…えーと、何してたかといえば普通に生活してました。特に忙しいとかはなかったんですが、いつのまにか1カ月ほど消息不明に。はて。
本も読んだんですけどね。特筆すべきものはなく。ああー、置物増えたかも。
別にテレビの国に行ったきりでもなかったですし。そら新曲にウハウハしてはいましたが。
そんなびりっとしない如月の終わりごろに、さてなぜ童話。松谷さん。
いいんです。大好きなので。
言わずと知れた松谷みよ子さんの名作です。あかねちゃんとかのが有名でしょうが、こちとら教科書掲載作。
そうそう、初遭遇は教科書だったのでした。
現在はもう載っていないようですが、それで正解かもしれないです。だってオサナコゴロにも「コレ教科書に載せていい話なんだろうか」とどきどきしましたもん。(それはワタクシだけ)
いえ、紛れもなく超名作なのですが、通常、教科書に掲載されるお話というのは、どっか寓話めいたというか教訓くさいのが多いと私は常々思っていたのですよ。大きなかぶとかさ、スイミーとかさ、一つの花とかさ。
そんな中、どっちかというと小昏く、怪しさ満点のこのオハナシ、ワタクシかぶりつきで愛読しました。
茂吉というのんべえの鉄砲撃ちの怪異譚なのですが、ある日酒屋にいったところ、覚えのない酒代まで請求されます。あやうく店主と大喧嘩というところに、当の茂吉のつかいと名乗るわらし(小僧っこ)が酒を買っていくわけです。もちろん茂吉のツケで。
怒った茂吉に怒鳴りつけられ、わらしは跳んで逃げるのですが、逃げた場所がおばけのたまり場。そしてわらしの正体は茂吉の飼い猫だったという。ここがワタクシ大好きでして。おばけの描写がたまらん。
赤い火、青い火が「ぺかぺか」してるんです。ぺかぺか。秀逸な表現です。おどろおどろしいのに、どっかおかしみもあって、コドモゴコロにも、慄きつつもときめくという高等デレを発揮。
そして本作最高の見せ場が、おばけたちに茂吉死ぬべしと定められ、茂吉を呪い殺せと命じられた飼い猫ちゃんのセリフでした。茂吉の朝食膳を跳びこえろ、それ食べたら茂吉は死ぬから、と命じられた飼い猫ちゃん、なんと大勢のおばけたちを前に、いっぽもひかず否、と告げるのです。その言い方がまた何とも。
「おら、やんだ(いやだ)。おら、茂吉好きだもの」
ぐはー。愛らしい!!!!!
なんつー可愛らしさ。そして萌えの極み!
好きだもの、でおばけの恫喝大却下ですよ。らぶすぎて今でもめまいが。
まだ小娘にもなっていない、ちびっこワタクシをノックアウトさせるんだからそらもうすごい威力です。
そして怒髪天をついたおばけたちに、取り殺されそうになる飼い猫ニャンを、さっきまでおばけに震えあがっていた茂吉が、果敢に助けるのがまた。きゅんきゅんです。
無事救い出したニャンを、茂吉ったら、お前みたいな小僧っ子猫が、あんなおばけの仲間入りなんて到底早いとたしなめて連れ帰るんですよぅ。捨てないんです。連れ帰るんです。うふー。なんてらぶなの。
無論ちびっこですから、そんなきゅんとからぶとか、感じはしても言葉にはならなかったのですが、後日改めて読み返してみて、やっぱアタシ間違ってないわと確信しました。あれ教科書に入れてた某教科書会社の担当様に、深く感謝を捧げたい。
こんとあきでも触れましたが、実は児童書のなかにも深くひそやかに種は仕込まれていて、萌え因子に陽性反応をもつ者は、実はそんなちいさな頃から、敏感に己が性状を刺激されるのです。
びば児童書。