「ホロコースト」 と 「人種問題」

　ウーピー・ゴールドバーグ氏が、「ホロコーストは白人グループの非人道的な問題であり」「黒人などの有色人種に対する問題とは分けるべき」と云う意味合いの発言をしたようです。

　この発言の「前段部分」はまさに正鵠を射ていますが、後段部分の意味が正確には分かりません。また、ゴールドバーグ氏は謝罪し「ヒトラーとナチスはユダヤ人を劣った人種とみなしていたため、実際には人種をめぐるものだった」と釈明したのですが、科学を信奉する私としては、更に理解不能になりました。但し、私は英語が分からないので、日本語の「人種」の意味が英語でも「科学で言う人種」と同じなのかは分かりません。

　ちなみに、「正鵠を射る」と「正鵠を得る」は、一般に同じ意味とされています。しかし私は、「射る」の場合は射った本人の言動に対する表現で、「得る」の場合は第三者の同意を得た場合に使用する、と区別しています。この発言に対して、何処からクレームが入ったのかが分からないのですが、「正鵠を得ていなかった」と思われます。

　過去の科学では、地球上の人類には様々な「人種」があるとされてきましたが、現在では現存する「ホモサピエンス・サピエンス」の単一種であるとされています。勿論、未来の科学でもこれが保証されるとは限らないのですが、現在に関する発言は現在の科学に則るべきと云うのが「科学の存在意義」と言えます。

　科学を無視した発言は、単なるツイート（呟き）に過ぎず議論の対象外ですが、このピーチクに対する私のパーチクとしてここに書きます。

　ヒトラーの出自がハッキリせず、「ユダヤ人」であると云う説もあるようです。また、「ユダヤ人」の定義もハッキリせず、例えばキリスト教に改宗したユダヤ人がその後も「ユダヤ人」と言えるかどうかも分かりません。つまり、ヒトラーが「元ユダヤ人」だとしたら、ホロコーストは人種問題（科学的には人種問題ではないが、文学的な表現として）では無く、単なる「ヒトラーの自己嫌悪から逃れるための残虐行為」に過ぎないとも言えます。

　「ハラーハー（ユダヤ法）」では、ユダヤ人の母親から生まれた者、あるいは正式な手続きを経てユダヤ教に入信した者がユダヤ人であると規定されているそうです。つまり、自分の母親の出自が分からなければ「正式な手続き」を経なければユダヤ人に成れないと言え、逆に黒人でも「ユダヤ人」に成れる可能性が有ると言えます。

　実際に「黒人のユダヤ人」がナチス時代にいたかどうかは分かりませんが、若しもいなければ、ユダヤ人は黒人を差別していた蓋然性が高いと言えますし、いたならば「ホロコーストは白人グループの問題」では無かった事になります。但し、現在では「黒人のユダヤ人」は多数いるようです。

　また、ディアスポラ以降世界中に「ユダヤ人」が散在、或いは集団で生活しているようですが、生活様式や言語が違う為に「一つの民族」と言うには無理があります。ユダヤ教徒を「ユダヤ人」と定義した場合は、ヒトラーは「ユダヤ教徒」を虐殺した事になり、民族迫害では無く「宗教迫害」になります。

　ホロコーストが「宗教迫害」だとしたら、現在進行形で「ホロコースト」が行われていて、これを多くの国が容認していると解釈できます。２０２２北京五輪に参加している選手や報道関係者は勿論、「イスラエル」と「ユダヤ人」も含めて。何よりもＩＯＣ自体が、政治不介入として「平和的な宗教迫害」を容認しています。

　ナチスによる「ユダヤ人」の定義は広範すぎて論外と言え、考察の価値は無いのですが、是非とも「ユダヤ人」と「ユダヤ教徒」の定義の違いを知っている人が居たら教えて貰いたいと思います。それと、「ナチスを否定するドイツ人」と「当時のナチスを支持したドイツ人」の違いも。

　（参考）ナチズムによるユダヤ人の定義
・ユダヤ人　；両親・祖父母のうち一人でもユダヤ教を信仰したことがある人。非アーリア人。
・完全ユダヤ人　；祖父母のうち3人以上が「人種上の全ユダヤ人」である人。信仰によらない。
・非ユダヤ教徒ユダヤ人　；ユダヤ人と婚姻していた人。