NHK 広島発 特集ドラマ 『帽子』

軍港の町呉で帽子店を営む老職人の春平(緒方拳)と
彼を担当する警備会社の青年吾朗(玉山鉄二)。
あるきっかけで、
二人の運命を決めた女性、世津(田中裕子)が
東京にいることを知る。
春平にとって世津は、妹のようにいたわりながら
心に秘めた愛をまっとうできなかった悔恨の相手。
吾朗にとっては幼い自分を父の手に残して去っていった
薄情な母親。
世津はその出生の頃から胎内被爆という悲運を背負い
多難な生き方を強いられながら
いまさらに、癌を患い余命数カ月と宣告されているという。
二人の男は、自分の生き方をもう一度見定めるために
世津のもとへ向かう。
生きる誇り、という言葉を
久しぶりに聞いた。
春平と吾朗にとって、それは仕事であるのだが
仕事に充実を感じられないのは
実は心の底の、信じる人の不在であることを
気づかされる。
世津の受けた傷みについて、多くは語られない。
ただ「のほほん」とやり過ごすことが
肩肘張らず、自分らしく生きる知恵であることを
教えてくれる。
いまも続く傷を恨み、憎むのではなく
自らの知恵で再び人を生かすことができるなら
それが
世津にとって、誇りある生き方なのである。
誇りある生き方など
いまさらカビ臭い、といえばそれまでだが
戦後六十数年を経て、みんな幸福になったかとみれば
そんなことはないのもまた、事実なのだ。
たまにテレビを見て、グッときた90分であった。
NHK 広島発 特集ドラマ 『帽子』 8月2日(土)21:00~22:30放送

軍港の町呉で帽子店を営む老職人の春平(緒方拳)と
彼を担当する警備会社の青年吾朗(玉山鉄二)。
あるきっかけで、
二人の運命を決めた女性、世津(田中裕子)が
東京にいることを知る。
春平にとって世津は、妹のようにいたわりながら
心に秘めた愛をまっとうできなかった悔恨の相手。
吾朗にとっては幼い自分を父の手に残して去っていった
薄情な母親。
世津はその出生の頃から胎内被爆という悲運を背負い
多難な生き方を強いられながら
いまさらに、癌を患い余命数カ月と宣告されているという。
二人の男は、自分の生き方をもう一度見定めるために
世津のもとへ向かう。
生きる誇り、という言葉を
久しぶりに聞いた。
春平と吾朗にとって、それは仕事であるのだが
仕事に充実を感じられないのは
実は心の底の、信じる人の不在であることを
気づかされる。
世津の受けた傷みについて、多くは語られない。
ただ「のほほん」とやり過ごすことが
肩肘張らず、自分らしく生きる知恵であることを
教えてくれる。
いまも続く傷を恨み、憎むのではなく
自らの知恵で再び人を生かすことができるなら
それが
世津にとって、誇りある生き方なのである。
誇りある生き方など
いまさらカビ臭い、といえばそれまでだが
戦後六十数年を経て、みんな幸福になったかとみれば
そんなことはないのもまた、事実なのだ。
たまにテレビを見て、グッときた90分であった。
NHK 広島発 特集ドラマ 『帽子』 8月2日(土)21:00~22:30放送