いよいよ五十音絵本レビュー最終回となりました。
ワイズ・ブラウンの詩の絵本 マーガレット・ワイズ・ブラウン 詩 レナード・ワイスガード 絵 木坂涼 訳 フレーベル館
マーガレット・ワイズ・ブラウンさんは『おどろいたりす』、『ことりのおそうしき』の作者。
ワイスガードさんは『うさぎたちとふしぎなこうじょう』の絵を担当された方です。
二人のコンビでは『たんじょうびおめでとう!』を紹介しました。
草むらの虫たち、海の魚、動物たちなどを題材にした詩はどれも「滋味」があります。
玉ねぎを剥く人間たちを取り上げた詩があったのが意外でした~
ワイスガードさんのこの絵本での絵は、緑なら緑、茶なら茶、と単純な色使いですが、動物も植物も本当に生き生きとしていてまさにワイズ・ブラウンさんの詩を視覚で表した、というような絵です。
わかくさのおかで かじり みな子 さく 偕成社
お父さんお母さん、そしてラビッタちゃんとピョコラッタちゃんの姉妹からなるうさぎ家族。
着ている服がどこかの民族衣装のようなのが印象的。
ベジタリアンらしい食べ物(笑)を持って一家はピクニックへ。。。
いろんな動物たちも釣りや自転車や虫とりなど、思い思いのレジャーをしている様子が楽しい。
お弁当を食べた後、ラビッタちゃんとピョコラッタちゃんの二人だけでのたんけんは思わぬ展開に。。。
楽しかったピクニックに暗雲が差し込めてくるシーンが、ちょうど空模様とシンクロしていますね。さて結末は。。。
妹のピョコラッタちゃんのほうが、まだ小さすぎて実は全然怖い思いなどしていなくて、姉のラビッタちゃんのほうが妹を思いやるがゆえに・そして妹より年上な分、怖さや心配を大いに感じたであろうところが、姉妹の差として感じられて面白いなと思いました。
わたし、お月さま 文 青山七恵 絵 刀根里衣 NHK出版
明らかに女性である月が、一人称で語るストーリーです。
ファンタジックなお話かと思いきや、アポロを思わせるスペースシャトルや宇宙飛行士の絵を見ると途端に科学技術の雰囲気が出てきますね。
とはいえ全体的にはやはり優しくて繊細な、でもスケールの大きなファンタジー。
黄色いボールのようになって地球をあちこち冒険するお月さま。。。ひょっとすると私の近くにもいたことがあったんだけれど気づかなかっただけなのかも、とふと思ったのです。
地球でいろんなものを見、いろんな人にも会ったであろうお月さまが、最後に巡り合ったのはとある2人。
そして地球での冒険を終えて(終えるときが来て)お月さまが空へ帰っていくその手段が美しい(読んでのお楽しみ)
刀根里衣さん(『モカと幸せのコーヒー』では絵も文も担当した作者さん)の絵も抜群に美しいけれど、この作品、映像で見てみたいな
わたしのものよ えとぶん マルー WAVE出版
マルーさんは、日本人作家さんだと思います。
表紙見返しと遊びの紙がゴールドでおしゃれな感じ。
猫を飼っている人なら共感できる作品だろうな~
雌猫サカナさんにとって、自分の好きなものは全部「わたしのもの」。
ふと、ジャイアンがのび太君に放った名言「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」を思い出した(笑)(笑)
でもサカナさん、別に好きじゃないものは「ほしくない」
そんなサカナさんは、実は、飼い主リリさんのものなのだろうか?読んでのお楽しみ。。。
同居する犬、ゴマの視点だったらどういう作品ができるのでしょうね~?
ん さく 長田弘 え 山村浩二 講談社
出ました 極めて珍しい「ん」の絵本。
「ん」という音は不思議な存在ですねえ。
唯一、しりとりが終わってしまう特別な音。
でも「ん」がないとどんなに不自由だろう。
長田さんの言葉に寄り添う山村さんの絵が、こんなの子供でも描けるのではと思うくらいシンプルな、目と口による表情の絵なのだけれど、でも、一つ一つが他のどれとも違う表情で、すっと入ってきます。
この絵本のおかげで「わ」で終わりでなくてちゃんと五十音最後の「ん」で終わることができて良かったです(笑)
それにしても50音全部終わったと思うと感慨深い。
最後のほう(ら行あたりからかな?)は、かこさとしさん、長新太さん、内田麟太郎さんなどの作品がなくてちょっと寂しかったです。
さてさて、ちょっと時間がかかるかも、ですが、番外編としてベスト30冊を選ぶ予定~~
どんな絵本が選ばれるかお楽しみ~ 私自身も、選ぶのが楽しみです(笑)
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