単位変換(2)。の続き。
前回のエントリを書き終わってから気付いたのが、小学生向けの技術を書くのを忘れていたということ。
まぁ、前回のエントリも大分長くなっているので、こちらに。
前回の方法を使えば機械的に単位を変換できるわけですが、分数をバリバリ使うので小学生には結構難しいんですよね。
ということで、小学生には前回の単位変換の理論をもっと簡単にしたものを教えていたりします。
単位関係式とは、前回も出てきましたが、
1km=1000m
とか、2つの単位の関係を書いた式のことです。
単位変換式はここから作ったわけですが、小学生の場合には単位変換式を使わないで、この単位関係式から直接単位変換をする方法を導かせます。
どうするのかというと、
1、今どっちからどっちにしたいのか。
2、そのためには、どういう計算をしているのか。
というのを考えさせます。
例えば、2kmをmにしたい場合は、次のようにします:
今どっちからどっちにしたい?
→kmからm
(数字の部分に注目して)1が1000になっているわけだから、どういう計算をしたの?
→1000をかけた
じゃあ、答えは?
→2×1000=2000m
同様に、1200mをkmに直すことを考えてみましょう:
今どっちからどっちにしたい?
→mからkm
(数字の部分に注目して)1000が1になっているわけだから、どういう計算をしたの?
→1000で割った
じゃあ、答えは?
→1200÷1000=1.2km
という具合です。
つまり、単位関係式の左辺と右辺の数字を見比べさせて、何倍すればいいのか/何で割ればいいのかを考えさせるわけです。
変換したい単位が分子の方にある場合はこれで問題ないのですが、変換したい単位が分母にある場合はちょっと困ります。
具体的にいうと速さで、例えば時速(km/h)を分速(km/min)に直すとかだと、変換しているのは分母の方の単位なので、先ほどの方法だと上手くいかないのです。
ではどうするのか、という話ですが、変換したい単位が分母に出てくるのなんて、小学生の場合は速さくらいです。
だから、速さ専用の変換方法を用意しておけばいいわけです。
具体的には、次のようにしています:
最初に、
(小) 秒速 ⇔ 分速 ⇔ 時速 (大)
というふうに、秒速は小さくて、分速、時速となるにつれて大きくなると認識させておきます。
その状態で、
1、大きい速さにすると、数は大きくなるのだから、60をかける
2、小さい速さにすると、数は小さくなるのだから、60で割る
と教えます。
例えば、秒速120mを分速にしたいのなら、小さいのを大きいのに変えるわけですから、
120×60=7200
となるので、分速7200mとなります。
(ここから、kmに直したかったら、さっきの単位関係式を使った方法を使います。具体的には、1km=1000mで、mをkmにすると、1000が1になるのだから、1000で割ればいいと分かります。)
同様に、分速72mを秒速にしたいのなら、大きいのを小さいのにするわけですから、
72÷60=1.2
というふうに出来ます。
受験の子とかだと、ここでさらに時速km(km/hのこと)と秒速m(m/sのこと)の変換について教えたりします。
何かというと、この2つには
1km/h=3.6m/s
という関係があるので、これを教えておくわけです。
なぜかというと、この変換は結構出るのですが、この関係を知らないと、計算を3回もすることになるので時間がかかるんです。
ちょっと面白い方法で、小数点移動法(勝手に命名)なんていうのもあります。
この方法は10進の単位にしか使えない(=時間とかには使えない)のと、分数が出てくるとお手上げになってしまうという欠点はあるのですが、簡単なので便利です。
準備は、次のようにします:
まず、
km m cm mm
1|000|00|0|
| | | |
というふうに書きます。
次に、変換したい値を、小数点がその単位に揃うように書いてあげます。
例えば、720cmとかなら、
km m cm mm
1|000|00|0|
| 7|20. |
という具合です。
あとは、変換したい単位に小数点を移動するだけです。
例えば、mにしたかったら、
km m cm mm
1|000|00|0|
| 7.20| |
となるので、7.2mですし、mmにしたかったら、
km m cm mm
1|000|00|0|
| 7|20|0.
