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「消費税」 と 「GDP」

2021年11月22日 | 統計
 「消費税(等)」をカギかっこ付きで書くのは、正しくは「付加価値税」だからです。また、免税業者の場合は、原価割れで売って「付加価値」が減少しても還付されないので「付加価値税」もカッコ付きで書きます。「免税」とは税の納付を免れる事を意味し、既に仕入れ業者に支払った「消費税等」は、その「売り上げ損失分の税額」が還付されなければ「免税」された事にはなりません。

 自動車などを輸出する場合には「消費税」が免除(還付)され、それは「輸出は消費では無い」とされるので当然の様にも思えますが、「付加価値税」の場合は付加価値を付けて輸出するので、原理的には「付加価値税」が免税(還付)される事は有りません。

 本来「付加価値税」は、業者が付加価値を加算して販売し、その一定割合を納税する「直接税」なのですが、輸出時に還付を要求する輸出業者に阿る為に「消費税」と言い張り、「間接税(消費者から預かった税を業者が納税する)」の様に見せかけ、消費者を惑わす為の税制名と言えます。

 日本の令和1年のGDP(約558兆円)の内訳(概略)は、

民間最終消費:304(家計最終消費297)
民間住宅  : 21
民間企業設備: 92
政府最終消費:112
公的固定資本: 29
純輸出   : -2(輸出96-輸入98)

です。つまり、GDPの半分以上を占める家計消費を犠牲にして、その一部をGDPの17%に当たる「輸出業者の輸出補助金」に充てているとも言えます。また、輸入品には「消費税10%」が加算され、最終消費者に消費される前に、或いは消費されなくても「消費税」を業者が直接納税する事になります、

 つまり「消費税」は、輸入業者には「付加価値が加わる前の物品税(直接税)」と「販売粗利の付加価値税(取り敢えず直接税)」になり、輸出業者には「輸出補助金(免税・還付)」となり、消費者には「消費税(間接税)」になると云う、鵺の様な税制と言えます。

 「政府最終消費(支出)」とは言っても、元々は税金が大半(国債発行も有る)なので、原資は民間資金と言えます。お金に流通経路は書いていないので「国家公務員給与」も消費税から支払われているとも言え、公務員が消費税を負担しても一巡して自分に戻って来るので、痛くも痒くもありません。

 
令和2年度の一般会計税収額は55.1兆円で、その内訳は

消費税:19.3
所得税:18.5
法人税: 8.0
その他: 9.3

です。家計最終消費が297兆円なら、その10%の「約29兆円」が「消費税収入」として納付されても良いと思うのですが、10兆円程少なくなっています。免税業者の免税分や、免税業者以外の還付分も考えられますが、輸出額の96兆円の10%である「9.6兆円」に近いことも気になります。

 この「鵺税」を最初に導入したのが1989年で、消費税率が変更された年と翌年の税収推移(何れも単位は兆円)は、

年度(消費税率%):総税収 :消費税収:法人税収:所得税収:名目GDP
1980(  -):26.9:   -:   ?:   ?:255.7

1988(  -):50.8:   -:   ?:   ?:401.7
1989(  3):54.9: 3.3:19.0:21.4:430.0
1990(  〃):60.1: 4.6:18.4:26.0:462.8

1997(  5):53.9: 9.3:13.5:19.2:543.5
1998(  〃):49.4:10.1:11.4:17.0:536.5

2014(  8):54.0:16.0:11.0:16.8:518.8
2015(  〃):56.3:17.4:10.8:17.8:538.0

2019( 10):58.4:18.4:10.8:19.2:559.9
2020(  〃):55.1:19.3: 8.0:18.5:538.7

です。但し、その他の税収や、特別会計などは含んでいません。

 戦後、日本のGDPは増え続け、消費税が導入されてから減速し始めました。その後停滞が続いていて、これを「失われた30年」と言います。元々(名目)GDPの10%程度が(一般会計の)総税収だったので、政府や「経済学者」は、「消費税」を導入したらその分の税収額が増える心算でいたと思いますが、「消費税を加えてもGDPの10%」と、結果は惨憺たるものでした。

 1980年⇒1990年の10年間でGDPは1.8倍になり、累進税率の効果で税収も2.2倍になりましたが、1990年⇒2020年の30年間でGDPは1.2倍に留まり、税収は0.9倍です。これでは「財政均衡」どころか「税収均衡」と言えます。

 30年間の景気停滞のなか、「消費税収(率)」は増加し続け、「所得税」が少なくなったように見えても「所得税+消費税」は増えています。可処分所得が減額されるので、当然企業も苦しくなり、「法人税率の下げ(42%⇒23.2%)」も加わって法人税収も減少しています。

 民主主義国では国民が主権者なので、国民自身の「自己批判」が必要です。それにしても「『消費税増税』をしなければ、社会保障制度が破たんする」と言った政治家・官僚・経済学者に訊きたいのは、この30年間に税収は増えていないので、破綻した社会保障制度が有る筈ですが、どうでしょう?




2 コメント

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Unknown (katumoku10)
2021-11-22 09:54:41
罪務症のトリックですね!
付加価値税は付加価値=人件費(給料+社会保険料)+利益に税率をかけるわけですから、経営者が人件費を抑制すれば利益が上がる仕組みです。非正規雇用にすれば経費扱いです。付加価値は売り上げから経費を引いたものですから、これに税率をかけて納税すればいいので、できるだけ人件費を経費で落とします。だから国民の給料は上がらない仕組みなのが分かりました。

こんな国民貧困化の政策を需要不足のデフレ期に30年近くやれば、貧しい国になりますよね。よく一揆が起こらないものです(;一_一)

そんな中で法人税減税まですれば大企業の内部留保はたまります。それを原資に天下りというのが奴らの謀略だったのです。
なぜ日本国民がこんなことを許し続けるのかですが、
これにも仕組みがありますが、長くなるので別の機会に!
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Unknown (yk-soft-85)
2021-11-22 16:57:38
「社会保障に必要」と言われれば、善良な日本人は反対できません。
ホントに困ったものですネ。
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