goo blog サービス終了のお知らせ 

屋根裏としょかん

静かに世界が見える場所

~いい本はみんなでこっそり読むのだよ~

劇団ひとり「陰日向に咲く」上手すぎる処女作!!やられた~

2006-05-10 23:46:48 | ジ~ンとする本
★「陰日向に咲く」(劇団ひとり/幻冬舎)

「劇団ひとり」ってうまい名前だよね~っと感心してたら「本」出して
いや~、また!それが・・・
恩田陸さんが言ってました!!
「ビギナーズラックにしては上手すぎる。あと2冊書いてもらわなきや」とか
帯に書いてあり。買をう、買をうと思ってた矢先以外な人から借りられて。
あらよ、あらよと読み進み。またこれが本当に処女作か!っと思うほど上手いです
(怪人純平が偉そうに言うのも烏滸がましいけれど・笑い)
何かエッセイかと思っていたら、小説なんですよほんとうに・・・
5編の連作短編集。読み進む内・・・
こんな所に繋がりが・・・あれっここにくるのかよ!っと意外な上手さに納得!!!
不覚にもジ~んと(笑い)

「道草」
平凡なサラリーマンにやや疲れホームレスに憧れて本当にその道に・・・
「拝啓僕のアイドル様」
よくいるオタク・・・一途な恋心を売れないアイドルに求めるオタク君。切ない恋物語
『ピンボケな私」
カメラマンを夢に見て一日一日を?何となく流され何をしていいのか分からない女の子の話
「over run」
本当の悪党になれないギャンブル借金まみれの頭の、悪いエラソーな男の話
「鳴き砂を歩く犬」
スポットのあたらない人生を真面目に生き、ひた向きさと無謀さが絡みあった男女の日常・・・

っと怪人純平が言ってしまうと。あまり面白くねえ~んじゃねえの~と言われそう(笑い)
でも本当に上手いんですよ~うらやまし~
して、人間ていろんなかかわりを持って生きているんだな~っと感じさせてくれます
第二作が心待ちどうしい「劇団ひとり」にエールを送ります

怪人純平

この包帯は、鳥の翼みたいだ。「包帯クラブ」

2006-04-18 23:41:40 | ジ~ンとする本
◆「包帯クラブ」(天童荒太/筑摩書房)

大人や社会の都合で、心に傷を受けていく少年・少女たち。
彼女たちが前に進むために見つけた方法は、
傷を受けた場所に包帯を巻くこと。
そして仲間たちに、自分の話を聞いてもらい、認めてもらうこと。

人によって物事の受け止め方が違うように、
同じ日常でも、心に受ける傷跡は個人差が大きくあったりして。
大切なのは、その人にとっての「真実」。
自分の言葉に心から耳を傾けてくれる友人がいるかどうかで、
その人の人生は大きく変わってくるのかもね。

私がハッとさせられたのが、周りから奇人と見られている
少年のこと。彼は、泥水を飲もうとしたり、
一人でテントにこもって爆竹を投げ入れてくれるよう、
友人に頼んだりします。
彼が何故そんなことをするのかといえば…。

きれいな水がなく、泥水を飲むしかない貧しい国の人たちや、
戦時下にあり、爆撃におびえる国の人たちの気持ちを、
真剣に理解しようと思ったから。

それは、生半可の覚悟でできることじゃないし、
ある意味、人間として大切なものを持っている、
とても美しい姿に見えたりするけれど。
彼の周囲の大人たちは、その心の声に耳を傾けようとしない…。

もしかしたら、生きることに痛みを感じている
繊細な若者たちこそが、本当の意味でしっかりと、
人間の美しさや脆さを受け止める力をもっているのかも、
と思いました。

作者さんの純粋なエールが、現代の若者たちに伝わることを願いつつ…。

くるみ

殺人犯の家族は、幸せになる資格がない?「手紙」

2006-03-24 00:41:39 | ジ~ンとする本
◆「手紙」(東野圭吾/毎日新聞社)

「罪を憎んで人を憎まず」。
よく、そんなことを言うけれど、実践するのは難しいよね。

この本は、両親を亡くし、貧しい暮らしの中で、
弟の大学資金のために強盗を働いた兄が、過って殺人を犯してしまう物語。
兄は、刑務所から月に一度、弟に手紙を送るのだけど、
その手紙が一般社会を生きる弟の人生を、何度も壊してしまう。

「殺人者の家族には罪がない」って口でいうことは簡単だけど、
もし身近にそんな人が現れたとして、なんの差別なく接することができるかと
いったら……私は自信がない。

自分のアパートの隣に、麻原の娘が引っ越してきたら、逃げたくなるし、
もし弁当屋で、林真須美の子供が働いていたら、そこでは買わなくなりそうだ。

偏見だって言われても……でもどうしても。
心の中の、ドアが開かない。

自分を思ってくれた兄のせいで、差別や偏見に苦しめられた弟が、
最後に出す結論が…とっても胸を打ちます。
東野圭吾さんは、全くホントに怖ろしい人間の世界を、形にしちゃったものです。


くるみ