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屋根裏としょかん

静かに世界が見える場所

~いい本はみんなでこっそり読むのだよ~

うまく恋愛できない3人の女性の真面目な恋の物語       「大きな熊が来る前に、おやすみ。」

2007-09-02 21:52:44 | ジ~ンとする本
           新潮社/島本理生「大きな熊が来る前に、おやすみ。」
  
お~うい島本理生さ~ん「ナラタージュ」の勢いはどこに行ってしまったの?
「大きな熊が来る前に、おやすみ。」しちゃったのかなぁ~(笑い)
装丁見たときは、ムムムム~っと来ちゃいました、タイトルとこのイラスト(酒井駒子さん)
これは何か、面白そう~と(笑い)
あ~ごめんなさい、別に面白くないと言っているわけではないのです
「ナラタージュ」の島本理生でこの装丁~
怪人純平はもっと違う話をイメージしてしまったもので(笑い)

短編3作品からなる「大きな熊が来る前に、おやすみ。」
みんな少なからず恋に悩む女性が主人公の恋愛小説・・・
でも、でも島本理生独特の恋愛小説でありながら
平熱を決して超えない語り口がとても好きなところです。
それぞれの主人公が「恋」や自分の「心」にコンプレックスやトラウマを抱え
一線を超えられず・・・
いいなぁ~こう言う女の子・・・ほんとうにいい
あれ~また怪人純平の横道感想文になりそう~(笑い)
でもいいじゃありませんか、こんな女の子の後押しを、そっとしてあげたい・・・
もう完璧横道です(笑い)許してください、くるみ館長~(笑い)

「大きな熊の来る・・・」は今年の芥川賞候補作品だったのですよね?
でも少しタイトル負けかなと感じた怪人純平でした(ごめんなさい)

怪人純平はこの3編の中では最後の「猫と君のとなり」が一番感じました。
なぜかと言うと最初の2作は危うさと痛みでラストを迎え・・・やや憂鬱な読後感(笑い)
最後の「猫と君・・・」でホッとさせる、さすが巧みな構成

でもあまり下手な感想文はやめとこう(笑い)

恋って不思議ですよね~うまく幸せになっても後が難しいし(笑い)
恋の深度って平静に保たれるのって優しいようで難しい・・・
過去を気にしたり、今に捕らわれたり、相手の愛の深さを知って想い悩んだり
ほんとの恋は不思議で難しい(笑い)
でも恋せずにいられないと20代前半頃に感じた怪人純平でしたぁ~

(ワッハハハハハハぁ~)

人間は今、最高に幸せと思ったときでも
一度受けた心の傷はいつか何だかの拍子に、大きく口を開いてしまう時がありますよね~
現実の世界でも・・・
そして、みんなそれぞれの新しい「恋」を切り開いて行くんだな~と思う、そんな物語です。
何だか物語も説明しないまま纏めて(笑い)しまいましたけど
この本こそ読み手がそれぞれ感じてくれればいいなぁ~と、また人まかせの
怪人純平の読書感想文でした~。

そんなところが本って面白い!

おまけ(笑い)知ってますか島本理生さんて
「子供たち怒る怒る怒る」「1000の小説とバックベア‐ド」を書いた
佐藤友哉と結婚したんだってね~おおきなお世話だけど?全然ミスマッチ
それもいい「恋」か~

そんなとこところも小説家って面白い(笑い)

怪人純平

生きるために彼女たちは「春」を売った。「花宵道中」

2007-07-20 00:12:56 | ジ~ンとする本
◆「花宵道中」 (宮木あや子/新潮社)

江戸時代の吉原が舞台。
遊女の朝霧は、身体が火照ると 肌に赤い花のようなあざが浮く。
その体質が客に好まれて人気者となるが、あと数ヶ月で吉原から解放される身。
そんなとき、ある男性と出会ったことから運命が変わってしまう…。

朝霧をめぐるさまざまな人物を主役にした短編集。

女性のための「R18文学賞」を受賞した作品とはいえ、
そんなに官能的ではなかったです。
たぶん、作者さんの描こうとしているものが、
官能の世界そのものではなかったから、さらりと読めたのかも…。

「吉原の遊女」というとなんだか、華やかで猥雑とした世界を想像して、
「大奥」みたいな陰湿さもあるような気がしたり…。
でもそんなイメージは、今までの映画や小説で植えつけられてしまった
悲しい刷り込みなのかも…。

