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あさか野の四季

      写真歳時記

侘助(ワビスケ)の花

2013年03月30日 | 庭に咲く花

ツバキの一種(園芸種)で、他のツバキの仲間に比べ、つつましくやさしい感じがする。これは猪口咲きで、花も小さめといった特性によるものなのかもしれない。写真は白花であるが、赤、桃色などもある。

侘助という奇妙な名前。古くから茶花として愛用する茶道などにおける、わび(侘び)に由来したものだろうと思っていた。しかし、これは諸説ある中の一つにすぎず、どうやら本命は、秀吉の朝鮮出兵(文禄、慶長の役)の折、侘助という人が持ち帰ったという説(広辞苑)のようである。

茶花として重宝されてきた理由としては、葉の陰にひっそりと咲く風情が、わび(侘び)、さび(寂び)、すき(数寄)に通じるものがあったためと考えられるが、花の少ない初冬から晩春にかけて咲くという特性も大いに関係しているような気がする。
(写真:郡山市喜久田町の庭園にて)


ピンク猫柳(ネコヤナギ)

2013年03月03日 | 庭に咲く花

ふわふわとしたピンク色の花穂が、冬枯れの庭にひときわ輝く。

このピンクネコヤナギは、ネコヤナギの園芸種で、近頃、庭木や切り花としての人気が高いという。花が少ないこの時期、蕾から開花(2月~4月)まで楽しめるのが魅力なのかもしれない。
        陽を溜めて綿毛や今朝の猫柳  廣戸次郎

この頃あまり見かけなくなった本来のネコヤナギ(正式にはカワヤナギ)。やっと見つけた枝の芽は、まだ固いままである。
あの銀色のかわいらしい花穂に会えるのは、もう少し先になりそうだ。(写真:郡山市大槻町内にて)


南天(ナンテン)

2013年01月20日 | 庭に咲く花

今日は大寒。厳しい寒さの中、ひときわ鮮やかである。
発音が「難転」に通ずることから、正月の飾りや福寿草との組み合わせ(災い転じて福に)など、縁起ものとして使われることが多い。また、赤飯などに添えられる葉は、彩りと共に防腐効果もはたすという。日本人の知恵である。

和名の南天は、漢名の南天燭や南天竹を略したものとされる。中国原産で古く渡来したものが野生化し、山口県萩市川上の「ユズおよびナンテンの自生地」は、国の天然記念物として有名である。

ナンテンの葉は「南天葉」という生薬として使われ、健胃、解熱、咳鎮などに効果がある。実の方も薬用にされるようであるが有毒なアルカロイドを含むため注意が必要だという。それを知ってか、この時期に実を求めてくるヒヨドリも、よく観察すると一度にそう多くは啄まないようである。

ナンテンは、葉も実も長持するため生け花でも重宝がられている。ただ、ある地方では、この長持ちすること、つまり他の花木が枯れても最後まで残っていることからの連想で、酒席に最後まで残ってなかなか腰を上げない人達を「ナンテン組」と言うのだとか。面白い喩えである。
(写真:郡山市の自宅庭にて)


石蕗(ツワブキ)の花

2012年11月17日 | 庭に咲く花

庭に花が少なくなるこの時期、黄色い頭状花がひときわ鮮やかである。

ツワブキはキク科の常緑多年草。福島県、石川県より南西の海岸沿いの山野に多いという。近頃は園芸種も数多いようで、あちこちの庭先でよく見かける。
和名は、光沢のある葉を持ち、フキに似ることから付けられたツヤブキ(艶蕗、艶葉蕗)の転訛とされる。
しかし国語辞典には、なぜか石蕗の表記が多い。

ともあれ、ツワブキは晩秋から初冬にかけての庭に、明るさと彩りを添えてくれる。
(写真:郡山市の自宅庭にて)


蓮華(れんげ)

2012年08月07日 | 庭に咲く花

ハスの花のこと。なんとも言えない美しさがある。
ハスの呼び名は、古名ハチス(実の入った花托が蜂の巣に似る)の略という。漢名は蓮。古い時代に中国から入ったとされる。

ハスの花を見ると、食べるレンコン(ハスの根茎)よりも、ついお寺を連想してしまう。如来像の台座(ハスの花をかたどった蓮華座)などを思い浮かべるからであろうか。
日ごろ使っている「一蓮托生」という言葉も、死後に極楽浄土で同じ蓮華の上に生まれ合わせるというのが、もともとの意味のようである。

「泥より出でて 泥に染まらず」 ハスは泥の中で育っても、こんなに美しい花を咲かせる。意味深い言葉である。 まもなくお盆。
(写真:三春町のお寺の境内にて)


紅一点(ザクロの花)

2012年07月16日 | 庭に咲く花

「万緑の叢中 紅一点 人を動かすに 春色多く用いず」
一面の緑の中、一輪の紅色の花が咲いている。春はそれだけで人を感動させるのに十分である。つまり、人を感動させるには、ただ一つ違うものがあれば良いという。
この紅一点は、中国の王安石の「詠柘榴」と題する詩が由来で、ザクロの花を詠んだものとされる。(当地方は今が花盛り)

ザクロは地中海沿岸地方が原産。果樹としての栽培歴は世界で最も長い種類といわれる。日本には中国を経て平安時代に庭木や薬用(駆虫剤)として入ったようである。

紅一点について、現在の日本では男性ばかりの中に一人だけ女性がいることの意味合いで使われることが多いが、調べてみるとこのような単純な使い方では、原作者に申し訳ないような気がする。
(写真:郡山市大槻町のある庭にて)


毒痛め(ドクダミ)の花

2012年06月29日 | 庭に咲く花

ほの暗い木立の下の白い花。
ドクダミの花は、梅雨のこの時期がよく似合う。

和名の語源は、毒や傷みに効能があるということや毒を止めるといった意味合いで「毒痛め」「毒傷み」「毒を矯める」が転じたものとされる。

特有の臭いがあるため、毒草とみられがちであるが、漢方では解毒をはじめ腫れ物、切り傷に対して使われるなど、十種類の薬草に匹敵する効果があるとされ「十薬」ともよばれる。
(写真:郡山市の自宅庭にて)


ネリネの花

2011年12月15日 | 庭に咲く花

12月半ば、何もなくなった庭にひときわ凛と輝く。
一見、彼岸花と見間違えそうであるが、ネリネという南アフリカ生まれの球根植物である。花びらに独特の輝きがありダイヤモンドリリーともよばれる。
ギリシャ神話の海の神「ネレウス」が名前の由来とか。

日本には大正時代に渡来したが、有毒植物の彼岸花に似るため定着しなかったと聞く。しかし、最近は品種改良が進み、さまざまな色合いの花を楽しむ人も多い。

それにしても、氷点下の庭先に咲く姿には感動すらおぼえる。
(写真:郡山市の自宅庭にて)



山茶花(サザンカ)

2011年11月29日 | 庭に咲く花

晩秋から初冬、庭を彩るサザンカの花は美しい。
白、淡紅、濃紅そして一重、八重と花の色や形も多様で面白い。

古くから茶花として好まれ、いまも庭木や生垣として人気が高い。 木枯らしに耐えて咲くこの花に、人は優しさとともに力強さをみるのかも知れない。

中国では山茶は椿のことで、山茶花は茶梅と表すという。 どこかで取り違ったようである。 (写真:郡山市大槻町内にて)