あさか野の四季

      写真歳時記

侘助(ワビスケ)の花

2013年03月30日 | 庭に咲く花

ツバキの一種(園芸種)で、他のツバキの仲間に比べ、つつましくやさしい感じがする。これは猪口咲きで、花も小さめといった特性によるものなのかもしれない。写真は白花であるが、赤、桃色などもある。

侘助という奇妙な名前。古くから茶花として愛用する茶道などにおける、わび(侘び)に由来したものだろうと思っていた。しかし、これは諸説ある中の一つにすぎず、どうやら本命は、秀吉の朝鮮出兵(文禄、慶長の役)の折、侘助という人が持ち帰ったという説(広辞苑)のようである。

茶花として重宝されてきた理由としては、葉の陰にひっそりと咲く風情が、わび(侘び)、さび(寂び)、すき(数寄)に通じるものがあったためと考えられるが、花の少ない初冬から晩春にかけて咲くという特性も大いに関係しているような気がする。
(写真:郡山市喜久田町の庭園にて)


満作(マンサク)の花

2013年03月17日 | 里山の木々

里山の中に咲くマンサクである。
花はひっそり遠慮がちに咲くためかあまり目立たないが、林にまっ先に春を告げる。

マンサクという名については、枝いっぱいに花をつけるので満作(万作)と名づけたと言う説、他に先駆けて”先ず咲く”が語源といった説がある。写真のように山林に咲くマンサクの花は小さく、満作と呼ぶには少し違和感を覚える。(もっとも花が大きく、花数も多い園芸種は満作でも合うのかも知れないが)

一方、これら語源とは別に、中村浩氏は「植物名の由来」という本の中で次のような説を唱えている。
マンサクの花を手に取りよく見ていると、この花はシイナ(冷害や干ばつなどにより実が入らず殻が細くねじれたもの)に似ており、これはシイナ花だと直感したという。各地の方言を調べてみると、シイバナとかシシバナと呼んでいる地方があった。そこで、もしもこの花がシイナを表すものであるとすれば、満作どころか、凶作を意味することになると思ったという。民族学では「実名敬避性」といって、たとえば、水辺のアシをヨシ(悪しを善し)と言うように、忌詞をその反対語で呼ぶことがあるという。
このようなことから、マンサクはかつてシイナとかシイナバナとか呼ばれていたものが、この忌詞を嫌って反対語の満作(万作)としたのではないか、という説である。何となく納得できる面白い考え方だ。
(写真:郡山市逢瀬町にて)






3.11の思い

2013年03月11日 | 天災・人災

3月11日、今年もまたこの日を迎えた。
あの悪夢のような原発事故から2年が過ぎようとしている。
福島県民、とりわけ県内外に避難を余儀なくされている15万余の人々は、放射能、風評被害に今も苦しみ続けている。
政府は口癖のように福島の復興なくして日本の再生はないと言うが、除染にしても、廃炉に向けた工程にしても相変わらず東電(原子力ムラ)まかせの感はぬぐえない。安全神話を信奉し、事故などをまったく考えなかった人々に原子炉の終息、廃炉の青写真が描けるのであろうか。いま、東電、政府に必要なことはすべての情報を公開し、国内外から知恵を借りることであろう。

原子力ムラの人たちは今でも事故の主因は想定外の津波だったというが、素人目にも、建設後40年近く経った老朽化施設があの地震に耐えたとは到底思えないのである。ある元原発技術者は「今も増え続ける大量の汚染水は、原子炉容器に穴が開いたのではなく、老朽化した配管の破損ではないか」とも言う。しかし、東電は設備などの耐震性に問題は無いという。事故調査委員会に嘘をついてまで見せたく無かったものとは何だったのであろうか。不思議なことに、マスコミもこの点には触れないうにしているように思えてならない。もとっもマスコミも広告収入で繋がっていたムラの住人であり、期待する方に無理があるのかもしれないが。

今後、原発の安全な終息、廃炉への道筋を立てるためには、真相を公開し広く英知を集める以外に無いように思われる。避難している人々の願いは、今後の見通しと方針、具体的な工程の提示であり、それ無くして、人々は希望をもって将来の設計を描けないのである。
(写真:忘れられない14時46分)








ピンク猫柳(ネコヤナギ)

2013年03月03日 | 庭に咲く花

ふわふわとしたピンク色の花穂が、冬枯れの庭にひときわ輝く。

このピンクネコヤナギは、ネコヤナギの園芸種で、近頃、庭木や切り花としての人気が高いという。花が少ないこの時期、蕾から開花(2月~4月)まで楽しめるのが魅力なのかもしれない。
        陽を溜めて綿毛や今朝の猫柳  廣戸次郎

この頃あまり見かけなくなった本来のネコヤナギ(正式にはカワヤナギ)。やっと見つけた枝の芽は、まだ固いままである。
あの銀色のかわいらしい花穂に会えるのは、もう少し先になりそうだ。(写真:郡山市大槻町内にて)