この「花宵道中」に描かれる遊女たちは、みな貧しい暮らしのせいで、
家族に売られたり、ある日とつぜん人攫いに遭い、
吉原に連れてこられた被害者で…。
だからなのか、皆それぞれが自分の商品価値を理解していて、
食べていくために「お勤め」を果たしている。

その真摯さを…蔑視することなんてできるのかな。
生命より大切なものなんてないと、よく言われるけれど、
それだったら生命の次に大切なものを差し出して生きることは、
決して間違っていないよね。

自分が置かれた境遇を身にしみて理解している遊女たちは、
男性を信じないし、恋愛感情をもたない。
でも誰より純粋な心をもっているから、本物の愛情が芽生えたときは、
どうしようもなくなる。
そのとき、彼女たちの選択は…。

切ない切ない話が詰っています。
遊女の世界は、嫉妬や裏切りもあるけど、爽やかな助け合いもある。
どの人物がどんな振る舞いに転じるかは、
生い立ちとか、現在の環境が理由になるのではなく、
人間として本質的なものが左右するのかも、と思いました。

心から、大人の女性に読んでほしい名作。あ、もちろん男性にも(笑)。
こんなジーンとくる小説は、めったにありません。


くるみ

人のきずなって、後天的なものなの?「八日目の蝉」

2007-07-16 21:13:27 | ジ~ンとする本
◆「八日目の蝉」 (角田光代/中央公論新社)

血のつながりと、すごした時間の密度。
親子のきずなを決めるのは、どっち?

妻のある男性と不倫をしていた希和子は、
男性との間にできた子供を中絶させられてしまう。
そのうち、男性と妻との間に子供が生まれ、
希和子は、その赤子を誘拐して自分の子供として育てはじめる。
 
血のつながらない擬似親子。
血縁関係はあるが、心のつながらない親子。

ふたつのきずなに放浪される娘の未来は…。

こんな切ない話しがあるんだ~って思いながら読みました。
卑怯な男性に翻弄されて、関係を切ろうとするものの、
男性からは執拗に追いかけられて…。
夫の浮気を知った妻からのいやがらせもエスカレートし、
希和子がやったことは…赤ちゃんの誘拐。

生まれてくるはずだった自分の子供を愛するように、
その子供を愛し、4年もの間逃亡して育て続けた希和子の気持ち。

想像するだけで切なくなってしまう。
やり方は間違っているけれど、彼女を追い詰めたものが分かるから、
このまま逃げ続けられることを、願ってしまったりもする。

「八日目の蝉」とは、地上に出て七日間で死んでしまう蝉の一生から、
なにかの間違いで、七日間で死なず、八日目まで生き残ってしまう蝉がいたら、
その蝉は寂しいという考え方から生まれた言葉。

でも後に、希和子に誘拐された娘が成長して、たどり着く考えでは。
「八日目の蝉は、他の蝉が見られなかったものを見られる」
それは「ぎゅっと、目を閉じてなくちゃいけないほどにひどいものばかりでもない」

と書かれていて。目の前が晴れるような気持ちになりました。
もしかしたら、普通の人は経験しない、誘拐とか犯罪とか、家庭の崩壊とか…、
そういう災難に遭った人生でも、きっとその経験のなかで見たものは、
「ひどいものばかりでもない」
作者さんはそう言いたかったのかなとも思いました。

物語の後半は、誘拐された娘が大学生になってからの話で、
誘拐した方、された方、両方の心理に触れられるところがおもしろいです。


くるみ

これは角田流サスペンスの始まり・・・八日目の蝉

2007-07-08 22:39:31 | ジ~ンとする本
                 「八日目の蝉」角田光代・中央公論新社

角田さんの話は、普通の誰にもある男、女、家族のかかわりを日常的に切り取ったものが
多いが、それぞれが、それぞれに違う所が面白い。
初のサスペンス!っと言っても普通のサスペンス好きが読むと少しとまどうかも知れない(笑い)
でもよく出来たサスペンスだと思う。

始めに不倫相手の家に忍び込み、寝ている赤ちゃんを連れ去り
殺すつもりでも誘拐身代金要求でもなく。
自分に生まれるはずだった子供と、不倫相手の奥さんが産んだ子とダブらせ
逃亡生活をはじめる・・・
この犯人希和子は逃げおうせるのだろか
赤ちゃんは生き延びれるのか・・・
そんな緊張感で一気に読まされてしまった。

また話のデッサンがうまいよね~角田さんは(笑い)

