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古今東西のアートのお話をしよう

京都・智積院の名宝 サントリー美術館

長谷川等伯の「楓図」は何度も観てきたが
これほどの作品だったのか…

初めてじっくり見たから、いや何と言ってもサントリー美術館の展示方法によるものだと思う

目線、ガラス、照明の具合すべてが揃うと全く違う作品に思える

それにしても、自分の鑑賞眼の無さにも気付いた


(撮影不可のため全てネット画像借用)

第2章 
桃山絵画の精華 長谷川派の障壁画


奥から、「松に秋草図」等伯、「桜図」長谷川久蔵(等伯の息子)、「楓図」等伯

まず、適度な暗さで、肉眼で見ると反射が少なく頗る見やすい
シートに腰かけると、畳に座った目線で見ることができ、本来の画面があらわれる

国宝 長谷川等伯 松に秋草図 桃山時代16世紀

松に右にムクゲ、左に岩と芙蓉、中に菊、金地に白が散らされ、空間にススキが差し込まれる、活け花のような装飾性が生まれる
草花は葉の裏表を緑青のくすみで表し動きを感じる


国宝 長谷川久蔵 桜図 桃山時代16世紀

等伯の長男、長谷川派の次代棟梁を期待されるも、等伯に先立ち26歳で早逝
本法寺にある巨大(縦約10メートル、横約6メートル)な仏涅槃図は久蔵の七回忌に制作されたという
等伯の無念さが伝わる

【参考】
長谷川等伯 仏涅槃図



国宝 長谷川等伯 楓図 桃山時代16世紀

解説にある通り“心やすらぐ空間”を醸成する、見飽きることがない稀代の傑作
絵の中に没入するような感覚を得る


それは、中央の巨大な楓の安定感と自由に伸びた枝、多彩な楓のにしき、巨樹の奥には半月型の水面、そこにかかる紅葉の美しさ…
樹の根本には、木犀、ケイトウ、萩、菊が咲き乱れ、巨樹を荘厳しているようだ


春も、夏もいいが、紅葉のはじめ、まだ湿り気がある、しっとりとした静かな空間、秋草と色づき始めた楓

狩野永徳の武張った表現とは異なる、繊細で華麗な心なごむ世界がある、それは法華の世界であり、光悦・宗達に繋がる


展示構成は、
第1章 空海から智積院へ
第2章 桃山絵画の精華 長谷川派の障壁画
智積院の名宝が結んだ美
第3章 学山智山の仏教美術
第4章 東アジアの名品集う寺


弘法大師像 室町時代13世紀


堂本印象 婦女喫茶図 昭和33年


長谷川等伯、久蔵の障壁画に尽きる展覧会でした

ここで、今、実物を見ないと
お勧めします

★★★★☆

2023年1月22日(日)まで!




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