となるので、7200mmと分かります。
長さの場合は上のような感じでしたが、重さの場合は
kg g mg
1|000|000|
| | |
という感じですし、かさの場合は
m^3 cm^3
kℓ ℓ dℓ mℓ
1|000|0|00|
| | | |
となります。(かさの場合は、ℓとcm^3の2つが必要です)
この方法が特に有効なのが、面積の単位変換です。
面積の単位は、大きい方からkm^2、ha、a、m^2、cm^2があるわけですが、これを先ほどと同じようにすると、
km^2 ha a m^2 cm^2
1|00|00|00|0000|
| | | | |
というふうに、きれいになります。
覚えさせるときには、「0が10個。2個ずつ区切って最後は4個。」というふうにしたりします。
面積の単位に関しては、「様子を書かせれば分かる」という声を聞くことが多いのですが、出来ない子には様子を書くこともそうですが、そのあとの「1mは100cmだから、100×100で10000。だから、1m^2は10000cm^2だ。」という思考が出来ません。
頭が使えないんなら、頭を使わなくて出来る方法を覚えさせる、というのが即時的には必要になってきます。
(もちろん、長期的に見た場合にはマイナスも大きいかもしれませんが。ただ、個人的な感想をいうならば、出来ない子は考えさせる訓練をさせても考えることが出来ません。すぐに思考停止してしまいます。ある時期までに、いろんなことに対して疑問を持ち、それに対して試行錯誤してみるという経験をしている必要があるもかもしれません。)
なお、単位関係式・単位変換式を使った方法については自分で考え出した方法ですが、小数点移動法については自分で考え出した方法ではなく、教えてもらった方法です。(だから、ホントは勝手に命名しちゃいけないんですけどね^^;)
一応、ここに明記しておきます。
単位変換に関しては、これでお終い。
今自分が持っている知識・方法に関しては全部書けたかと思います。
それにしても・・・自分が今回書いたような内容ってほとんど見かけないんですよねぇ。
単位って、分かる人からすれば当たり前で、「ちょっと考えれば分かるでしょ? 方法なんてないし、いらないでしょ。」というものなんですよね。
当然、答えも「想像してみたらどうですか」とかいうものがほとんどです。
けど、質問している人の多くは、その「ちょっと考えれば」の部分が分からなかったり、想像が上手く出来ないから、質問しているんですよね。
なので、そういった人たちに今回の一連のエントリが役に立てばなと思います。
それにしても・・・そもそもは単位についてしっかりと教える単元がないからいけないんですよねぇ。
物理とか、単位について知っていないと何も出来ないっていうのに^^;
前回のエントリを書き終わってから気付いたのが、小学生向けの技術を書くのを忘れていたということ。
まぁ、前回のエントリも大分長くなっているので、こちらに。
小学生のための方法
前回の方法を使えば機械的に単位を変換できるわけですが、分数をバリバリ使うので小学生には結構難しいんですよね。
ということで、小学生には前回の単位変換の理論をもっと簡単にしたものを教えていたりします。
単位関係式からの変換
単位関係式とは、前回も出てきましたが、
1km=1000m
とか、2つの単位の関係を書いた式のことです。
単位変換式はここから作ったわけですが、小学生の場合には単位変換式を使わないで、この単位関係式から直接単位変換をする方法を導かせます。
どうするのかというと、
1、今どっちからどっちにしたいのか。
2、そのためには、どういう計算をしているのか。
というのを考えさせます。
例えば、2kmをmにしたい場合は、次のようにします:
今どっちからどっちにしたい?
→kmからm
(数字の部分に注目して)1が1000になっているわけだから、どういう計算をしたの?
→1000をかけた
じゃあ、答えは?
→2×1000=2000m
同様に、1200mをkmに直すことを考えてみましょう:
今どっちからどっちにしたい?
→mからkm
(数字の部分に注目して)1000が1になっているわけだから、どういう計算をしたの?
→1000で割った
じゃあ、答えは?