0章のいきなり不倫相手の留守宅に忍び込む所から・・・
1章の希和子と赤ちゃんとの逃亡生活が自分視点からの日記スタイルで始まり
これがまた~(笑い)
いつも読むのが遅い純平を(笑い)いやに駆り立て一気に読ませます(笑い)
2章では突然成長した赤ちゃん薫へと視点が変わり一瞬とまどいますが
この2章がより、この話に深みを持たせた感じがしました。

親子って言うよりも母親と子供の関係ってなんなのですかね~

読み進む内にどんどんつらくなっていくのだけれど
終盤彼女が悟りだす、希和子と薫の視点からの話あたりから
読み手の方もやや穏やかに(笑い)
最後の小豆島に向かう待合室での話には・・・
純平も思わずクク~っと来てしまった、とても印象的なラストでした。

さすが「角田流サスペンス」これからが楽しみだ。

怪人純平

歳を重ねるほど素敵と思える恋愛小説ってありますね「無銭優雅」

2007-04-22 23:25:24 | ジ~ンとする本
いつも素敵なタイトルを付けますね山田詠美さん(笑い)
そうですね40歳を過ぎてからでも、大人になれない大人の恋愛・・・
大人になれなく歳を重ねる大人(笑い)いっけんどうしようもない、大人と大人(笑い)
でも大人になれない大人の気持ち、解るような気のする怪人純平です。

「明日、心中するつもりで恋愛を楽しんじゃおう」

なんて思ってしまうのも可笑しな大人だよ(笑い)
でもほんとうは凄く真面目にちゃんと考えているんだよ。
そんな所がもの凄く読む側の胸をうつな~
久しぶりに何か共感出来る話に会ったよう・・・歳のせいかな(笑い)
大人って別に経済的に優れた人や、体力的に優れた人が
素晴らしい事とは在り得ないと純平は思います。
ほんとうに伝えたい言葉が解ってくれる人、
そんな人に出会った時って何か胸がときめきますね。

純平はそんな人を知ってます(笑い)

栄と慈雨(この慈雨って素敵な名前ですね)この大人になりそこなった、大人の共通点・・・
栄は塾の講師で小説をいっぱい、いっぱい読んでいる。
それに反して慈雨は哲学科を卒業してはいるけれど、あんまり本は読んでない(笑い)
でも二人の共通点は「言葉」だね。これがあるから二人は結びついたのかも・・・
人生って何かそんな運命ってあるのかも
若い時って誰でも自分主体に世の中回ってると思っているんだけど(笑い)
人って、いろんな人と知り合って
傷つけたり、傷つけられたりして自分との関わりの世界が広がっていくような
でもそんなのは、この栄と慈雨の歳40歳を過ぎてからほんとうの意味に気付くのかね・・・

何か全然「無銭優雅」の話からそれた、純平のいつもの「脱線優雅」かぁ~(笑い)
でも栄が慈雨に勧める名作、泉鏡花の「外科室」武田百合子の「富士日記」
もう一回読んでみようと思った純平です。そんな忘れていた事を思い出させてくれるのが

「本」って面白い・・・

くるみ館長の「無銭優雅」が素敵すぎて!
つい横道にそれてしまった怪人純平でした。すみません
今回くるみ館長の画像には太刀打ち出来ませんでしたので(笑い)
ほんとに「無銭優雅」って感じで感心!!

素敵な「無銭優雅」の表紙も怪人とても気にいってます
でも本当は「蝶」の絵柄だったらしいですよ!
蝶の絵柄で出来上がった表紙
山田詠美さん「蝶」があまり好きでないので、やり直してこの表紙になったとか・・・
「幻の表紙」の画像入手しますのでもう少し画像はお待ちください(笑い)

怪人純平

優しさに触れたくなったら…。「重力ピエロ」

2007-04-16 00:18:14 | ジ~ンとする本
◆「重力ピエロ」 (伊坂幸太郎/新潮社)

DNAの研究に携わる兄のもとに、血の繋がらない弟から連絡が入る。
次の連続放火事件の現場は、兄の会社かもしれないと…。
過去に起きたレイプ事件で、母親と強姦魔との間に生まれた弟。末期癌の父。
客観的には幸せといえない、この家族が、たどりつく事件の結末は…。

