民間船で灯台見回り業務に当たる。