→1200÷1000=1.2km
という具合です。
つまり、単位関係式の左辺と右辺の数字を見比べさせて、何倍すればいいのか/何で割ればいいのかを考えさせるわけです。
速さの変換
変換したい単位が分子の方にある場合はこれで問題ないのですが、変換したい単位が分母にある場合はちょっと困ります。
具体的にいうと速さで、例えば時速(km/h)を分速(km/min)に直すとかだと、変換しているのは分母の方の単位なので、先ほどの方法だと上手くいかないのです。
ではどうするのか、という話ですが、変換したい単位が分母に出てくるのなんて、小学生の場合は速さくらいです。
だから、速さ専用の変換方法を用意しておけばいいわけです。
具体的には、次のようにしています:
最初に、
(小) 秒速 ⇔ 分速 ⇔ 時速 (大)
というふうに、秒速は小さくて、分速、時速となるにつれて大きくなると認識させておきます。
その状態で、
1、大きい速さにすると、数は大きくなるのだから、60をかける
2、小さい速さにすると、数は小さくなるのだから、60で割る
と教えます。
例えば、秒速120mを分速にしたいのなら、小さいのを大きいのに変えるわけですから、
120×60=7200
となるので、分速7200mとなります。
(ここから、kmに直したかったら、さっきの単位関係式を使った方法を使います。具体的には、1km=1000mで、mをkmにすると、1000が1になるのだから、1000で割ればいいと分かります。)
同様に、分速72mを秒速にしたいのなら、大きいのを小さいのにするわけですから、
72÷60=1.2
というふうに出来ます。
受験の子とかだと、ここでさらに時速km(km/hのこと)と秒速m(m/sのこと)の変換について教えたりします。
何かというと、この2つには
1km/h=3.6m/s
という関係があるので、これを教えておくわけです。
なぜかというと、この変換は結構出るのですが、この関係を知らないと、計算を3回もすることになるので時間がかかるんです。
小数点移動法
ちょっと面白い方法で、小数点移動法(勝手に命名)なんていうのもあります。
この方法は10進の単位にしか使えない(=時間とかには使えない)のと、分数が出てくるとお手上げになってしまうという欠点はあるのですが、簡単なので便利です。
準備は、次のようにします:
まず、
km m cm mm
1|000|00|0|
| | | |
というふうに書きます。
次に、変換したい値を、小数点がその単位に揃うように書いてあげます。
例えば、720cmとかなら、
km m cm mm
1|000|00|0|
| 7|20. |
という具合です。
あとは、変換したい単位に小数点を移動するだけです。
例えば、mにしたかったら、
km m cm mm
1|000|00|0|
| 7.2
となるので、7.2mですし、mmにしたかったら、
km m cm mm
1|000|00|0|
| 7|20|0.
となるので、7200mmと分かります。
長さの場合は上のような感じでしたが、重さの場合は
kg g mg
1|000|000|
| | |
という感じですし、かさの場合は
m^3 cm^3
kℓ ℓ dℓ mℓ
1|000|0|00|
| | | |
となります。(かさの場合は、ℓとcm^3の2つが必要です)
この方法が特に有効なのが、面積の単位変換です。
面積の単位は、大きい方からkm^2、ha、a、m^2、cm^2があるわけですが、これを先ほどと同じようにすると、
km^2 ha a m^2 cm^2
1|00|00|00|0000|
| | | | |
というふうに、きれいになります。
覚えさせるときには、「0が10個。2個ずつ区切って最後は4個。」というふうにしたりします。
面積の単位に関しては、「様子を書かせれば分かる」という声を聞くことが多いのですが、出来ない子には様子を書くこともそうですが、そのあとの「1mは100cmだから、100×100で10000。だから、1m^2は10000cm^2だ。」という思考が出来ません。
頭が使えないんなら、頭を使わなくて出来る方法を覚えさせる、というのが即時的には必要になってきます。
(もちろん、長期的に見た場合にはマイナスも大きいかもしれませんが。ただ、個人的な感想をいうならば、出来ない子は考えさせる訓練をさせても考えることが出来ません。すぐに思考停止してしまいます。ある時期までに、いろんなことに対して疑問を持ち、それに対して試行錯誤してみるという経験をしている必要があるもかもしれません。)
なお、単位関係式・単位変換式を使った方法については自分で考え出した方法ですが、小数点移動法については自分で考え出した方法ではなく、教えてもらった方法です。(だから、ホントは勝手に命名しちゃいけないんですけどね^^;)
一応、ここに明記しておきます。
単位変換に関しては、これでお終い。
今自分が持っている知識・方法に関しては全部書けたかと思います。
それにしても・・・自分が今回書いたような内容ってほとんど見かけないんですよねぇ。
単位って、分かる人からすれば当たり前で、「ちょっと考えれば分かるでしょ? 方法なんてないし、いらないでしょ。」というものなんですよね。
当然、答えも「想像してみたらどうですか」とかいうものがほとんどです。
けど、質問している人の多くは、その「ちょっと考えれば」の部分が分からなかったり、想像が上手く出来ないから、質問しているんですよね。
なので、そういった人たちに今回の一連のエントリが役に立てばなと思います。
それにしても・・・そもそもは単位についてしっかりと教える単元がないからいけないんですよねぇ。
物理とか、単位について知っていないと何も出来ないっていうのに^^;