登場する人物がみな、器量よしで、性格もよくて、
きっとこの作者さんは、人間に対して希望的な優しい視点をもっている
んだなぁって思いました。
 
女性が強姦されて、その犯人との子供を産むなんて…、
それを認める夫も、血のつながらない弟を大切に思う兄も…、
現実にはなかなかあり得ない気がして。

それでも、この家族をつなぐ絆は、大げさに描かれてはいないけど、
ごくごく自然に、強靱で。
末期癌の父親との会話も、ユーモアがあって、あたたかくて。
登場人物のポジティブな生き方、それはこの作家さんの心持ちから
受け継がれているのかも…。性善説を信じてみたくなります(笑)。

ちなみに、DNAに関する蘊蓄が、連続放火事件に関わってくるのだけど、
その当たりの謎解きは…、好きな人じゃないと微妙かも。
途中から展開が読めちゃいます。

世の中の厳しさ、よりも、どこかにあるかもしれない人間の優しさ、
を伝えてくれる本。読んだ後は、希望がわいてくるかも。


くるみ

「結婚してやる」的、発言にハナは怒る・・・角田光代「薄闇シルエット」

2007-02-04 22:51:20 | ジ~ンとする本
                                    角川書店
角田さんの作品にここの所ハマッテいます(笑い)最近の作品、短編も長編も何か年甲斐
もなく胸が締め付けられます。訳もなく(笑い)意外な驚きの発言に「そう、そう」と一
人で頷き話の結論にも何となく納得して勇気づけられる怪人です(笑い)

ハナ(主人公)は共同で友達と古着屋を営み、なんか腐れ縁的恋人もいる独身37歳。毎
日の仕事もまあまあ順調な毎日と・・・思っていたある日
「そりゃ結婚するんだよ。ちゃんとしてやんなきゃって思うよね」と友達に得意げに話す
彼氏に今までの気持ちがすーっと醒める自分がいた。
「結婚してやる」と言われたとき、この人はどうしてハナが「結婚を喜んでいる」と疑わ
ないのだろう。妹からは「ちゃんとしてやんなきゃ」なんてその時の、言葉のあやだから
と諭されるが、ハナの心には小さな違和感が生まれ「結婚」と言う二文字から遠のいてい
て行くのだった。

今の仕事を右も左もわからず手探りでやってきて、やっと順調に乗った仕事の相棒「チサ
ト」がリサイクルショップ、それもブランド品を安く仕入れて利ざやを稼ぐ、一番二人が
軽蔑していた店を相談もなく勝手に始めると言う。二人はずっと英国風の古着屋スタイル
を頑固にこだわって守ってきたはずなのに「なんなの」・・・と思うハナ。
地道にやってきたこの店、社会の流れにすぐ焦ってしまうのも若い時ならいざ知らず、37
歳ともなればまた次元が違うのではないかと思ってしまうハナ。

急に正社員になり「結婚」を口にする恋人の言う事も、それはそれで正しいけれど何か納
得しないハナ。
微妙に揺れ動く微妙な微妙な位置の女性・・・純平は好きですねーこう言う設定(笑い)
そんな揺れる心のハナに、母が倒れたとの連絡が入る。
ハナの母親は昔気質の人で、心をこめて手で作ることを基本に出来合いやインスタント
食品などを最も嫌う母親の鏡のような人であつたから。ハナの人の物をかき集めてきて
(けしてそうではないのだけれど)古着屋のオーナーをしているハナの人生を全面否定し
ていたのだ。
自分が今までしてきた事は何だったんだろう、考えてもしかたないけど、されど今を消去
できないし。ハナの心は不安で押しつぶされそう・・・
ここから先は言わないけれど微妙な女心は黙って抱きしめてあげたい純平でした(笑い)

きっと何かがつかめるはず。

その人はその人になっていくしかないんだから、そんな結論のあたたかいラストに嬉しく
なりました。
ますます角田ファンに・・・そんなところが「本」って不思議です。

怪人純平

スペインのレ・ミゼラブル。「風の影 上・下」

2007-02-03 23:22:18 | ジ~ンとする本
◆「風の影 上・下」 (カルロス・ルイス・サフォン/集英社)

母を亡くした悲しみが、心の影となっている少年、ダニエル。
ダニエルは父に、世界中の「忘れられた本」が集まる、
「忘れられた本の墓場」に連れられ、一冊の本と出会う。
そのタイトルは「風の影」。
作者の謎を追いかけるにつれ、とてつもない事件が起きていく。

