トラネコジャーナル

毎日楽しく、前向きに。
ねこ兄弟とアートを中心に
日々の新しい発見をつづる
トラネコの日記

古径と土牛展@山種美術館

2013-11-23 | アート
恵比寿にある山種美術館
山種証券(現・SMBCフレンド証券)の創始者である山崎種二氏が
集めたコレクションと安宅コレクションをもとにしている。

しかし安宅産業は破たんし、山種証券はSMBCフレンド証券となっている。
時代を担った事業であっても、名前だけでも保つということは、
こんなに難しいことなのかと思ってしまう。
そう思うと芸術の命の永遠性はすごいことだなぁと
素直に思ってしまう。
事業を起こした創業者たちはそんなことは
とっくに知っていたのかもしれない。
だから富を芸術に換えたのかもしれない。
そもそも芸術にはパトロンが必須なものだから、
価値を交換して命を得ているのかもしれない。

そんなことを思いながら、
かっこいい建物に到着。

古径さんは大正・昭和の日本画家。
現在日本画を作った巨匠ですね。
巨匠の師匠は梶田半古。
その兄弟弟子だったのが奥村土牛であり、
土牛は古径を師匠と慕った。

古径は写生をして、して、して、して、
そこから浮かんでくる第1印象を絵にして、
それが絵から感じられたら良しとするとあった。
やはり巨匠でも基礎となる鍛錬に終わりはないのだ。

私なんてすーぐできたー!って思っちゃうもんね。
目標到達点がとっても低くて向上心がないんだろうなぁ。
それじゃだめだ、と高みを目指すわけで、
高みにある目標の設定は何かというと
自分の中にあるイメージなんだろうな。
そして、鍛錬して一つ一つモノにしていくんだろうなあ。
目標が誰々さんよりもっといい絵を描く、というような設定だと
いやらしい絵になるんだろうなぁ。

そういう絵だった。古径さんの絵は。
邪心がなくて、丁寧に対象を見ている絵だった。
清廉というか澄んだ絵でした。
澄んだ水の底に吸い込まれるような、あの感じ。
たぶん観察して観察して、観察して観察して
そこにその命の在り様を映し出しているからだろうな。




一方土牛さんのタッチはエネルギッシュ。
彼のエネルギーを感じある絵だ。
この辺は時代の違いもあるのかもしれない。

感動したのは、「醍醐」。

醍醐寺の桜を、古径さんの7回忌の帰りに見て、
絵にしなければと思いったったという、
古径への尊敬と感謝の念を感じさせる、深い絵だった。

そして、一瞬抽象画のようにさえ見えてしまう「鳴門」。

鳴門のうず巻きのある海は瀬戸内海なので、
現地は海の広大さがある風景ではないのだけど、
この絵にはやはり海の持つ水量の豊富さ、自然の力強さ、
沿岸の都会的な風景が表現されていて、
すごいなぁと、しばし呆然と立ち尽くす、そんな絵でした。

さて、さてカフェでひとり復習でもするかしらん。
山種美術館のカフェ椿には、
菓匠菊家に特別発注している和菓子があります。

ちなみに、上記の土牛「鳴門」にインスパイヤされた和菓子がこちら。


そして食べたら、ホワーッと甘みが、
やさしい甘みが来てさーっと溶けていく感じ。

かっこいいぜー、くー!
日本の文化ってほんとかっこいい。

そんな日本ってかっこいいぜ―モードで帰ってきたら、
猫が縦列駐車でごーはーんんんんん!と待っておりました。
ごめんねー。
でも今日はね、良いもの見てきちゃったのよ、ふふふ。

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3 Comments

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Unknown (koto)
2013-11-25 22:00:46
美術のことはサッパリわかりませんが
きれいな絵ですね。
以前、家族の長期入院の付き添いで朝・昼・晩と
ずーっとずーっと病院のコンビニ食しか食べられない時期がありまして。
(付き添いを交代してくれなかった夫を今でも怨んでるぞ!)
まともな食事ができてない苦しさの中で
「和菓子が食べたい。まんじゅうが食べたい。団子が食べたい。上質なあんこが欲しい。」と言い続けておりました。
ケーキとかチョコとかじゃなくて和菓子が恋しかったんですよね。
ああ私は日本人だと思いましたわ。
えっと、日本文化バンザイのお話でした。アハハ

レオハチちゃんたち。お土産で買ってきた陶器の置物かと思った・・笑。
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信仰心ような・・・ (ココの母)
2013-11-26 22:39:39
こういう日本画を描く時の気持ちって、
邪心を払い、集中して、自分の内面を見つめ・・・・
というようなキリッとした空気の中での作業なのでは、
と思いました。

まるで、宗教の世界みたいなものなのか・・・。
声を掛けにくそうな空気ですね。

小林古径の絵はテレビからでさえ、
「はーー・・・」と息を呑むような繊細さがありますね。

和菓子、何てきれいなんでしょう!

レオくん、はっちゃん、何てきちんとお座りしてるんでしょ!
レオくん、やや後ろに控えめに!かわいいっ!!♪
返信する
きれいなもの・こころのあるもの (トラネコ)
2013-11-27 20:35:56
kotoさん
美術のことなどわからなくていいんですよー。
美しい、すごい、なんかびっくりした、なーんにもかんじない、きもちわるい。これでいいんだと思いますよー。
わたしなど行ってみたら(私的に)つまらなーいと思った器などの展覧会は
料理いれるなら、卵焼きだとか、
豆ごはん入れたらきれいよ、きっと、とか
思いながら、見ることも
よくあります(笑)

日本画はテーマが地味なことが多いけど、色はきれいよー。
日本人のDNA的にはきれいな色なんですよ、これ。
あんこと一緒でなっとくですよー。

話は変わりますが、昔よく海外に行っていた時、
日本に戻って食べたいのが、ナポリタンスパゲティだった(笑)
あれもきっと和食(笑)


ココの母さん
集中力みたいなものを油絵やリトグラフより感じますよね。
でも、これ日本人の心が動く表現なんだと思います。
じっと、冷静に、無駄なことをせず、強く、ひたむきに。
トランキリティー。
すてきな文化です。こんないい国なのに。
政治なんか、まともになってほしいです(涙)
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