登場人物が多いので、上巻をじっくり読んでキャラクターの名前を覚えたら、
あとは怒濤の展開が、下巻に待っていました(笑)。

最大のミステリーは、ダニエルが手にした「風の影」という本。
おそらくこのとき、世界にただ一冊しか残されていなかった、この本の
作者が、どんな人物なのか。過去に何があったのか。
ダニエルが「風の影」を手にしたときから、彼の身に降りかかってくる、
奇怪な出来事はどんな意味を持っているのか。

本好きな人が惹かれるような、骨組みのしっかりした物語でした。
「忘れられた本の墓場」なんて、
閉鎖された図書館や、つぶれた古書店から、
ひっそりと本が集まってくる秘密の場所なんて、
ホントにあるなら行ってみたいですね。なんて。

物語の中の「風の影」という本。この本の作者、フリアン・カラックスの
謎が次々と明らかになる下巻は、切なさと、悲しみと、
冷たい石を手にしているような感触が常にあって、
結末を知るまで、読むのを止められませんでした。

まるで現代版、ヴィクトル・ユゴーの世界みたい。
人って悲しいね。でもどこかきれいだね、そう思える本です。


くるみ

十年と言う歳月は仲間そして自分を変えてしまったのか「片想い」結末は・・・

2006-10-29 23:17:05 | ジ~ンとする本
この作品で何か「友情」と言う懐かしい言葉について考えさせられた純平でした。
東野圭吾はいつも読み手を驚かせてくれます。
このなにげなく本屋で手にとった「片想い」
淡い恋のミステリーかと早とちり(笑い)いやいや東野圭吾そんなはずはない
でもこんな展開とは・・・
純平、読み進むうち嬉しくなってしまいました(笑い)

大学時代同じ釜の飯を食い、熱き思いを共有したアメフトクラブ仲間。
そんな仲間の年に一度の呑会から物語は始まる・・・
呑み会のはねた帰り道クォーターバック哲郎の前に
10年ぶり、なぜか10年ぶりに・・・
大きな秘密をもった欠席の女子マネージャーだった美月は現れた

なぜかしゃがれた声で美月は女性から男性へと変身をしていた・・・
「性同一障害」
「人を殺し追われている」

突然の告白に戸惑いながらも哲郎と彼の妻である理沙子は
美月の気持ちを察し匿おうと物語は進む。
理沙子もまた同じクラブの女子マネージャーだった
ここがこの物語の鍵だね

だが美月は驚くべきふたつの告白を残し二人の前から姿を消す・・・

哲郎と理沙子の微妙な夫婦関係や中尾の離婚、それに絡む新聞記者の早田の動き。
美月の告白はチームメイトの友情とかかわりに意外な形で影響を与えていく
うまいね~東野圭吾、おもうツボにはまってしまいます(笑い)
あまり核心にふれると申し訳ないのでこの辺で・・・

「性同一障害」の問題も単なる興味本位でなく
男女の性差について考えさせられる作品に仕上がっている。
これだから東野作品はハシゴ読みしたくなる(笑い)
今、「赤い手」を読んでいますが、
もうこれは救いようなく暗くて・・・どうしよう

そんなところが、本って面白い

怪人純平

永遠の別れなのに、こんなにもあたたかい。「Time of Eternity 告別」

2006-07-02 11:30:20 | ジ~ンとする本
「Time of Eternity 告別」(中川貴之/幻冬舎)

アーバンフューネスという、葬儀社の話。
さまざまな葬式のエピソードを語った短編の中で、
亡くなった方、見送る家族、それぞれの人の気持ちを、
悲しみではなく優しさに染めてしまう、その試みが美しい。

企業というモノは、営利団体で、どんなに熱く慈善事業を訴えたところで、
どこか嘘臭さが残ったりします。
それがこの「アーバンフューネス」には、感じられなくてフシギ。
人の死を、ときに華やかに、幸せな感情で彩っていく…。
そこには、社員たちの純粋な熱意や誠実さだけがあって、
「どんなふうに、最期を飾ったら喜ばれるだろう」と、
悩み、試行錯誤する姿には……胸をうたれるものがあります。 

亡くなった方と家族を乗せた車で、思い出のテーマパークに
立ち寄ったり、葬儀場を故人の個展会場にしたり、
南国のビーチをセットしたり、フラワーシャワーをしたり……。
こんな儀式だったら、きっと幸せだろうなと、読んでる方も感じてしまいます。

とてもナイーブな出来事を扱っているのに、
こんなにも前向きな、清々しいイメージに彩られた本も珍しい。
本の装丁や、スミではなく、グレーで印字された活字に、
作り手の気遣いを感じた一冊でした。


くるみ